
昨年6月に宝塚ホテルとパレスホテル東京で開催予定だった珠城りょうさん最後のディナーショー。
「絶対行きたい!」と思っていましたが、延期された後、形を変えてバウホールでのライブとなりました。
タイトルの「Eternità」はイタリア語で「永遠」。
「今日という日の思い出が皆さまの心に永遠に残り続けますように」と珠城さん。
もちろん、忘れません。
宝塚歌劇 月組公演
珠城りょう 3Days Special LIVE 「Eternità」
構成・演出: 三木章雄
出演:珠城りょう 鳳月 杏 輝月ゆうま 佳城 葵 朝霧 真
2021年1月17日(日) 3:00pm 宝塚バウホール (配信視聴)
(上演時間: 1時間50分)
オープニングは耳をつけた白いうさぎのコスチュームで登場した珠城さん。
「アリスの恋人」(2011年)で珠城さんがマーチ・ラビットやった時、「うさぎ、デカッ!」と思ったことを懐かしく思い出しました。
「皆さま、現実に未練はありませんか?」とラビットに笑顔で促され、ショーのスタートです。
セットリスト
The Beginning
A MAD TEA PARTY (アリスの恋人)
カルーセル輪舞曲 (カルーセル輪舞曲) 全員
Early Years
桎梏 (春の雪)
私は誰? (アーサー王伝説)
誰のために踊らされているのか (1789) 全員
されど夢 (鳳凰伝) 珠城・佳城
自由と抑制Ⅱ (激情) 珠城・輝月
花のうた (月雲の皇子)
穴穂の歌~木梨の歌 (月雲の皇子) 珠城・鳳月
ジュリアーノと仲間たち (Bandito)
Apasionado!! (Apasionado!!Ⅲ)全員
Glorious Days
SINGIN’ IN THE RAIN (雨に唄えば)
プリンス・チャーミング (エドワード8世)
ひとかけらの勇気 (THE SCARLET PIMPERNEL)
栄光の日々 <炎の中へ と日替り> (THE SCARLET PIMPERNEL) 全員
世界の王 (ロミオとジュリエット) 全員
どうやって伝えよう (ロミオとジュリエット) 輝月
心のひとオスカル (ベルサイユのばら) 鳳月
CRYSTAL TAKARAZUKA (CRYSTAL TAKARAZUKA) 鳳月・輝月・佳城・朝霧
Precious Songs
恋こそ我が命 (赤と黒)
BESAME MUCHO (New Wave!-月-) 珠城・鳳月 ダンス
愛すること生きることどうしてこんなに切ないの(激情)
JUST SAY DANCE TONIGHT (PUCK)
Encore
Clap Clap (Official髭男dism) 全員
ずっと一緒さ (山下達郎)
珠城りょうさんの13年間を振り返るラインナップ。
「下級生時代の作品や新人公演で演じた作品、トップになってからは主に小劇場で演じた作品を中心に選びました」という珠城さん。
新人公演は観ていなくても本公演の作品自体は観ているものがほとんどで、こうしてタイトル見ただけでも舞台の思い出が蘇ってきます。
バウホール初主演となった「月雲の皇子」(2013年)からは3曲。
しかも、ティコを演じた佳城葵さんとの台詞のやり取り、弟の穴穂皇子を演じた鳳月杏さんとのデュエットと、この作品への思い入れの深さ、そして今回のライブのメンバー全員この作品に出演していて、その繋がりの強さも感じます。
「いつも殺していただいた」とティコの佳城さんが鳳月さんにおっしゃっていましたが、千秋楽には「いつも殺してごめんね」という手紙をいただいたそうです。これに対して「覚えてないしコワイ~」と応える鳳月さん(笑)。
2曲終わった時点のメンバー紹介(自己紹介)
朝霧真: 自称 珠城さんのボディガード 朝霧真です。
佳城葵: 自称 珠城さんのペット 佳城葵です。何でもなれますよ、たまきさんがこれがいいっていやつ。
輝月ゆうま: 自称とは言いません。珠城さんの心の相手役 輝月ゆうまです。言い始めて7年目です。
鳳月杏: 自称と言っておきます。珠城さんの相手役 鳳月杏です。あなたは心の相手役でしょ、あたしは普通に相手役、とマウントとるちなつさん(笑)。
みんな珠城さんのことが大好きで、珠城さんもみんなのことをとても愛して信頼していて、という雰囲気がライブの間じゅうずっと絶えることなく伝わってきました。
新人公演でピックアップされた作品はいずれも錚々たる大作揃いで、珠城さんが新人時代から将来を嘱望されたスターで、その抜擢に応えてきたのだなぁと改めて思いました。
「新人公演は貴重な経験で、トップさんが役をつくり上げていく過程を側で観られる。瀬奈さん、霧矢さん、龍さん、明日海さんの背中をずっと見てきました。上級生になってからは自分の役をやってくれる子と役を共有できて絆もできます」と珠城さん。
本当に、タカラジェンヌとして成長していく上でとても大切な新人公演。復活できる日が1日も早くきますように。
「ロミオとジュリエット」の「世界の王」では、ロミオを珠城さん、ベンヴォーリオのパートが鳳月さん、マーキューシオのパートを輝月さんで、これ本公演で観たかったよ、となりました。
私がベルばらの中で一番好きな曲「心のひとオスカル」は鳳月さんのソロ。
「ちなつさんとは下級生時代からご縁がありまして、小劇場でご一緒したり新人公演でお芝居することが多くて助けてもらってばっかりだなと思っていたんですけれど、『ベルサイユのばら』新人公演でアンドレをされるとき本当にうれしくて、ようやく何か恩返しできるかもしれないと思ったんです。自分はアラン役で傍で見守られますし」と珠城さん。
だから、今回のライブでもちなつさんのアンドレを聴きたくて、本人に無断で勝手にセットリストに入れたそうです。
ちなみに輝月さんの「どうやって伝えよう」も勝手に決めて入れたのだそう。
鳳月さんが珠城さんに贈った手紙
「ある時は後ろをついて来てくれて、前を歩いてくれて、並んで歩いてくれてありがとう」
何て素敵な言葉なんだ(感涙)。
7年前ぐらいに贈られたこの言葉を、「ありったけの感謝を込めてそのままお返ししたい」と珠城さん(涙)。
「BESAME MUCHO」はそんな鳳月さんとのデュエットダンス。
大胆なスリットが入った紫色のロングドレスで惜しげもなく長い脚を披露した鳳月さん。
ウィッグをつけず、そのままの髪で少しフェイスラインを覆うようにしただけで妖艶な女性になるの、とても素敵でした。
そしてその後にサプライズが。
踊り終わった後、自分がかぶっていた白いハットを鳳月さんにかぶせた珠城さん。そのまま鳳月さんの左手を取って手の甲にキス。ちなつさんが驚いて口に手をあてていてまるで乙女のよう。客席からもどよめきが。
きっと珠城さんの「ありったけの感謝を込めた」キスだったんだなぁと胸が熱くなりました。
珠城さん抜きの4人のトークは「一番好きな珠城さんの役について」
佳城葵: 武蔵。あのたっつけの似合い方。
朝霧真: 「長崎しぐれ坂」の卯之助。
輝月ゆうま: アーサー王。甲冑似合いすぎ。マーベル感。
鳳月杏: 「激情」のホセ。今よりもちょっとだけ初々しい珠城りょうさん。苦悩している役が似合う。
地方まで観に行って、珠城さんの地元の近くで、自然が豊かなところで(笑)と鳳月さん。
駅からタクシーに乗ったら運転手さんが「宝塚観に行くの?今ここ出身の珠城りょうがやってるんだよ~」と言ってて「そうなんですかー」と盛り上がって・・・と(笑)。
2016年全国ツアーの幸田町民会館 さくらホールですね。
あの時、ちなつさんが颯爽と会場に現れてどよめいたというツイートを見た記憶があります。名古屋ではなくわざわざ珠城さんの出身地 蒲郡に近い会場を選ぶ鳳月さん(感涙再び)。
「激情」の「愛すること 生きること どうしてこんなに切ないの」の影コーラスは鳳月さんと佳城さんかな?娘役ボイスがかわいかったです。
アンコールの2曲はどちらも珠城さんの選曲。
ゴールドの衣装に着替えて、珍しくセンター分けの髪形も素敵。
「歌詞がとても素敵なのでまた見てください」とおっしゃっていましたが、「ずっと一緒さ」の♪本当の強さは「ひとりじゃない」って言えること がとても印象に残りました。大好きな仲間とともに幸せな時を歩む、珠城さんの今の気持ちが表れているよう。
歌い終わった後、頭上からたくさんのキラキラ紙吹雪が降ってきて、驚きと感無量の表情の珠城さん。
「月雲の皇子」の千秋楽思い出します。
カーテンコールのトークも愛があふれていました。
ディナーショー出演が決まってすごくれしかった佳城さんですが、同期の朝霧さんがあまりに大号泣していて引いてしまって自分の涙も引っ込んだそうです。
「そんなギリを初めて見ました。みなさんとこの時間を共有できたことが一生の宝物です」と珠城さん。
「絶対組子みんな出たかったと思う」と鳳月さん。「お客様の力を借りてさらに底上げされた」と。
珠城さんがこの公演から始めた「投げハート」
「お客様へ、バンドの皆さんへ、スタッフさんへ」と全方向にサッ、サッ、サッと手裏剣のように投げハートする珠城さんに、「いや、投げ方が速すぎて、お客様こんなになる」とツッコむ鳳月さんの被弾した時のポーズがうますぎ&カッコよすぎる。
「投げてみてください」と言って「うっ」となってみせる輝月さんも可愛すぎました。
「こんなに初心に帰れる場所はない」と鳳月さんがおっしゃるバウホール。
「バウホール、ああ、バウホール!」と何度もおっしゃっていた珠城さん。
ディナーショーでなくなったのは残念だし、ライブならもっと大きな会場でも、とも思いましたが、珠城さんにとってもかけがえのない場所であるバウホールでこのライブができたこと、本当によかったのだと思います。
26年前のこの日に起こった阪神淡路大震災にも触れ、これからも月組だけでなく宝塚歌劇を愛していただけたら、と珠城さん。「ここで終わりじゃない。卒業の日まで男役を極め、役者として成長し、いい舞台をお見せすることが皆さまへの愛であり恩返し」と。
配信ありがたいけれど、やっぱりナマの舞台観たかったな のごくらく地獄度



