
玉三郎さんが勘三郎さんといつか一緒に舞台にしたいと話していた演目なのだそうです。
主な出演者は3人だけ(中車さんは5役!)。
映像を多用した斬新な演出にオドロキ。
こんなことを歌舞伎座でできるなんて、改めて玉三郎さんの凄さを感じました。。
八月納涼歌舞伎 第三部
「新版 雪之丞変化」
原作: 三上於菟吉
脚本・演出補: 日下部太郎
演出・補綴: 坂東玉三郎
出演: 坂東玉三郎 市川中車 中村七之助 ほか
2019年8月18日(日) 6:30pm 歌舞伎座 3階3列センター
(上演時間: 2時間18分/幕間 20分)
物語: 師である中村菊之丞(中車)、同じ一座の役者である秋空星三郎(七之助)のもとで芸を磨く女方役者 中村雪之丞(玉三郎)は、幼い頃、長崎奉行たちに陥れられた父親が眼前で処刑されるという過去を持ち、その復讐を心に秘めていました。江戸の中村座にからお呼びがかかり出演することになったその初日、客席にはなんと父の仇 土部三斎(中車)の姿がありました・・・。
スクリーンに映し出される映像が、たとえば背景を映し出すといったレベルではなく、物語の人物がその中で演技していて、まるで映画のよう。
後で調べたら、大正時代には演劇と映画とを連結して見せる「連鎖劇」という手法が流行したこともあったそうです。
装置も至ってシンプルで歌舞伎座の舞台奥のコンクリート壁がそのまま見えたり。
役者さんの話なのでもちろん劇中劇もあり、バックステージものにもなっていたり。
「伽羅先代萩」の場面。
雪之丞扮する政岡が星三郎の八汐を刺すという劇中劇の幕が終わると、スクリーンに楽屋にいる座頭映し出され、楽屋を出て奈落に向かうところまで映像で、今度は舞台の幕が上がると実際の奈落で実物の座頭が歩いてくる、といった具合。
さらには、「床下」の仁木弾正。
これ、第一部で観たばかりでしたので所作の対比など、本当におもしろかったです。
花道を行く仁木を黒衣のカメラマンが追って、その映像が舞台上のスクリーンに大写しになって、実物の仁木とデュアルで展開するという趣向。
こんな演出するのかー、と驚いたりとまどったりしましたが、よくも悪くも、この演目観られたのはとても貴重だと思いました。
玉三郎さんはもちろん美しく、台詞にも深みがあって、新版ではない「雪之丞変化」も玉三郎さんで観てみたいと思いました。
五役をくっきり演じ分けた中車さんも大奮闘。本当に何をやってもうまいし、歌舞伎の舞台にすっと溶け込む役者さんになられたなと思います。
そして七之助さん演じる秋空星三郎。
志半ばで亡くなる星三郎はどうしても勘三郎さんに重なります。
七之助さんの台詞まわしも勘三郎さんに寄せてきていると感じたのは玉三郎さんがそういう演出をつけたからでしょうか。
このお芝居全体が勘三郎さんへのオマージュだったのかなとも感じました。
そんなこんなのエモーショナルな雰囲気を一掃するラストの「元禄花見踊」。
踊る女方役者さんの中に守若さんをお見かけしてオペラグラスで二度見。お元気にご活躍で何よりです。
華やかで玉三郎さんのお衣装も綺麗で、豪華なおまけといった趣き。
↑ 楽しかったけれど、この場面、いる?(暴言) の地獄度


