星組新トップコンビ 礼真琴さん&舞空瞳さんお披露目公演。
宝塚大劇場のゼロ番に立つことちゃんに胸いっぱいです。

普段撮らない大劇場のこれも撮ってみました。
学年順で ↓ が礼真琴さん,
ほぼ真ん中で、やっぱり若いトップさんだな~と改めて思います。
ちなみに、舞空瞳さんは一番右端でここに掲出された中で最下級生。


幻想歌舞録 「眩耀の谷 ~舞い降りた新星~」
作・演出・振付: 謝 珠栄
作曲・編曲: 玉麻尚一 小澤時史
振付: 平澤智 中国武指導: 陳 静
装置: 國包洋子 衣装: 加藤真美
出演: 礼真琴 舞空瞳 愛月ひかる 万里柚美
美稀千種 白妙なつ 天寿光希 音波みのり
大輝真琴 輝咲玲央 夢妃杏瑠 漣レイラ
ひろ香祐 瀬央ゆりあ 綺城ひか理
有沙瞳 天華えま 小桜ほのか 極美慎
天飛華音 水乃ゆり/華形ひかる ほか
2020年2月9日(日) 3:00pm 宝塚大劇場 1階9列下手/
2月11日(日) 3:00pm 1階5列センター/2月13日(木) 2階1列下手/
2月27日(木) 3:00pm 2階14列センター
(上演時間: 1時間35分)
物語の舞台は 紀元前800年ごろの中国。
周の宣王(華形ひかる)は、亜里の地の小国・汶族を滅ぼし、汶族の聖地「眩耀の谷」にあるという黄金目当てに管武将軍(愛月ひかる)に谷の攻略を命じます。将軍の指揮の下、新しく大夫となった丹礼真(礼真琴)が探索に向かい、なかなか見つからない中、謎の男(瀬央ゆりあ)に導かれ「眩耀の谷」に辿り着きます。そこで出会った盲目の瞳花(舞空瞳)や汶族の男たちから、それまで自分が聞いていたこととは全く違った事実を知らされた礼真は・・・。
たとえば「阿弖流為」もそうですが、抑圧された民が中央権力に抗って立ち上がる姿が好物なので、物語としては好きなジャンル。
ただ、トップお披露目の作品としてはいささかテーマがシリアスで地味かなというのが最初の印象でした。
そして、言葉が難しい。
名前や地名もそうですが、「じゅうてき」と言われて、「戎狄」という漢字が浮かぶ人、います?(笑)
戎狄といえば、汶族が歌う「戎狄の烙印」という曲が歌詞もメロディもとても好き。
戎狄という烙印押され 蔑まれ 卑しめられ
耐え続けた我ら汶族
仕掛けられた戦いには 立ち向かっていくだけ
傷つくこと 恐れはせぬ
選ぶ道は 他には なーいー
信じていたものが崩れ去り、管武将軍や家臣の慶梁(天寿光希)といった信じていた人たちに裏切られ、自分が本当になすべきこと、進むべき道を見つける礼真。
様々な真実が明らかになり、たくさん人が死んで、最後に一気に収束を迎える物語。
ここのところがちょっとあっけないというか性急な印象ですが、上演時間の制限もあるのかな。
いやそれにしても汶族の人たち、麻蘭王と同じアレ持っているというだけでそんなにすぐ礼真を新しい王と信じていいのか、とか、ツッコミどころもありますが、回を重ねて観るたびにより好きになりました。
特にラスト。
礼真の言葉を信じて、眩耀の谷を捨てて新天地を目指して苦難の道を行くことを選ぶ汶族の人々。
礼真こと礼真琴さんが先頭に立って進み、一族の長たるタカモクこと同期のひろ香祐さんがそれに続いて、舞空瞳ちゃんがいて、続々とみんなが続いて・・・新しい星組の旅立ちへの謝先生の祝福と激励が込められているようで、毎回グッときてウルウル。
負け戦に命を顧みず突っ込む、とか、何万の敵に少数の兵で立ち向かって奇跡的な勝利を収める、とか、ありきたりのヒーローものとは違った少し苦い終わり方も好み(後日譚でハッピーエンドが語られる訳ですが)。
終わり方は一気ですが、回数重ねて観ると伏線がたくさんあってそれらはきちんと回収されている緻密な脚本。
(カイラが瞳花に心を寄せている?っていうところだけは置き去りにされていた気がしますが。)
謝先生の振付がとても個性的で、タカモク率いる汶族たちの騎馬を採り入れたような群舞や管武将軍や礼真たちの剣舞、宮廷の踊り子たちの踊りなど、どれも凝っていて美しくシャープ。それを踊りこなす星組生たちに胸熱でした。
眩耀の谷をはじめ装置や衣装もステキ。


礼真琴さんの礼真。
これは礼真の成長物語にもなっていて、最初はそんなに人の言うことをすぐ信じて大丈夫か、というくらいただの元気な好青年だった礼真が、真実を知り、人々の苦しみを理解し、自分の進むべき道を自分で選ぶという生き様に合わせて、表情はもちろん声まで変わっていくという細やかな演技。その礼真の成長がそのまま礼真琴さんのトップとしての軌跡に繋がっていくよう。
悩み苦しみながらも汶族を率いる者となる礼真は、麻蘭王が、ひいては瑠璃瑠(るりる)の神が汶族に導いた”約束された王”。
それはそのまま、下級生の頃からずっと抜擢されそれに応えてきて”約束されたトップ”となった礼真琴さんに重なります。
大劇場に鳴り響くのびやかな歌はもちろん、キレッキレの剣舞も披露してくれています。
ラスト、キリリとした佇まいで凛と立つ姿に「トップになったんだなぁ」と改めて感じました。
本当におめでとう

舞空瞳さんの瞳花。
盲目で子どもまでいる舞姫という難しい役ですが、ビジュアルの可愛らしさはもちろん、控えめながらも芯が強いという雰囲気も、麻蘭王の妹という品もあってよかったです。
ラスト近くで憑き物がついたように踊り出す舞踊の迫力と美しさ。まるで床が回っているようにくるくる回るのに芯がぶれないの、すごかったな。
愛月ひかるさんの管武将軍。
ショーのフィナーレで赤い大羽根背負って、この公演が正二番手お披露目となりました。
愛月さんの星組加入がとてもよい効果をもたらしていると感じました。
管武将軍自身は、礼真が憧れる武将でありながら権力には逆らえず、保身のために瞳花に産ませたわが子まで殺してしまう冷酷さも持ち合わせているような人間ですが、愛月さんが演じるとスケール感があって説得力ある人物に感じられます。
♪国も人も動くのは 仁でもなく義でもなく ただひとつ 利 の『利』が完全に愛ちゃんの声と言い回しでインプットされました。
瀬央ゆりあさんの謎の男。
それほど謎でもなく(笑)、はは~ん、麻蘭王の亡霊だな、と、わりとすぐわかっちゃうのですが、それはさておきとてもよかったです。
ビジュアルはもとよりカッコいいのですが、歌もうまくなったなぁ。
♪真を知るは勇気がいる その重責にも耐えられるか~ と礼真とのデュエットは2人の声の親和性にオドロキ。
これがサヨナラ公演となる華形ひかるさんの宣王。
出番は多くありませんが、他を威圧するようなさすがの存在感。
でも実は、敏麗(音波みのり)の言いなりですよね。
その音波みのりさんの敏麗。
高圧的な声と態度、いかにも王を操っている巫女という雰囲気のある女性。
はるこちゃん、やっぱり上手いなぁ。
「戎狄ごときがっ!」と吐き捨てるように言っていたので、汶族に何か恨みでもあるのかな?
汶族はもうみんな好きなのですが、まずはひろ香祐さんのタカモク。
いや~、ひーろー 何とステキなイケおじになったことでしょう。
ワイルド系の容貌にお鬚がよく似合って、押し出しも包容力もあって情に厚いリーダー。
汶族の群舞がとてもいいのは、ダンスも歌も上手いひろ香さんが真ん中で引っ張っていることも大きいと思います。
これが星組デビューの綺城ひか理さんのカイラ。
失礼ながら花組時代はいつも何人かと一緒のイメージで突出した印象はなかったのですが、今回はっきりと認識できました。
長身、クールで華やかな顔立ち、低い声。めちゃくちゃステキやん!
愛月さん同様、綺城さんの加入も星組にとてもよい刺激と相乗効果をもたらしていると思います。
そのカイラといつも行動を共にしているクリチェの天華えまさん、美しい面差しがひと際目を惹くウルマン 天希ほまれさん、いつも嘆いて怒っている感じのイムイ 極美慎さん・・・と汶族 ほんと目が離せません。
そんな中、目立ったのは天飛華音さんのテイジ。
102期のかのんくん、ただ今爆上げ中。
夢妃杏瑠さんアルマの弟で、姉を心配して探しに行ったところを捕らえられ、礼真が助けようとするもむなしく姉弟ともに死んでしまうという役。その前の拷問されるシーンも、牢獄の場面も涙。
かのんくん、ダンスもいいけどお芝居上手いワ。末おそろしい子!
そんなこんなのラストを一気に持っていくのが有沙瞳さんの春崇。
琵琶を弾く語り部で、折にふれて出てきて、美しく聞き取りやすい声でストーリー展開を説明してくれます。
そして、「長々とお話を聞いていただきましたわたくしは、礼真と瞳花の娘 春崇と申すものでございました」に驚きつつ「そうだったのかー!」となりました。これは謝先生の仕掛けの勝利かな。

紹興酒と桂花陳酒にジンジャーエールを加えてライチシロップを入れた「輝煌」(きこう) おいしかったです。
ショー編につづく →