
瞳高く凝らして
遥か遠き空へ
我は歩み続けん
道は極め難く
腕は疲れ果つとも
遠き星をめざして
我は歩み続けん
「見果てぬ夢」の歌詞が白鸚さんと重なります。
1969年の初演から50年。
この公演で通算1300回を迎えた白鸚さんのライフワークのひとつ。
日本初演50周年記念公演
ミュージカル 「ラ・マンチャの男」
脚本: デール・ワッサーマン
作詞: ジョオ・ダリオン
音楽: ミッチ・リー
訳: 森岩雄 高田蓉子 訳詞: 福井峻
音楽監督・指揮: 塩田明弘
演出:松本白鸚
出演: 松本白鸚 瀬奈じゅん 駒田 一 松原凜子 石鍋多加史
荒井洸子 祖父江進 大塚雅夫 白木美貴子 宮川浩 上條恒彦
2019年10月19日(土) 5:00pm 帝国劇場 1階H列下手
(上演時間: 2時間5分)
「ラ・マンチャの男」を前回観たのは2012年8月19日。
白鸚さん70歳のお誕生日で上演1200回公演でした。
あれから7年。
時を重ね精進を続けて今も変わらずキホーテとして舞台に息づいていらっしゃる姿に感涙

今シーズンで白鸚さんのラ・マンチャが1300回となることが発表されていて、早くからこの日に観ようと決めてチケットもお願いしていたのですが、台風19号の影響で2公演が中止になったため、1298回目となりました。
セレモニーでご一緒にお祝いできなかったのは残念でしたが、舞台はそんな些末なことを吹き飛ばすくらい熱かったです。
スペイン南部 ラ・マンチャの詩人セルバンテス(松本白鸚)は、教会への税金支払い拒否のかどで逮捕され、宗教裁判にかけられるために忠実な従者サンチョ・パンサ(駒田一)とともに雑居房に入れられます。男女入り乱れた雑居房で牢名主(上條恒彦)による「裁判」にかけられたセルバンテスは、自分の作品を見せるのがいちばんだと、囚人たちを役者にして、自作の小説「ドン・キホーテ」を上演する・・・というストーリー。
この作品を観るのは今回が3回目です。
感想は前2回で熱く語っていますのでそちらをご参照。
2009年5月
2012年8月
2012年8月19日 1200回カーテンコール
白鸚さんは朗々たる歌声にますます磨きがかかり、身のこなしも洗練されていてとても喜寿とは信じられない若々しさ。
一方で、老騎士ならではの哀愁や滋味も感じさせて、これは実年齢からくるものかなとも思いました。
「奇跡は起きるものでなく、起こすもの」が白鸚さんの座右の銘だということですが、以前、「夢はただ見るだけのものでもなく、夢は語るだけのものでもない。夢は叶えようとする、その人の心意気だ」と語っていらっしゃったことがあって、この二つはまさにこの作品のテーマと重なると思いました。
「一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生にただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わないことだ」というキホーテの言葉は、折り合いつけまくりの人生を送っている私には相変わらず胸に突き刺さります。
周りに何と言われようと、狂人扱いされようと、自分の信じた道を進み、夢を追い続けるドン・キホーテの姿や言葉が、信念を持って役者道を歩み続ける白鸚さんの姿とも重なり、人はどう生きるべきかと自らの姿勢で範を示し、厳しい人生に畏れず立ち向かえ、と勇気づけられる思いでした。
「あるべき姿」のために義に生き闘い続けた孤高の騎士ドン・キホーテ=キハーナ。
現実(鏡の騎士)との戦いに敗れ、折れた心をアルドンサの言葉が甦らせ、最期の力を振り絞って立ち上がるラストは、何度観ても心震えて涙。
白鸚さんに続いて、1977年から42年間、牢名主を演じていらっしゃる上條恒彦さんも変わらずよいお声を響かせて、サンチョの駒田一さんはますますご主人への愛とバディ感が高まった感じ。
そして今回アルドンサ初役の瀬奈じゅんさん。
宝塚退団後の舞台では「ヤングフランケンシュタイン」以来かな。
最初の台詞が結構低い太い声で男役時代を思い出しました。
アルドンサの強さ、野性味を全面に出した造形のように感じましたが、凛と立つ姿に、身なりや境遇に左右されないアルドンザの心の美しさが映し出されているよう。
荒くれもの達に囲まれるシーンのダンスはさすがの迫力で、高音ちょっと苦しいかなとも思いましたが、のびやかで力強い歌唱もよかったです。

入場時に配られたポストカード。
やっぱり1300回の記念公演(になったはず)だったんだなぁ。
ロビー入ったらいきなり中村米吉くん立ってるし、セレブ感あふれるロビーは華やか、高麗屋贔屓お仲間にもたくさん会えて、終演後には眼鏡くんな幸四郎さんもお見かけして、1300マイナス2でしたが満足!の「ラ・マンチャの男」でした。
10月21日の公演で無事1300回(こちら)を迎えられました。
本当におめでとうございます のごくらく度


