
でも舞台はそんなセンチメンタルを吹き飛ばすように明るく、紅さんがインタビューでおっしゃっていたとおり、「紅ゆずるらしく サヨナラらしくなく」楽しい公演となりました。
宝塚歌劇星組公演
ミュージカル・フルコース 「GOD OF STARS-食聖-」
作・演出: 小柳 奈穂子
作曲・編曲: 青木朝子
作曲: ヒャダイン
装置: 二村周作 衣装: 有村淳
出演: 紅ゆずる 綺咲愛里 礼真琴 万里柚美 美稀千種
如月蓮 白妙なつ 天寿光希 音波みのり 麻央侑希
瀬央ゆりあ 有沙瞳 極美慎 舞空瞳/汝鳥伶 華形ひかる ほか
2019年7月18日(木) 3:00pm 宝塚大劇場 1階27列上手/
8月15日(木) 3:00pm 1階10列センター
(上演時間: 1時間35分)
物語: 「西遊記」で孫悟空のライバル 暴れん坊の魔界の王子 紅孩児(こうがいじ)が天界から人間界に落ちて記憶をなくしたところを上海の総合料理チェーン“大金星(グランド・ゴールデン・スター)のCED エリック・ヤン(華形ひかる)に拾われ、三つ星天才スーパーシェフ ホン・シンシン(紅ゆずる)となりますが、傲慢なホンはヤンと対立し、弟子のリー・ロンロン(礼真琴)を後継者とされ、全てを失ってしまいます。シンガポールの下町へと流れついたホンを助けたのは、行方不明の父親に代わってホーカー(屋台)「愛麗飯店」を切り盛りするアイリーン(綺咲愛里)とその仲間たち。高慢なホンと気の強いアイリーンは反発しあいながらも次第に心を通わせ、店を大繁盛させます。やがて、ホンとアイリーンは世界最高の料理人を決める“ゴッド・オブ・スターズ”へ参加し、今はリー・ドラゴンと名乗るリー・ロンロンと対決することになります・・・。
天界と上海とシンガポールを行き来する舞台。
いつも舞台にたくさん人があふれていてちょっとごちゃごちゃし過ぎかなとも思いましたし、傲慢な紅孩児ことホン・シンシンが突然正義の味方よろしくめちゃいい人になっているし、アイリーンがあんなにいがみ合っていたホン・シンシンのことをいつの間にか好きになって自分から迫ったり、と、脚本に描かれていない部分が多くて、え?それいつ?とツッコミたくなることもしばしば。
ゴッド・オブ・スターズコンテストの勝者が、最高の食材を使って粋を集めた料理より、家族の温かい愛がつまった手づくりの餃子というのもいかにもありがちで安っぽいなぁとも。
が、まぁ、紅ゆずるさんのためにつくられた、明るく楽しくドタバタのファンタジックコメディといったところでしょうか。
天界に汝鳥伶さん出てくるあたり「ANOTHER WORLD」だったり、コンテストの司会のヴィミー(白妙なつ)の「ナマステ~」なんてまんま「オーム・シャンティ・オーム」だったりと、あちこちに紅さん主演作品のモチーフが散りばめられています。
あははと笑っているはずなのに、あれ?何でワタシ、泣いているんだろ、という場面も多々。
全体的にコメディテイストではあるものの、笑いの中に心に残る台詞があれこれ出てきて、さすが小柳先生だなぁ、と。
ゴッド・オブ・スターズコンテストで勝利したホンが、「俺は星なんていらない。お前にくれてやる!」とリーに星の勲章を渡す場面はそのままトップスターの引き継ぎでズキンとしました。
さらに心に残ったのは、「完璧だから愛されるんじゃない。不完全だから支えあうんだ!」というホンのことば。今のトップコンビにぴったり。紅さんの台詞の中では、「オーム・シャンティ・オーム」の「ハッピーじゃなければエンドじゃない」と同じくらい好きな台詞となりました。
ホン・シンシンを楽しそうに演じる紅ゆずるさん。
長身小顔でどんな衣装も似合うし、俺様キャラもハマるし、ちょっと性格悪いところも不思議と憎めない。この役を魅力的に見せるのは紅さんならでは。
カンフーの達人でお料理は全然ダメというアイリーン 綺咲愛里さん。
こちらも勝気で現代的なキャラクターがよく合ってイキイキ。
おへそ出しのピンクのジャージはじめ、あーちゃんもどの衣装も髪型もよく似合って超キュートでした。
リー・ロンロンは次期トップが決まっている礼真琴さん。
小心者で気弱なリーがクリスティーヌにいいところを見せたいと人格変わって、引き抜きで衣装もパッとカッコよく変わっるところで声も歌い方もガラリと変わって凄いと思いました。
相変わらず大劇場に響き渡るいい声。笑いを取る間もよくて、コメディもイケることを証明。
7月に観た時と比べて、1ヵ月後の8月に観た時は心配になるくらい痩せていた礼真琴さん。
ことちゃんは舞台とは別のことで今ツライ立場だと思いますが、めげずにがんばってほしい。
劇団の広報の人がおっしゃっているとおり、「舞台上のパフォーマンスを通して信頼を回復」していただきたいです。ことちゃんにはそれができると信じています。
クリスティーヌは次期トップ娘役としてこれが星組デビューとなる舞空瞳さん。
人気アイドルでリーに対しても上から目線の設定ですが、華やかな美貌で舞台度胸満点。
お得意のダンスはもちろん歌も安定で、礼真琴くんとのコンビは楽しみ。
ことちゃんの相手役には背か高すぎるかなぁと思っていて、実際どんな場面でも低いヒールの靴をはいているのが気になるところです。
いかにもやり手の実業家といったエリックの華形ひかるさん、アイリーンのパパで料理人ミッキーの天寿光希さん、ママでキャリアウーマンのエレノア 音波みのりさんといった上級生がよい仕事を見せてくれる中、アイリーンのいとこ ニコラスの瀬央ゆりあさん率いるアイドルグループ パラダイス・プリンス が、天華えま・天希ほまれ・極美慎・天飛華音という売り出し中の若手イケメン男役、クリスティーヌとともに歌う女性アイドルグループ エクリプス は小桜ほのか・桜庭舞・星蘭ひとみ・水乃ゆりと星組が誇る美女軍団で華やかでした。


ナマ紅さん観納めなので白燕尾の紅さんと公演カクテル乾杯しました。
あんずのお酒「杏露酒」をラズベリーシロップとソーダで割った「大金星」(グランド・ゴールデン・スター)
ショー編につづく →