2019年08月22日
ひとり星の上で 僕は旅に出る 星組 「Éclair Brillant」
「宇宙から地球に舞い降りた青年が、世界各地を舞台に歌い踊る姿を描いた美しくゴージャスなレビュー」
とても端正なショーでした。
紅ゆずるさんはショースターというイメージはあまりなかったけれど、最後にこんなクラシカルで端正なショーを見せてくれるなんて。
そして、紅さんにこんなショーを書いてくれた酒井澄夫先生すばらしい。
宝塚歌劇星組公演
スペース・レビュー・ファンタジア
「Éclair Brillant (エクレール ブリアン)」
作・演出: 酒井澄夫
作曲・編曲: 吉田優子 千住明 青木朝子 玉麻尚一
三味線録音演奏: 上妻宏光
出演: 紅ゆずる 綺咲愛里 礼真琴 如月蓮 天寿光希
麻央侑希 瀬央ゆりあ 有沙瞳 極美慎 舞空瞳/華形ひかる ほか
2019年7月18日(木) 3:00pm 宝塚大劇場 1階27列上手/
8月15日(木) 3:00pm 1階10列センター
(上演時間: 55分)
「GOD OF STARS-食聖-」 の感想はこちら
このところの宝塚のショーといえば、やたらK-POPやJ-POPが使われている印象だったのですが、このショーは、クラシックやシャンソン、ラテンなどのスタンダードな曲で綴られ、しかもその曲たちはどれも宝塚ファンならみんな聴いたことがあるオーソドックスな名曲揃い・・・それを新しいアレンジで聴かせて見せてくれます。
オープニングの閃光が斜めに入ったような美術はじめシンプルで統一感のある舞台装置、品よく美しい色合いの衣装、そして演出、すべてが揃った完成度の高い宝塚の正統派のショーでした。
★ ひとり星の上で
華やかなプロローグが終わって、紅ゆずるさんが一人残って歌う 「ひとり星の上で」。
ジルベール・ベコーのシャンソンですが、「星組のショーと聞いて、なぜか、最初に紅さんの顔と共に浮かんだのがこの曲でした。遥か宇宙の彼方からやってきた紅ゆずるが、この舞台に降り立ち、夢を伝える・・・そんな発想から、このショーは生まれました」とプログラムの酒井澄夫先生。
ひとり星の上で
僕は旅に出る
銀の舟に乗り
幸せ求めて
新しいひとつの
光を目指して
僕は飛んでいく
銀橋に座り、星を見上げてとても穏やかな笑顔でゆったりとのびやかに歌う紅さん。
歌詞も曲も素敵だし、キーも紅さんに合っていて、とても印象的でした。
★ パリ
詩集を読む少女と彼女に恋をする西風の少年のひとときの物語。
まるでパステルカラーの西洋画から浮かび上がってきたような美しいシーンで、スローテンポの優雅な旋律に乗せた二人のダンスがとても綺麗。
次期トップコンビ 礼真琴さんと舞空瞳さん。
歌えて踊れて演技もできる若いペア。これからも楽しみです。
★ ラテン
紅さんが歌う「エルクンバンチェロ」で始まるラテンのシーンで一番印象的だったのは、天寿光希さんの歌唱で、紅ゆずる・礼真琴・綺咲愛里の3人が踊るタンゴの場面。
べにあーのコンビが観納めなら、べにこと、ことあーもこれで観納めと思うとこれまでのいろいろが脳裏に浮かんで胸いっぱいに・・・天寿さんの歌もよかったな。
★ スペイン(ボレロ)
ショーの肝であり最大のみどころでもあるボレロ、とてもよかった。
柚希さん時代に同じ星組でボレロやったことありますし、ラベルのこの楽曲は「ベルサイユのばら」のフィナーレはじめ、宝塚のショーでよく使われる曲でもありますが、全然別物でした。
舞台奥に上手から下手へ下がっていく大きな斜めの階段。
静かにリズムを刻むボレロのあのメロディに乗って、粛々一人、また一人と一列になって現れ踊る星組生たち。
その隊列の静謐なまでの美しさ。
男役はもちろん、娘役も凛と踊ります。
同じメロディとリズムを繰り返し、歌はなくダンスだけでこれほど胸に迫るシーンを魅せてくれるなんて。
曲が盛り上がって最高潮に達したところで階段の高いところにバーン!と現れる紅さん。
何てドラマチックな演出なんだ。
ラベルの「ボレロ」は元々大好きな曲なのですが、このシーンは私がこれまで観た宝塚の「ボレロ」を塗り替えたといっても過言ではないくらい、とても心に残る「ボレロ」となりました。
★ ニューヨーク
華形ひかるさんさん中心に、如月蓮さん、麻央侑希が歌い踊って、「あー、ここ退団者の場面なんだ」と一気に涙腺が緩む。でもれんたくんもまおくんも本当に楽しそうに笑顔を振りまいているのを観ていると精いっぱいの拍手で送ることがイチバンだと思えます。
二人が舞台の上手下手に分かれてロケットの人たちに加わって一緒に踊る演出も洒落ていました。
★ フィナーレ
紅さんが大階段で歌う時、綺咲さんはじめ娘役さんがダルマの衣装なのですが、舞空さんの脚の長さに驚く。
男役群舞は千住明さんの「風林火山」を上妻宏光さんの三味線演奏で。
急に和テイストになって少し驚きましたが、ピシリとした振付(羽山紀代美)とよく合っていました。
特別な飾りのない、周りの男役と同じシンプルな黒燕尾を端正に着こなして踊る紅さん。
「ちえちゃん(柚希礼音)もそうだったなぁ、べにーと同期のまぁくん(朝夏まなと)もそうだったなぁ」と思い出してまたまたウルウル。
そしてその涙をふきとばしてくれる多幸感にあふれたデュエットダンス。
まっすぐに紅さんを見つめて手をのばすあーちゃんと、そんなあーちゃんをこの上ないやさしい笑顔と大きな手で包み込む紅さん。
本当に見ていて幸せになるトップコンビだったなぁと改めて。
この公演は大劇場ロビーの装花も素敵でした。
パレード
エトワール: 舞空瞳
天華えま・紫藤りゅう・極美慎
麻央侑希・有沙瞳
瀬央ゆりあ
華形ひかる
礼真琴
綺咲愛里
紅ゆずる
こうして公演案内と各組トップスターが並ぶこの場所に紅さんがいるのもこれが観納め のごくらく地獄度 (total 2090 vs 2094 )
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