
情報公開された時、「えぇ~っ 宇宙人?!トンチキなの?」と脱力する思いでしたが、意外にも(笑)楽しくて切なさも混じるファンタジーで、出演者みなイキイキ。
そして何と言っても鳳月杏さんの魅力炸裂です。余裕たっぷりでカッコよくて色っぽいちなつさん。
劇中、♪ココマジデジマ マジデジマ と歌うのはシーボルトですが、ほんと、マジちなつ、カッコいい!惚れ直したゼ。
宝塚歌劇月組公演
デジタル・マジカル・ミュージカル 「出島小宇宙戦争」
作・演出: 谷貴矢
作曲・編曲: 太田健 高橋恵
振付: 若央りさ 桜木涼介 KAORIalive
出演: 鳳月杏 海乃美月 暁千星 光月るう 紫門ゆりや
白雪さち花 佳城葵 英かおと 蘭尚樹 風間柚乃
菜々野あり 蘭世惠翔 柊木絢斗 詩ちづる/梨花ますみ ほか
2020年2月12日(水) 6:30pm シアター・ドラマシティ 16列上手
(上演時間: 2時間30分/休憩25分)
舞台はまだ鎖国をしていた江戸時代の長崎・出島。
この地に外国人に紛れ宇宙人が忍び込んでいるという噂が飛び交う事態に、幕府は公金を使い込んで捕らわれの身となっている天文方で宇宙研究の第一人者であるカゲヤス(鳳月杏)に潜入調査を命じます。かつてタダタカ(光月るう)のもとで共に学び、樺太を探検した御庭番 リンゾウ(暁千星)とともに出島にやって来たカゲヤスは、奇妙な外国人シーボルト(風間柚乃)や不思議な遊女タキ(海乃美月)と出会います・・・。
カゲヤスは江戸時代の天文学者 高橋景保
リンゾウは同じく江戸時代将軍家御庭番であり探検家の間宮林蔵
そしてタダタカは言わずと知れた日本地図を完成させた伊能忠敬
と、実在の人物の名前と設定を採り入れていますが、お話は荒唐無稽なファンタジー。
噂の宇宙人を探索するカゲヤスが出会った女性 タキが実は宇宙人・・・というか月の女王 ツクヨミ(梨花ますみ)から送られた使者カグヤ。
彼女はタダタカが遺した地図を探していて、その訳は・・・というお話。
そこに、カゲヤスとリンゾウの友情と確執があり、カゲヤスが持つ不老不死の植物を手に入れたいシーボルトや、江戸を取り締まる老中 タダアキラ(紫門ゆりや)やその部下でロシアと内通するヌイノスケ(英かおと)が絡んでパラレルワールドが展開します。
いつも夜空に月が輝いているような世界。
タダタカの遺した地図はカゲヤスがレンズに刻んで隠し持っていて、それを月あかりでスクリーンに映し出す演出、ステキだったな。
その地図の周りに、タダタカからカグヤへのメッセージが記されているというところも。
カゲヤスとカグヤは互いに惹かれ合っているようですが、月の住人であるカグヤは年をとらず、かつてタダタカと心を通わせた仲。
初めてカグヤ(=タキ)に会った時、ひと口お酒を飲んで「酒がおいしい」と笑顔を見せたカゲヤス。
「俺は恋をした時に飲む酒が一番うまかった」とタダタカが少年カゲヤスに語った回想シーンとオーバーラップして「ああ、そういうことか~」と思いました。
カゲヤスとカグヤは結ばれることなく、カグヤは月に帰っていきます。
カグヤにタダタカの日本地図を刻んだレンズを渡し、「地球式の挨拶だ」と手の甲に口づけるカゲヤス。
「タダタカに怒られるわよ」といたずらっぽく笑うカグヤ。
カゲヤスはきっとこれからも、月を眺めながらおいしいお酒を飲むんじゃないかな。
もう一つの柱はカゲヤスとリンゾウの確執。
かつてはともにタダタカの門下生として仲良く学んだカゲヤスとリンゾウ。
「タダタカを殺したのはカゲヤス」とヌイノスケに聞かされ、師の仇を討つとカゲヤスの命を狙うリンゾウ(←いや キミ、人の話簡単に信じすぎやで)
カゲヤスと対峙して「先生を殺したのは、お前だな?カゲヤス」とリンゾウ。
「・・・・・・ああ」とカゲヤス。
銃を向け合う二人。
リンゾウの銃に倒れるカゲヤス・・・で一幕終了。
その真相は、タダタカが病床に臥せった時、タダタカがかつて月の使者からもらったと聞かされていた不老不死の植物をカゲヤスが飲ませたから。その植物は月の光がないところでは猛毒となるのでした。
・・・とそんなこんなの回想があって、無事カゲヤスは生き返り(説明が雑)、リンゾウと力を合わせて vs シーボルト、vs ヌイノスケ、 vs ツクヨミといろいろあって江戸にまた平和な日々が戻ってくるという結末。
その中で、シーボルトの銃弾からカゲヤスをかばって撃たれるリンゾウ。
「ええ~っ、リンゾウ!」と思いましたが、やっぱりリンゾウも死なず(笑)、リンゾウを銃弾から守ってくれたのはカゲヤスが地図を刻んだあのレンズだったという洒落た結末でした。

カゲヤスの鳳月杏さんがとにかく魅力的。
天体望遠鏡(ずっとバズーカだと思ってた)を肩に担いで登場する初っ端から目を奪われっ放しです。
着流しをはじめどの衣装もよくお似合い。銀髪もステキ。
体制に背を向けている自由人といった雰囲気がピタリとハマり、所作の一つひとつがカッコよくて華があってセクシーで、長い脚でスタイルよくて、もとより歌唱もダンスも際立っていて、ほんと「今すぐトップでもおかしくない」と心から思いました。
リンゾウの暁千星さんは明るく華やかな雰囲気はそのままに、より一層精悍さが増した感じ。
こちらも最初のアイヌっぽいコスチュームはじめどの衣装もとても似合っていました。
お得意のダンスはもちろん、歌もお芝居もずっと上り坂の印象。
あの耳に目が引き付けられるシーボルトの風間柚乃さん。
実力はすでに周知のことですが、ちなありを向こうにまわして引けをとらない悪役ぶりに拍手。
台詞の聴き取りやすさをはじめ、歌もお芝居も学年を考えると驚異の上手さですが、欲を言えばあとひとつ、暁さんの天性の華がほしいところ。
カグヤの海乃美月さん。
パッと目をひく美しさかわいらしさで、堂々たるヒロインっぷり。
ミステリアスで勝気なところもよくハマっていました。もちろん歌も安定。
シーボルトのメイド ヘレーネの蘭世惠翔さんがちょっとアンドロイドみたいな雰囲気で可愛らしさも際立っていました。
可愛らしいといえば、月の女王の使者 アルテミスとセレネの菜々野ありさん&詩ちづるさん。かわい~。
特に研1の詩ちづるさんは初舞台の時からその可愛らしさが話題になった一人。入団時の成績は3番。
可愛くて優秀な子はこうして抜擢されていくのね。
フィナーレは全部 “月”にまつわる曲メドレー。
娘役群舞→デュエットダンス男役群舞→ という流れ。
娘役群舞の曲は童謡メドレーでかわいかったな。冒頭、白いドレスの海乃美月さん、後ろ向きに階段降りていました。
♪ムーンリバーでのデュエットダンス。
海乃さんを肩にかつぎ上げるアイスダンスみたいなアクロバティックなリフトもありながら流れるように美しい、そして大人のデュエダン。
男役群舞はここぞとばかりに皆カッコよくて、全員が振りをしながら舞台上を上手から下手にフォーメーションで移動する、なんていうのもあって、「目が足りないよ~」と思っていたら、鳳月・暁・風間の3人が残ってダンス(ここ、BGMはベートーヴェンの「月光」でした)からの鳳月さんソロ。これが結構長くて見応えありました。
端正でセクシーで激しくて静かでカッコよくて絶品。
ラスト バックライトでシルエットでキメ!もシビれる演出でした。
鳳月杏さんカーテンコールご挨拶:
「早いものでこの公演も折り返しを過ぎました。全員元気で最後まで駆け抜けるために、明日はお休みします(翌日休演日)。明日来ていただいてもやってません!本日は本当にありがとうございました」
最後まで可愛すぎる

こんなに魅力的なちなつさんなのに多分トップにはなれない切なさ のごくらく地獄度



