2020年01月28日

壽初春大歌舞伎 夜の部


hatsuharu2020.jpg「来年の松竹座 初春大歌舞伎は『大當り伏見の富くじ』の再演」という情報が公開された時から、「2020年の観劇はじめは絶対「伏見の富くじ」にする!」と決めていました。
一月興行といえば歌舞伎座がデフォルトの幸四郎さんが松竹座にご出演というだけでもうれしいのに、紙屑屋の幸次郎さんにまた会えるなんて。

・・・と気合入り過ぎた初日夜の部・・・チケット忘れるという失態💦

お忘れチケット扱いで、とも少し考えましたが、初日で諸所お忙しい中お煩わせするのもアレなので、ネイルサロンに行った後(キャンセルすれば?って話ですよね)、一旦チケット取りに帰宅して、二幕目から観劇いたしました。
観劇はじめがこれでは2020年が思いやられますワ。


壽初春大歌舞伎 夜の部
2020年1月3日(金) 4:15pm 大阪松竹座 1階4列センター/
1月16日(木) 4:15pm 1階1列センター


一、義経千本桜 川連法眼館の場
出演: 片岡愛之助  中村壱太郎  中村虎之介  
大谷廣太郎  片岡秀太郎 ほか
(上演時間: 1時間10分)


見慣れた澤瀉屋さん型とは趣きが異なって派手さはありませんが(荒法師も3人だけだったし)、何というか、“お行儀のよい”四の切でした。

冒頭の川連法眼(當十郎)と妻 飛鳥( 雁之助)。
「義経を匿っているのを鎌倉方に密告しようと思う」と手紙をチラつかせて、「お前の実家は鎌倉方でもあるし」と言う法眼。
「私はあなたの妻です。義経様を匿っていることを私が密告するとでも思っていたのですか?みくびられたものです」と短刀を取り出し自害しようとする飛鳥。
「お前の本心はよくわかった。鎌倉方に密告するというのは嘘だ」と法眼。
このやり取り、久しぶりに観た気がします。
これがつくのは珍しいのでは?新鮮でおもしろかったです。


愛之助さんはホンモノの佐藤忠信がキリリとしていて、やはりこちらの役がニンかなと思いました。
狐忠信はいささか体が重そうにも見えましたが(笑)、芝居心も愛嬌もあって、早替りや欄干渡りも難なくこなされていました。狐詞は発するたびに笑いが起きていましたので、もうひとがんばりかなぁ(笑う客席もよろしくないけれど)。

秀太郎さんの義経がとてもよかったです。
初役と伺いましが、そうだったかな?
忠信が静を伴っていないことにあからさまに不満顔するかと思えば不審から怒り、そして真実を知ってから見せる憐憫の情と、品格も威厳もある中で、表情豊かな義経でした。

壱太郎くんの静はもう手の内のお役。
綺麗で可愛いくて華やかさもあって、台詞がない時も狐忠信をじっと見ていて、頷いたり喜んだり悲しんだりと、静の心の優しさがよく表れていました。


二、夕霧名残の正月 由縁の月
脚本: 今井豊茂
出演: 中村鴈治郎  坂東竹三郎  中村虎之介  上村吉弥  中村扇雀 ほか
(上演時間: 20分)


「夕霧名残の正月」に着想を得てつくられた舞踊劇で坂田藤十郎さんが襲名披露興行で復活させた演目。今回は二人の息子さんがきちんと引き継いでいくという意味も含めて選ばれたのだとか。

放蕩の末に勘当され、すっかり落ちぶれていた藤屋伊左衛門(鴈治郎)は久しぶりに遊女 夕霧(扇雀)に会うために扇屋を訪れますが、この日は病でこの世を去った夕霧の四十九日でした。初めて夕霧の死を知り、起請を手向けようとするところへ在りし日の姿の夕霧が現れます・・・。

何度か観ている演目ですが、奥から夕霧が登場して
「わしゃ、わずろうてのぉ」というところでいつもゾクッとします。
幽霊っぽいのに、切ない。哀しくて美しい。
扇雀さん、すらりとした姿に藤色のお着物もよくお似合い。
もう少し「この世のものでない」感が欲しいところかなぁ。

扇屋三郎兵衛・おふさ夫婦が竹三郎さんと吉弥さんだったのですが、いかにもゆったりとした旦那様にしっかり者の女房という風情。
竹三郎さん、初日は台詞が手に汗握る感じだったのですが、中日あたりに観た頃にはすっかり安定していらっしゃいました。

昼夜ともに何気に「虎之介奮闘公演」といった趣きの虎之介くんの太鼓持。
上方言葉は時々「あれ?」でしたが、軽妙な太鼓持、よかったです。


千穐楽含めて3回観た「大當り伏見の富くじ」は別記事で。



同じ夜の部なのに「富くじ」3回観て「四の切」1回ってどーなん? の地獄度 (total 2063 vs 2066 )

posted by スキップ at 22:43| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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