1965年にブロードウェイで演され、1985年には女性バージョンも発表されました。
日本でも数々上演されている作品で、宝塚歌劇版(2011年 轟悠さん主演)をはじめこれまで何度も観ていますが、大地真央さんと花總まりさん初共演ということでこれは観てみたい!となりました。
時代も組も違いますが、男役、娘役のトップスターとしてともに活躍したお二人。
月組「ピガール狂騒曲」」でクリーンヒットを放った宝塚歌劇団の原田諒先生が演出、衣装も宝塚の有村淳先生、本編終了後には歌とダンスのフィナーレつき、と“宝塚み”ある舞台となりました。
「おかしな二人」
作: ニール・サイモン
潤色・演出: 原田諒(宝塚歌劇団)
翻訳: 伊藤美代子
美術: 松井るみ
音楽: 玉麻尚一 衣装: 有村淳(宝塚歌劇団)
出演: 大地真央 花總まり シルビア・グラブ 宮地雅子
平田敦子 山崎静代 渡辺大輔 芋洗坂係長
2020年11月6日(金) 1:00pm シアター・ドラマシティ 6列下手
(上演時間: 2時間50分/休憩 30分)
物語の舞台は1970年代のニューヨーク・マンハッタンにあるオリーブ(大地真央)のアパート。離婚して一人暮らしのオリーブは不精な性格で部屋は荒れ放題に散らかっていますが、女友達が毎日のように集まっては、ゲームやおしゃべりで盛り上がっています。そこへ、夫から急に離婚を切り出されたフローレンス(花總まり)がやって来ます。オリーブは行くあてもなく傷心のフローレンスに人生を変えてみたらと自分の部屋に住むことを提案、二人の同居生活が始まりますが、フローレンスは潔癖症できれい好き、正反対の性格の二人は衝突を繰り返し・・・。
マンハッタンの夜景が見えるアパートの一室は脱ぎ散らかされた衣服や片付けられない本、新聞などであふれ返っていますが、ポップでカラフルで何だか楽しそう。これを見ただけで、この部屋の主オリーブが「とてもすぼら」だけど「細かいことは気にせず」「楽しく生きている」ことがわかります。
二幕は一幕とは打って変わって見違えるほど綺麗に片付いたオリーブの部屋。
隅々まで掃除に余念がなく、遊びに来た友人たちにも手づくりのお料理をサービスするなど主婦力を発揮するフローレンスですが、オリーブとの衝突は避け難く、すったもんだの末にオリーブとフローレンスの同居生活は破綻。
ついに「出て行って!」とフローレンスに言い放ったオリーブですが、ずっと電話でお金を無心していた元夫がお金を全部返して、もう電話はしないと言われて孤独感に沈みます。
一方、オリーブの部屋から出ていったフローレンスはエレベーターでスペイン人兄弟と会い、彼らの部屋に住まわせてもらうことになります。
何かがふっきれて表情も明るいフローレンス・・・それまでの二人の立場が逆転したような、人生のほろ苦さも感じられるラストでした。
原田先生の演出は、ストレートプレイながら、オリーブはじめ友人たちも台詞の間にちょっぴり歌が挟み込まれてたり。
そして、スペシャルカーテンコール。
芋洗坂係長と渡辺大輔のタップから始まります。
もちろん歌もたっぷり。渡辺大輔くんの歌声、久しぶりに聴きました。やっぱりいい声だわぁ~。
そして、黒のドレスの大地真央さん登場。「Get Happy」を歌い踊った後、花總まりさんが合流して、いろいろなミュージカル曲メドレー。宝塚ファンなら誰でも前のめりになりそうな豪華デュエットですが、シルビア・グラブさんの歌唱もとても印象的でした。
大地真央さんが圧倒的な華と存在感で舞台を牽引。
自信に満ちて堂々としていて、小さなことにこだわらない大らかさがあって、でも別れた夫からお金を無心されるとつい応じてしまうかわいらしさと情の厚さもあって。
もとより口跡のよい役者さんですが、早口で機関銃のようにまくし立てても言葉の一つひとつがちゃんと届きます。
これに対して、コメディ初挑戦の花總まりさんは体当たりの熱演。
こっくりメイクした大地さんと対照的に、「スッピンかな?」というくらい薄いメイクの花總さん。泣いたり笑ったり怒ったり、あんな表情する花總さん観るの初めて、というくらい“顔芸”もたくさん見せていただきました。
ただ、この二人のキャスティングはよくも悪くも“想定内”だなと感じました。
いろんな意味でフリーダムなオリーブに、居候のフローレンスが振り回される展開。
やっぱりこの配役になるよね、という感じ。むしろ逆のパターンでもおもしろかったのではないかな。
女友達4人は皆個性的で、それぞれが持つ人生の翳りのようなものもチラリと垣間見せてよかったです。
シルビア・グラブさん筆頭に、皆さんこの役なのがもったいないような贅沢な配役です。
オリーブのアパートの上階に住むスペイン人兄弟の芋洗坂係長さんと渡辺大輔さん。
体形もお顔も全然似てなくて兄弟に見えないけれど(笑)、陽気なスペイン人兄弟、楽しかったです。歌もダンスもお上手ですが、台詞もよく通るいい声兄弟。
年齢層高くて客席もロビーも結構カオス💦 の地獄度


