
三月大歌舞伎 夜の部 「高坏」
出演: 松本幸四郎 中村亀鶴 大谷廣太郎 大谷友右衛門
2020年3月20日 歌舞伎座にて収録
(上演時間: 31分)
主人の大名某(友右衛門)、太郎冠者(廣太郎)とともにお花見に出かけた次郎冠者(幸四郎)。大名から高坏(たかつき)を買ってくるように命じられた次郎冠者ですが、高坏がどんなものかを知らず、高足売(亀鶴)に騙されて高足(下駄)を買わされた挙げ句、酔い潰れてしまいます。
大名と太郎冠者は怒りますが、酔っ払った次郎冠者は、高下駄をはいて陽気にタップダンス。怒っていた二人も、つられて楽しく3人で踊り出して大団円という一幕。
勘三郎さんがお得意にされていた演目で、勘九郎さんでも観たことがありますが、幸四郎さんで拝見するは初めてでした。
染五郎さん時代には演じられたことがあるようですが、それは観ていなくて、初めてのディナーショー(2013年11月18日 目黒雅叙園)の質問コーナーで、
「質問ではありませんが、『高坏』をやってほしい」
「それは松竹に言ってください(笑)」
といったやり取りの記憶がありますので、7年ごしに松竹さんが私たちの願いを聞き入れてくださった形です・・・それなのにナマで観られなかったのは本当に残念。
酒に酔った次郎冠者が、タップダンスのように下駄を踏み鳴らす場面がクライマックスで、北野武監督の映画「座頭市」のタップダンスシーンはこの演目からインスパイアされたというのは有名なお話。
若いころに比べるといささか体が重そう(笑)にはなったものの、幸四郎さんの芯のブレない踊りに軽快な足さばき、力強いステップは観ていてとても気持ちがよく、そこばかり何度もリピートした上に演目自体も最初からもう一度観直したり。
踊りはもちろん、幸四郎さんのふわりととぼける豊かな表情も楽しくていつまでも観ていたい感じ。
その前の高足売りとのやり取りもとても面白いです。
朴訥な感じの幸四郎さん次郎冠者に対して、いかにも「しめしめ」という感じの亀鶴さん高足売り。
こんな役の亀鶴さん、さすがの上手さが光りますし、幸四郎さんのとの掛け合いのコンビネーションも抜群でした。二人の格子柄のお着物も可愛かったな。
最後にリピートした時はそのまま眠ってしまって、歌舞伎座の客席でたった一人で、「何で他のお客さん誰もいないの~?」と泣きそうになりながら下駄タップ観てる、という夢で目覚めましたとさ。
あー、これナマで観られなかったのが返す返すも残念 の地獄度


