2020年10月22日

男役 凪七瑠海集大成 「パッション・ダムール -愛の夢-」


passiondamour.jpg専科の凪七瑠海さんの初コンサート。
3歳のころから宝塚歌劇を観ていて、岡田敬二先生のショー「ル・ポァゾン」が大好きという凪七さんが、雪組の精鋭16名とともに彩るロマンチック・レビューの世界。


宝塚歌劇 
凪七瑠海コンサート ロマンチック・ステージ
「パッション・ダムール -愛の夢-」
作・演出: 岡田敬二   
作曲・編曲: 𠮷﨑憲治  甲斐正人  植田浩徳
振付: 羽山紀代美  御織ゆみ乃  
若央りさ  百花沙里
出演: 凪七瑠海/千風カレン  天月翼  沙羅アンナ  
叶ゆうり  星南のぞみ  彩みちる  希良々うみ  
眞ノ宮るい  汐聖風美  縣 千  有栖妃華  一禾あお  
莉奈くるみ  壮海はるま  愛陽みち  紀城ゆりや

2020年10月19日(月) 2:30pm 宝塚バウホール 15列センター
(上演時間: 1時間50分/幕間 30分)



岡田敬二先生のロマンチック・レビューの中から“男役の美学”を表現したシーンを選んで構成、凪七さんが八変化するというコンサート。
全部の作品や楽曲を知っているという訳ではありませんが、いかにも宝塚の王道レビューという雰囲気。
大劇場のショーだと展開がスピーディで場面ごとの出演者も多く、目が足りないと感じることが多々ありますが、17名の出演者で曲も全体的にゆったりしたものが多く、楽しく拝見。時間短めだけどコンサートとしてちょうどよかったな(NZMは長すぎて・・以下自粛)


凪七さんの八変化は
冒頭の真紅のスパニッシュスタイルから、宝塚人生で初めてというムチを持ったガウチョスタイル→淡いブルーの王子様→キリリとスーツを着こなしたジゴロ→白燕尾→ハードボイルド→軍服の学生王子→黒燕尾でボレロ という展開。
クラシカルな雰囲気のショーに凪七さんの持ち味がよくハマって、のびやかで力強い歌唱、シャープなダンス、甘いマスクに品よくスマートな所作、細身のシルエットにどの衣装もよく映えて、まさに正統派男役 凪七瑠海の集大成といった趣き。
センターに立つ姿がよく似合って、カチャ、どうしてトップになれなかったのかなあと思うことしばしば。


どの場面もよかったですが、一幕では「Amourそれは…」からの「妖精の森」と「ル・ポァゾン」からの「愛の誘惑」という対照的な場面が特に印象的。
「妖精の森」は色とりどりのドレスを着た妖精たちの中に王子様が迷い込んで妖精の一人(星南のぞみ)とデュエットダンスを踊るという宝塚らしい夢のような場面。妖精たちのふんわりしたドレスがどれもわたあめのように淡くやさしい色合いで、いかにも岡田先生のショーらしいロマンティックな色彩だなぁと思いました。

一転して縣千さんのソロに始まった「愛の誘惑」
細身のスーツ着こなした凪七さんはじめ男役陣のクールでセクシーな群舞。
そしてそれに続く、妖艶な娘役たちとのダンス。やっぱり名シーンです。
この場面の凪七さんの相手役は彩みちるさんで歌は希良々うみさん。
前の場面の星南さんとガラリと雰囲気違って、適材適所だなぁと(笑)。

最初にソロを歌った縣千さんが着替えて途中から群舞に合流するのですが、前でみんなが踊っている時にホリゾント下手から走って出てきて正面階段後ろでスタンバイ、センター割って入ってくるというスター登場でした。
縣くん、この場面以外にも今回大活躍で、歌ありダンスあり。ダイナミックにガシガシ踊るダンスは凪七さんの持ち味とは対照的でそこがまたよかったです。どこにいても目を惹くし、バウホールとはいえ舞台空間を一人で埋められる華やかさもあって、まだ新公学年ながらさすがな存在感でした。


そして一幕ラスト
美しい白燕尾の凪七さんが歌った「ALL BY MYSELF」を聴いていてウルウル
  あの頃若さに溢れ 気づかずにいた思い出
  輝く自分だけ信じ 自分に酔っていたから
  若さゆえに 愛する人たち傷つけ
  懐かしいあの頃のことを できることならこの手に

寄る年波か、若き日のことを振り返って悔いる歌詞に近ごろ滅法弱いのよ

後で観たスカイステージの突撃レポートで凪七さんが「バウホールは音楽学校時代の文化祭で初めてステージに立った場所。そんなこともあって・・・」とこの場面で同期の望海風斗さんからもらったカフスをしているとおっしゃっていました。望海さんが退団するにあたって「何がほしい?」と聞かれたので「カフス」と言うと早々にプレゼントしてくれたので、と。
きっと若かった2人の思いがいっぱいつまったバウホールなのだろうなと、これを聞いてさらにウルウル。

この場面で凪七さんと踊るのは、眞ノ宮るいさん、縣千さん、一禾あおさん、壮海はるまさん。選抜チームの中のさらに選抜男役4名かな。


二幕は「ダンディズム」の「ハードボイルド」から。
スーツの眞ノ宮るいさんと縣千さんという男役同士の濃厚なタンゴ、見応えありました。
縣千さん、オールバックで男くささムンムンでした。
凪七さんは太めのストライプのスーツで登場。表情もガラリと変わってクールでカッコイイ!

「GOLDEN DAYS」からの「学生王子」は男役全員士官の軍服。
娘役は一幕の妖精とはまた少し雰囲気の違った美しいドレスの令嬢。
台詞はもちろんありませんが、物語が見えるような美しく切ないシーンでした。
ここでも凪七さん学生王子と踊るのは星南のぞみ令嬢。やっぱり適材適所(笑)。

ラストは「愛のボレロ」で締めくくりでした。

場面の合間合間に「間奏曲」として雪組メンバーが歌う場面があって、大劇場公演ではあまりないソロ歌唱をたっぷり聴けたのもよかったです。
縣千さん以外にも、叶ゆうりさんの「Smile」、そして真彩希帆二世(と私が勝手に呼んでいる)有栖妃華さんが美声を響かせた「仙女の祈り」がとりわけ印象的でした。


カーテンコール
カーテンコールでは毎回3人のトークコーナーがあるのですが、この日は凪七さんが「今日は皆様にご協力いただきたいことがあります。この中に今日がお誕生日の子がいます」と彩みちるちゃんを紹介。その時点で「えぇ~っ」とすでに泣きそうなみちるちゃん。
舞台、客席一緒になって(客席は小声で)Happy Birthday を歌ってお祝いしました。
感激して涙ナミダのみちるちゃん。
凪七さんにひと言と振られ、「当たり前のことが当たり前ではなくなった今、一瞬一瞬を大切に感謝の気持ちを忘れず進んでいきたいと思います」とおっしゃっていました。

そんなみちるちゃんの涙をやさしくぬぐった後「そして、雪組トップスター わが同期の望海風斗も今日がお誕生日。おめでとう!日本のどこかにいるでしょう。地球上のどこかにいるでしょう」とバウホールのステージ移動しながら空に向かって、「おめでとー!おめでとー!」と。笑いながら一緒に空を見上げる雪組生たち。何とも幸せな光景でした。

トークは、紀城ゆりやさん、汐聖風美さん、眞ノ宮るいさんの3人。
最下級生の紀城ゆりやさんは「『Puck』のファンで凪七さんのダニーが大好きで一緒に舞台に立つなんて夢みたい」と。
凪七さんが1年前に雪組に出演した時(壬生義士伝/Music Revolution!)は研1でまだ雪組生ではなかったそうです。
「ずっとこの公演が終わらなければいいと思うくらい好き」ととても初々しい。

汐聖風美さんは「その『Puck』に同期の希良々うみと組まわりで出ていました」と。
岡田先生のお話をするのに、「この公演の作・演出をさせていただいた・・・」とまるで自分がつくったように言ってしまい、「(あなたが)演出家だったのか!」とツッコむ凪七さん。舞台も客席も笑いに包まれました。
隣で笑いころげる同期の希良々うみさん。あまりにも爆笑しすぎて横の叶ゆうりさんがペシッと叩いていました。さらにその隣でおなか押えて笑う縣千さんも目撃。何とも楽しい光景でした。

眞ノ宮るいさんは「『愛の誘惑』のダンスが昔から好きで好きで・・・あのこうするところ」と手振りすると、「そう!あそこねっ!」と凪七さん一歩踏み出して2人で熱くヅカヲタトーク展開していました。


最後に「さよならGoodbye」そしてもう一度カーテンコールで凪七さんのご挨拶の後、「本当の最後に」主題歌「パッション・ダムール」を歌って幕となりました。

いかにもザ・タカラヅカなコンサート。
凪七瑠海さんのスターぶり、雪組メンバーの層の厚さ、そして宝塚の王道ショーの楽しさを存分に味わえたコンサートでした。




トークコーナー長くて終演時間10分押しだったけどぜーんぜん許す のごくらく度 (total 2168 vs 2167 )



posted by スキップ at 16:18| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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