
昨年の巡業 東コースで、初顔合わせとなった幸四郎さんと猿之助さんの「かさね」。
7月にびわ湖ホールで観て、「幕が下りた瞬間、『もう1回観た~い!!』となった演目。歌舞伎座か松竹座の本興行でやっていただけないかしら。」とその時の感想(こちら)に書いたのですが、その願いが叶えられた形。
それでも昨今の情勢を鑑み、観に行こうかどうしようか葛藤した(から案内届いてもしばらく申し込まなかった)のですが、人生明日は何が起こるかわからいなし、後悔ないようにしようと考え直して行くことにしました。
昨年は11回通った歌舞伎座。なーんと、今年初です。
九月大歌舞伎 第二部
「色彩間苅豆」(いろもようちょっとかりまめ) かさね
出演: 松本幸四郎 中村隼人 中村鷹之資 市川猿之助
2020年9月24日(木) 1:40pm 歌舞伎座 1階5列下手
(上演時間: 50分)
武家に仕えていた与右衛門(幸四郎)は、腰元のかさね(猿之助)と道ならぬ恋の果てに心中を約束した仲でしたが、かさねを残して出奔。追ってきたかさねと木下川の堤で再会します。そこへ卒塔婆と鎌の刺さった髑髏流れて来ます。与右衛門が拾って卒塔婆を折り、髑髏に刺さった鎌を引き抜くとさねは悲鳴をあげて倒れ、美しいかさねの顔が見るも恐ろしい形相へと一変します。これは、与右衛門が行った悪事の因果で、実は与右衛門はかさねの母と密通し、父を殺していたのです。与右衛門はその鎌でかさねを殺しますが・・・。
やはり歌舞伎座で観る「かさね」は格別です。
何でしょう?演目の感動は別の何かがふつふつと沸いてきて、幸四郎さん与右衛門がダンッダンッと力強く所作台踏み鳴らす音を聴いていたら涙出てきました。
幸四郎さんと猿之助さんはさすがに息もぴったりですが、公演期間終盤のせいもあってか、昨年観た時よりさらに物語に深みと濃厚さが増したように感じました。
お二人揃ってお得意の踊りはもちろん、姿形、決まり決まりの美しさにも見惚れました。
花道から出てかぶった菰を取って並ぶ姿の美しさ
怖ろしくも哀しい、壮絶なまでの殺し場
帯を長く垂らしたかさねと傘ごしに後ろから鎌を振り下ろそうとする与右衛門
かさねの断末魔の海老ぞり
怨念となって与右衛門を呼ぶ手の切ないまでの美しさ
抗い抗いながらも引き戻されずにいられない与右衛門
どれを切り取っても錦絵のような美しさでした。
猿之助さんのかさねは、可憐な登場から与右衛門への一途な思い → 裏切られたと知り、醜くなった自分の顔を見せつけられた時の哀れさと絶望 → 凄まじいまでの怨念と情念 と、表情はもちろん、身にまとう雰囲気まで変わっていくのがお見事。
昨年観た時にも感じましたが、死んでしまったかさねの左手だけがそっと動いて与右衛門を手招きするその哀しいまでの美しさに引き寄せられて目が離せませんでした。不気味なのだけど哀しく切ない。あれは与右衛門でなくても連理引きされるよねー。
トーンを抑えた台詞に冷酷な美しさが際立つ、ザ・色悪の幸四郎さんの与右衛門。
雨に濡れた髪をなでつける仕草の色っぽさ、かさねの帯蹴り上げて橋の下に垂れ流す荒々しさ、醜い顔となったかさねに鏡をつきつける冷酷さ・・・たまらんね(←どんなM?アゲイン)。
かさねの怨念に引き寄せられながら必死に逃れようと何度も何度も抗う与右衛門・・・連理引きされたら日本一では?
とはいえ与右衛門はクズ。超絶色っぽいけどほんとクズ(好き

捕手の隼人くん、鷹之資くんは後半黒マスク姿でご登場でした。

八月と同様、筋書は販売されず、入場者に無料でこのパンフレットが配布されました。
舞台写真買うのも久しぶりでテンション上がり、ナマ幸四郎さんに飢えていたのもあって舞台写真爆買いしたよね のごくらく地獄度



