2020年12月28日

當る丑歳 「吉例顔見世興行」 東西合同大歌舞伎 第三部


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南座顔見世 第三部は日程を変えて別の日に。
夜見るまねきもまた格別です。
これが2020年観劇納めとなりました。


京の年中行事 當る丑歳 「吉例顔見世興行」 東西合同大歌舞伎 第三部 
2020年12月15日(火) 6:40pm 京都南座 1階4列センター


第一 末広がり
出演: 尾上右近  中村米吉
(上演時間: 20分)



女大名(米吉)が恋の思いを扇子に書いて伝えようと、太郎冠者(右近)に末広がりを買うように頼みますが、末広がりが何か知らない太郎冠者は、だまされて傘を買って帰り・・・。


これは以前狂言で観たなぁと思って調べたら、歌舞伎でも観ていました。2016年4月の明治座花形歌舞伎。勘九郎さんの太郎冠者でした。

今回の南座は、太郎冠者が万商人に騙されて傘を売りつけられる場面はカットされた短縮版で、傘を持った太郎冠者が酔っ払ってご機嫌で帰ってくるところから始まります。

最初に登場する米吉くん女大名、赤い中振袖が華やいでお人形のような美しさ。もう、見ているだけでうれしくなります。声もしっかり。
そして花道に登場する右近くん太郎冠者。酔っ払って頬をピンクに染めたお化粧がかわいい。プハ~ッと息を吐いたりして、ちょっと自分が飲んだくれた時のことを思い出しちゃった(^^ゞ

太郎冠者が傘を買って来たことを知ってぶんすかする女大名が超キュート💛
肩衣の絵を自分で描いたとさらりとアピールしたり、唐傘の上で毬を転がしたり、太郎冠者もちゃめっ気たっぷり。体幹しっかりしつつ手足が軽くしなやかに動く右近の踊りはいつも見惚れます。
明るくおかしみもありながら品を失わない若い2人の舞踊、とても楽しかったです。

この演目に役者としてご出演の右近くん、次の「吉田屋」には清元の栄寿太夫として登場です。


第二 夕霧 伊左衛門 廓文章 吉田屋
出演: 松本幸四郎  中村壱太郎  片岡千次郎  片岡千壽 ほか
(上演時間: 45分)



清元をつかう江戸前の「吉田屋」。幸四郎さんが澤村藤十郎さんに教えていただいた型です。
2年前の4月 御園座の襲名披露で上演された演目(こちら)ですが、幸四郎さんは、「清元でやる江戸前の吉田屋で名古屋より西ではやらないと決めていますが、今はそんなことを言っている場合ではないので・・・。名古屋より西でやるのはこれが最初で最後です」と先日の「妄想歌舞伎」でキッパリおっしゃっていましたので、関西で観られる本当に貴重な「吉田屋」です。

こちらも短縮バージョンで、喜左衛門は出て来ず、おきさが一人で仕切っている感じ。
そのおきさは千壽さん、冒頭に伊左衛門を追い払おうとする男衆が千次郎さんと、上方歌舞伎のお二人がここに出演されているのがうれしい。幸四郎さんのご配慮でしょうか。

御園座で観た時同様、幸四郎さん伊左衛門のかわいらしさ色っぽさ炸裂。
夕霧を待ちわびながら、所在なげに床の間に寄りかかったり、三味線を爪弾いたり。
襖を一枚、また一枚と開けていって、「キタッ キタッ!」と満面笑顔で奥から小走りしてきたり、夕霧に会えてすごくうれしいのにわざと冷たくしたり、自分で扇子バタバタあおいで寒くなってブルッとしながら火鉢にしがみついたり・・・かわいらしいにもほどがある。
いかにも育ちのよいぼんぼんで、ちょっと頼りなくて、勘当された身の哀感も漂わせながら、夕霧のことが好きで好きでたまらないといった風情の伊左衛門。かわいらしすぎる(繰り返し)。

壱太郎さんの夕霧も御園座以来ですが、華やかな中に、「わしゃ わずろうてなあ」という言葉どおり、どこか儚げな雰囲気。髪飾りのシャラシャラと鳴る音も何だか哀しげに聞こえたり。最後に披露する打掛は藤十郎さんのものかな。ふわりとまろやかなで艶やかだった藤十郎さんの夕霧を思い出しました。

右近くんこと栄寿太夫さんの清元は昨年、巡業のびわ湖ホールで観た「かさね」の時よりさらに“清元”になってました。
いや、もともと清元なのですが(^^ゞ
昨年はそう思って聴くからか、栄寿太夫さんが突出しているような印象を受けたのですが、今回は舞台に集中していて、「いい声の人が語ってる」と思って見たら栄寿太夫さんだった、ということが多々ありました。

ハッピーエンドの吉田屋。
おきささんの音頭で客席も一緒になって大阪締め。
「うーちまーしょ」👏👏「もうひとつせー」👏👏「祝うて三度」👏👏👏
めでたく気持ちよく打ち出されました。




どの部も楽しかったけれどやっぱり三部が一番好き(贔屓目) のごくらく度 (total 2197 vs 2197 )



posted by スキップ at 23:09| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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