
ロビーは街灯やシャンデリアでいつもとは違った雰囲気。
人だかりが出来た中ではおじさんパリジャンがオルガン演奏する傍らで少年がお客さんの靴磨き。
客席ではパリ市民がパンフレットを売り、劇場案内係さんたちはペラ座の制服着用。
極めつけは開演前アナウンスで、ルドゥ警部(神尾佑)「パリ警察は皆様の安全をお守りします」。
開演前から観客を巻き込む演出で一気にパリ オペラ座の世界へ。
ミュージカル 「ファントム~もうひとつのオペラ座の怪人~」
原作: Gaston Leroux
脚本: Arthur Kopit
演出: 城田優
作詞・作曲: Maury Yeston
美術・衣裳: Tom Rogers
出演: 城田優 愛希れいか 廣瀬友祐 エリアンナ
エハラマサヒロ 佐藤玲 神尾佑 岡田浩暉 ほか
2019年12月12日(木) 6:00pm 梅田芸術劇場 1階12列下手
(上演時間: 3時間5分/休憩 25分)

エリック(少年も)、クリスティーヌ、シャンドンがWキャストなのですが、ちゃぴちゃん(愛希れいか)のクリスティーヌありきで友人にチケットお願いしたら、このキャストとなりました。
演出は主演も兼ねる城田優さん。
歴代最高と呼び声の高かった宝塚歌劇雪組の「ファントム」の記憶が新しいのでどうしても比べてしまいがちになるのですが、演出や役者さんの違いはもちろん、歌詞や楽曲のアレンジなどの違いも含めて「城田版」ファントム 楽しむことができました。
城田優さんのファントムは、宝塚雪組 望海風斗さんの理知的でスマートな青年ファントムとは様相が違っていて、キャリエールに駄々をこねたり、怒鳴り散らしたり、感情の起伏が激しく、まるで子どもの感性のまま大人になったよう。吃音もあって、メンタルの面で何か抱えているものがある印象です。
とても純粋で、クリスティーヌに「君の歌を聴かせてほしい」とねだり、「歌ったら私の願いを叶えてくれますか?」と尋ねる彼女に、「歌は愛や喜びのために歌うもので、得するためじゃないよ」ととまどったように応えるエリックが切ない。
愛する母 ベラドーヴァを重ね合わせたクリスティーヌが、エリックの仮面の中の顔を見て逃げてしまうシーンはいつもとても悲しいのですが、一面の雪のような紙吹雪がバーッとエリックに降りかかり、膝をついて空を仰ぐエリックが照明の中に浮かび上がる演出は、エリックの深い絶望が痛いほど感じられて、際立って印象的でした。
クリスティーヌへの愛を純粋に求めるがために罪を犯しますが、最後には父を許し、クリスティーヌを許し、息絶えていくエリック。
エリックとクリスティーヌ。
2人を包む光の中で歌う「Beautiful Boy」
エリックはきっと幸せな気持ちで天に召されたのだと信じられる幕切れでした。
愛希れいかさんは宝塚時代より歌唱にもさらに磨きがかかり、可憐さと強さを併せ持つクリスティーヌ。エリックの母 ベラドーヴァの時の鬼気迫るようなダンスはさすがの本領発揮でした。
エリックを心から愛する気持ちが伝わる岡田浩暉さんのキャリエールもとてもよかったです。
自分を父だと初めて名乗って歌う「You Are My Own」は宝塚版でもいつも涙ナミダのシーンだったのですが、この時のキャリエールが本当に辛そうに悔恨の涙を流していて、思わず声出して泣きそうになりました。
廣瀬友祐さんのシャンドン伯爵はいかにも若い女性が憧れる伊達男で品もあってカッコよかったし、エリアンナさんとエハラマサヒロさんのカルロッタ&アラン・ショレ夫妻のいかにも俗っぽい雰囲気もらしかったですが、メイクはあそこまでデフォルメしない方が好みかなー。

ロビーはこんな感じでした。
実はこの後、同行の友人と飲みながら弾丸ヅカトーク炸裂したので舞台の印象薄れがち の地獄度


