歌舞伎俳優をゲストに迎えて歌舞伎座ギャラリーで不定期に開催されているトークイベント「歌舞伎夜話」。
その特別編がオンライン配信されることになって、第一回目のホストが松本幸四郎さん･･･とくれば「そんなの、観るに決まってるー！」です。
こんなふうに「529 8:00pm」とメモしてカレンダーに貼っていたにもかかわらず、なぜか9時開始と思い込んでいていささか出遅れましたが、ライブで楽しく視聴しました。見逃した冒頭部分はアーカイブで。
歌舞伎夜話特別編 「歌舞伎家話」 第一回
出演： 松本幸四郎 尾上松也（ゲスト）
2020年5月29日（金） 8:00pm配信開始 （約1時間）
幸四郎さん曰く、テーマは「凄艶」（すごつや）ということでしたが、凄艶だったかどうかはともかく、楽しいトークでした。
ホストである幸四郎さんがゲストに松也くんを迎えて･･･というより、相変わらずマイペースでフリーダムに話す幸四郎さんに松也くんが気を遣いながら合わせる、といった雰囲気。
幸四郎さんと松也くんのトークといえば5年前の博多座 バレンタイン KABUKI NIGHT 思い出します
あの時も松也くん、フリーダムな幸四郎（当時染五郎）さんをちゃんとフォローしつつツッコミもしっかりの「できる子」ぶり発揮してました。2人でラッスンゴレライ（懐かし）やったり、楽しかったな（レポはこちら）。
お二人ともご自宅からの配信でしたが、幸四郎さんの後ろの壁には何だか小さな角型のものがたくさん貼ってあって、松也くんが「それは何ですか？」と聞くと、ミニチュアの歌舞伎セット。
冒頭のプロモーション画像でも前に並べていらっしゃいますね。
松也くんはこの状況になってアロマキャンドルに凝っているということでキャンドルの灯りの中で妖しげな雰囲気。アロマキャンドルのよさを力説されていましたが、幸四郎さんはあまり興味がなさそうで、「ただ聞いてるだけって表情やめてもらえます？」と松也くんにツッコまれていましたw
◆ 三谷かぶき
昨年6月に上演された三谷かぶき「月光露針路日本 風雲児たち」のお話で、10月に公開されるシネマ歌舞伎の予告編動画が流れました。1年前かぁ･･･すでに懐かしい。
犬ぞりの場面は三谷さん案では当初 馬10頭の予定だったとか。
それを犬に変更するにあたって「振付のあづみれいかさん」という幸四郎さんの発言がありましたので「あの（宝塚OGの）あづみれいかさん？」と昨気になって年の筋書調べてみましたが、振付はどなたかわからず。
あれこれ調べる中で、麻乃佳世さんのFacebookにこんな一文を発見。
･･･二幕の最後に、犬ぞりのシーンがあるのですが、ワンちゃん達の動きを、振り付けさせて頂き、ワンちゃん達がいとおしく･･･
あのシーンに宝塚OGさんがかかわっていらしたとは。
◆ 劇団☆新感線
松也さんが昨年「メタルマクベス」に主演した劇団☆新感線のお話も楽しかったです。
「新感線はカッコいいね！とおもしろいね！の連続」と幸四郎さん。
幸四郎さんが「阿修羅城の瞳」で初めて新感線の舞台に出た時、殺陣の稽古で「歌舞伎だと一人斬るとバーッと倒れてくれるけど、新感線は一人ずつ斬ってくれと言われて･･･」。
また、新橋演舞場の揚幕さんが演出のいのうえひでのりさんに「花道はいつも走って出入りしなくてもいいんですよ」と言われて、それに対していのうえさんが、「でも走りたくなるじゃん、あんなまっすぐな道」とおっしゃったそうです。
「確かに新感線はほぼ100% 花道は走ってますよね」と松也くん。
歌舞伎では花道を悠然と引っ込むことが多く、「逆に歌舞伎以外の友人から、よくあんなにゆっくり歩けるよね」と言われるのだとか。
◆ 質問コーナー
事前に募集された質問に答えるコーナーもありました。
・リモート歌舞伎を映像でやるのは？
幸：1時30分ごろから真夜中の歌舞伎とか朝6時5分前から早朝歌舞伎とかいいですね。
松：歌舞伎の見得は映像で言うクローズアップだから見得をアップにするとさらにクローズアップになってしまいますね。
・宇宙人に会ったら？
幸：とにかくすぐ謝る。何もされてなくても謝る。
・タイムマシンがあったらどの時代に行きたい？
松：本物の芝居小屋に行って芝居を観たい。肌で感じたい。
幸：明治時代。世の中が髷を切り、洋服を着る方向へと進む中で、歌舞伎で髷を切るのをやめた＝変化を止めることをした人で、その人に会いたい。
・ステイホーム中に買ったものでお気に入りのものは？
幸：鏡付きのメイクボックス。自動で鏡とライトが出てくる。
松：今、Game Of Thrones（ゲーム・オブ・スローンズ）にハマっていまして、玄関マット買いまし
･･･と実物見せるも幸四郎さん全く興味を示さず、「はい。幸四郎さん興味ありません。次いきましょう」と松也くん。
・体を鍛えている？
松：ジムには行ってます。
幸：筋トレってこと？
シックスパッドあるんだけど、300回腹筋してるのと同じらしいけど、低周波マッサージじゃないのか、という。
松： まぁ、あれは食事制限とかしないとなかなかね。
幸： 写真はそうなってる。今度舞台に立つ時はBefore Afterくらいになりたい。
・歌舞伎がまたスタートしたら何をやりたいか？
松：歌舞伎の醍醐味を皆さんに観ていただきたい。この機会だからこそ、歌舞伎の新たな道を開けるように。待っているだけではダメなので。
幸：何の芝居がやりたい？
僕はまず「沼津」と「義賢最期」。播磨屋のおじさまに教えていただいたものを披露する場がほしい。
幸：あとやったことないものでは（とミニチュア見せながら）「助六」。
松：僕も「義賢最期」は仁左衛門さんのお兄さんに教えていただいて、またやりたいです。
渡海屋の大物浦も。「義経線本桜」の中でもあれて一番だと思います。
◆ 今度歌舞伎座に立つ時は
幸四郎さんは、今回のことで「変わると思う。元に戻ることはない」とおっしゃっていて、現実を見据えて覚悟を決めていらっしゃる雰囲気がひしひしと伝わってきました。
「3月20日（『三月大歌舞伎』を無観客で収録した日）終わって出る時に、今度来る時は、今歌舞伎をつくっている人、出演者スタッフ全員一人も欠けず、客席を満杯にして歌舞伎座を開けようと思いました」「その時のためにストックしておきたい」と。
聞いていて泣きそうになりました。
そして、この言葉を聞けただけでもこの「歌舞伎家話」を視聴した価値あったなと思いました。
「自分にとって、お客様の前に立って表現することが生きがい」と松也くん。
「芝居したいですね」
「したいです」
と言葉を交わし合う幸四郎さんと松也くん。
「あれがしたい、これがしたい、こうなるべきだといおう思いは話せたと思います」と幸四郎さん。
歌舞伎座が再開した暁には「是非観に来て」（このフレーズ、トーク中何回も出てましたｗ）
「2人で話してんだから。出してよ！」という松也くんのツッコミで幕となりました。
当初予は約45分ということでしたが、1時間オーバー。
楽しくあっという間の「歌舞伎家話」でございました。
次回は松也くんホストで中村七之助くんと小栗旬くんがゲスト。
というか、今回も松也くんホストみたいだったよねぇ のごくらく度
(total 2101 vs 2110 
) 
