2020年01月14日

ホテルにはいつもドラマが待っている 花組 「マスカレード・ホテル」


masqueradehotel.JPG花組90期の瀬戸かずやさん 研16にして初の東上主演。
原作は東野圭吾さんのベストセラーミステリー、昨年木村拓哉さん主演で映画化もされている作品です。

原作がある現代劇の刑事もの、お正月の公演、それも花組ということで「相棒」(2010年)と重なる部分もありましたが、ドラマも歌もダンスも盛りだくさんで楽しい公演でした。


宝塚歌劇花組公演
ミステリアス・ロマン  「マスカレード・ホテル」
原作: 東野圭吾
脚本・演出: 谷 正純
音楽監督・作曲・編曲: 𠮷﨑憲治
作曲・編曲: 植田浩徳
振付: 尚すみれ  御織ゆみ乃
出演: 瀬戸かずや  朝月希和  高翔みず希   冴月瑠那  和海しょう  
飛龍つかさ  帆純まひろ  音くり寿  侑輝大弥 /汝鳥 伶 ほか

2020年1月13日(月) 3:00pm シアター・ドラマシティ 13列下手
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)



物語: 都内で起きた連続殺人事件で残された暗号から次の犯行場所はホテル・コルテシア東京であることが判明し、警視庁捜査一課の刑事たちがホテルに潜入捜査します。フロントクラークとなった新田浩介(瀬戸かずや)は教育係で優秀な山岸尚美(朝月希和)と衝突を繰り返しながらも次第に互いの能力を認め合い、強い信頼関係で結ばれていきます。ホテルでは怪しげな客達が次々と騒動を巻き起こし・・・。


原作未読、映画も未見でしたが(ほぼいつもこれ)、おもしろかった!

後で調べたところストーリーは原作や映画にかなり忠実のようですが、原作知らなくても犯人はわりと早い段階でわかります(宝塚の場合、キャスティングである程度察しがついたりするというのもある)。
一旦怪しいと思わせる→そうじゃなかったんだエピソード(疑い晴れる)→やっぱりこいつが犯人じゃん! というのもよくあるギミックで、あれ?東野圭吾さん?と思いましたが、原作読むとまた印象違うのかな。

“四番目の殺人者”に行き着くあたりの場面がよく刑事ドラマに登場するホワイトボードに連続殺人事件の概要を記したもので、遠くからでは見にくいし、このあたりは映像向きかなとも思いました。
あと、ここ全部台詞で説明されるので、「え?なに?もう1回言って」となったり。
本なら繰り返し読めますが。

それでも、「お客様がルールブック」というホテルを舞台にした様々な人間模様はおもしろいし、瀬戸かずやさんこと新田さんはイケメンでカッコいいし、お堅いホテルウーマン希和ちゃんとのテンポよい台詞の応酬は楽しいし、バディ能勢くんのつかさくんは何とも愛嬌あるし、で見どころたっぷりの楽しい舞台でした。


新田浩介警部補の瀬戸かずやさん。
ちょっと規格外で組織からはみ出しがちな感じだけど実は有能でストイックな刑事。熱血漢で何でもはっきりものを言うタイプなのに自分の感情と理性を戦わせながらホテルマンになっていく過程を丁寧に演じていて、だから山岸さんへの思いの向かい方も自然。
スーツ姿は文句なくカッコいいし、あまり気安く笑顔を見せたりしない硬派な雰囲気も瀬戸さんの持ち味にハマっていました。

山岸尚美はこれが雪組から花組へ里帰り1作目となる朝月希和さん。
このポスターの映りはちょっとあれだけど((^^ゞ)、美人で優秀なフロントクラーク。
キビキビハキハキ、自分の仕事に責任とプライドを持っていて、しかもその仕事が好きというのがよく伝わります。歌も台詞もよく通るいい声ですが、台詞が熱く単調になるのが以前から気になっていたところ。もう少し緩急あってもいいかなぁ。

新田さんの部下でバディ(と自分では思っている)能勢刑事は飛龍つかささん。
いや~、つかさくんよかったよ。
つかさくんのお芝居をこんなに観たの初めてかも?というくらいですが、台詞の間といい新田さんへのなつき方といい、お芝居のすごくよいアクセントになっていて、能勢さんの場面は客席はいつも笑いに満ちていました。私が観た日は千秋楽でリピーターも多かったと思いますが、ずっと新鮮に笑わせられるの、すごいです。長身でビジュアルもいいし歌もうまくて、やっと出て来たね~という感じです。

男役でもう一人目についたのが、バズローブ泥棒の古橋さん。
小モノの詐欺師なのですが、やたらイケメンで脚なっがっ!と思っていました。
それと、二幕の結婚式の全身白の新郎が「やっぱり新郎はイケメン持ってくるよね」と思っていて、後でプログラムチェックしたらどちらも侑輝大弥くんだったというね。
長身イケメンの102期生。これからも期待できそう。しっかし、102期 ほんとキラ星だな。

ホテルの藤木総支配人の汝鳥伶さんがさすがの貫禄と存在感だし、ホテルの客 栗原の高翔みず希さんはさすがの憎たらしさと卑小さだし、ベテラン勢も大活躍です。

そして、長倉麻貴の音くり寿さん。
圧巻です。
老婆の声と演技も絶妙だし、その仮面を脱いで変装をとっていきながら、「どうして私にこんなことをされているかわからないだろう?」と長倉麻貴になっていく場面の凄み。
「花より男子」の桜子もそうでしたが、憑依型の娘役さんですね。
お得意の歌はもちろん際立っていて、歌で怒りや苦しみや悲しみ、そして狂気を表現できるのほんとすばらしい。
プログラムに載っていませんでしたが、フィナーレのデュエットダンスのカゲソロもくりすちゃんですよね。綺麗な声だ~♪
そして瀬戸かずやさん リフトめちゃたくさん回してました。


瀬戸かずやさん 千秋楽ご挨拶。
熱く誠実に語る姿がかにも瀬戸さんらしい。
「確実にっ!」と力説しながら拳握った両手をぶんぶん振り下げたり、この公演で退団する夏葉ことりちゃんに触れて「本当にかわいらしい女の子です」と言ったり。
前に出過ぎていて下がるのを忘れ、緞帳が途中で止まって下りて来なくなる事案発生。
「言ってよお~」と素に戻って照れ笑いする瀬戸さんの可愛らしさよ。
仕切り直しのカーテンコールで「皆様 東京公演へお越ちを…」と盛大に噛み、「やっちまったぁ~」という表情で両手で口を覆うという二段落ちで明るく笑って打ち出されました。



原作本ちょっと読んでみたくなったけどもう犯人わかってるしなぁ のごくらく地獄度 (total 2058 vs 2060 )

posted by スキップ at 23:40| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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