2019年08月16日

夏休み文楽特別公演 「仮名手本忠臣蔵」


bunraku201908.jpg4月から11月にかけて3回に分けて「仮名手本忠臣蔵」を上演する今年開場35周年の国立文楽劇場。
4月に大序から四段目までを観て、次は4カ月も先か~と思っていたら、その日はすぐにやって来ました。
この分だと11月も程なくやってきて、1年あっという間だったね、という日もすぐそこでしょう。


国立文楽劇場開場三十五周年記念
夏休み文楽特別公演 第2部 <名作劇場>
通し狂言 仮名手本忠臣蔵
五段目  山崎街道出合いの段/二つ玉の段
六段目  身売りの段/ 早野勘平腹切の段
七段目  祇園一力茶屋の段

配役はこちら

2019年8月1日(木) 2:00pm 国立文楽劇場 1列センター
(上演時間: 3時間33分/幕間 20分)



主君の大事に「色にふけったばっかりに」居合わせることができなかった早野勘平と勘平が討入りに加わるための金を工面するために京の花街に身売りする妻おかる、おかるの兄で足軽ながら何とか討入りに加わりたいと願う寺岡平右衛門・・・「仮名手本忠臣蔵」中盤の人間ドラマ。

勘平の悲劇を描く五段目、六段目ですが、何度観ても苦い思いは残ります。
姑に責められ、自分が撃った人が舅の与市兵衛と思い込んで絶望する勘平はともかく、与市兵衛の死体を改める弥五郎さんたち、勘平が腹を切った後ではなく、もっと早くそれやってよと思います。そのあたりが「主君の仇討ち」という大義の影で運命に翻弄される末端の人間の悲劇や不条理を際立たせているとも言えますが。


勘平を遣うのは吉田和生さん。
端正な勘平で、真面目に生きてきた普通の武士が、ちょっとしたボタンのかけ違いで運命の歯車が狂い、奈落へと墜ちてしまう悲劇が感じられました。おかるの母にずっと責められている時、かしらや首の角度のせいか、うつむいて身を縮めて本当に苦しく辛そうに見えて、和生さんすごいよと思いました。

五段目で私の大好きな斧定九郎は吉田玉輝さん。
美しく色っぽく、ちょっとゾクッとすうような悪人ぶりでした。

床は「身売りの段」の豊竹咲太夫さん・鶴澤燕三さん、「早野勘平腹切の段」の豊竹呂勢太夫さん・鶴澤清治さんのエース投入二組が印象的でした。

七段目「祇園一力茶屋の段」は床に太夫がずらりと並んで、由良助の豊竹呂太夫さん筆頭に一人ひと役で掛合い。
寺岡平右衛門の豊竹藤太夫さんは舞台下手に出床が設けられて語ります。しかも床本なしで。

この段は何といっても吉田簑助さんのおかるでしょう。ほんと、可愛い。
少女のような清楚な可愛らしさと大人のオンナの妖艶さ、色っぽさを兼ね備えていて、しかも品があって艶やか。

あの紅い打ち掛けを来たおかるちゃんが窓に現れると目が吸い寄せられて他のものが目に入らなくなります。
柱にもたれて酔いざまししているおかるちゃんの頬を風が撫でているのが感じられるよう。
手鏡を掲げて由良助の手紙を覗き見る時の体をうしろに大きく反らせた姿の美しさ。
一力茶屋の二階の場面だけで、梯子を降りてからは吉田一輔さんに交代でしたが、贅沢は言いませんとも。簑助さんのおかるを観られて幸せでした。

大星由良助は桐竹勘十郎さん。
酔っている時(演技だけど)は結構オーバーアクションに見えましたが、秘密を守るためにおかるを殺そうとする非情さと、やがてそのおかる、平右衛門に向ける温情に由良助という人物の大きさ感じました。
(実は配役よく確認していなくて、由良助は玉男さんだと思い込んでいて(だって4月に観た四段目の幕切れの由良助、玉男さんだったもん)、勘十郎さん出てきた時、思わず「えっ」と声出そうになったのはヒミツです。



配役を上でリンクしましたがリンク先が消されてしまう場合もあるので画像でも。
クリックすると拡大します(二度クリックでさらに拡大)。

bunraku201908cast.JPG



3部のサマーレイトショーもチケット取ってたのに仕事忙しくて行けなかったのよぉ。夏休み公演は期間短いからリカバリーきかないよね の地獄度 (total 2089 vs 2093 )



posted by スキップ at 23:04| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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