2019年07月31日
氷艶hyoen2019 -月光かりの如く-
この公演が発表された時、2017年版と違って歌舞伎とのコラボレーションではなく、幸四郎さんも出演されないらしいことを聞いていましたので、「またやるんだ~」くらいの気持ちでの~んびり構えていました。
ところが、発表になった出演者の中に「柚希礼音」の文字が。
どうしようかなと少し迷いましたが、柚希さんがスケート滑る、ましてや髙橋大輔さんと一緒に、なんてこの先二度とないと思って観ることにしました。
福士誠治さんが公式サイトのインタビュー動画で「氷の上で表現できる機会が人生の中で今後現れるかと思ったらなかなかない」とおっしゃっているのを後で見て、「そうだよね~」と我が意を得たり。
当初、土曜日(7/27)に「エリザベート」マチネ→「氷艶」ソワレという計画だったのですが、諸事情により日曜日(7/28)に日程変更。この日エリザは貸切1公演のみということで、ええ~い、それなら千穐楽でもあることだし、「氷艶」マチソワしてやる~となったのでした←
氷艶hyoen2019 -月光かりの如く-
演出: 宮本亜門
テーマ曲: 松本孝弘
劇中曲: 川井憲次
脚本: 都部寸
振付監修・所作指導: 尾上菊之丞
振付: 宮本賢二・新海絵理子
インタラクティブ プロジェクション: team Lab
アーティスティックコンサルタント: VOGUE JAPAN
出演: 髙橋大輔 ステファン・ランビエル 荒川静香
柚希礼音 平原綾香 福士誠治 波岡一喜
鈴木明子 織田信成 村上佳菜子 西岡德馬 ほか
和太鼓演奏: MOTOFUJI
アクロバティックパフォーマンス: BLUE TOKYO
2019年7月28日(日) 横浜アリーナ
12:00pm スーパーアリーナ センター北東ブロック 2列/
5:00pm スタンド東 1列
(上演時間: 2時間25分/休憩 20分)
「氷艶 HYOEN 2017 -破沙羅-」 の感想はこちら
スケートリンクの形式は前回と同じ。
会場中央のリンク その三方を客席が取り囲み、残り一面には巨大スクリーン。
紫式部の「源氏物語」が登場人物はそのままに、原作とオリジナルのストーリーとを織り交ぜて物語が展開します。
時の帝 桐壺帝(西岡德馬)の二人の皇子 朱雀(ステファン・ランビエル)と光源氏(髙橋大輔)、それぞれの母 弘徽殿の女御(荒川静香)、桐壺の更衣(平原綾香)の関係性は「源氏物語」の世界そのまま。
弘徽殿の女御が桐壺の更衣を妬んで呪い殺すのも原作通り・・・陰陽師(織田信成)を使ったかどうかはさておき。
母と瓜二つの藤壺宮(平原綾香二役)と光源氏の一夜の過ち、紫の上(ユリア・リプニツカヤ)、頭中将(福士誠治)など、原作通りの世界が広がります。
朱雀帝が紫の上に横恋慕するあたりからオリジナル色が強くなって二幕。
嵐で海に投げ出され、海賊の長 松浦(柚希礼音)に助けられた光源氏が、迎えに来た頭中将(福士誠治)や海賊たちとともに、朱雀帝の圧政に苦しむ民のため、よい国を取り戻そうと蜂起するという、どこの「レ・ミゼラブル」ですか、な展開に・・・。
二幕のこの部分が、歌も含めてとてもカッコよく、光源氏、松浦、頭中将、咲風(村上佳菜子)が横一列に並んで拳をあげて歌うシーン、全員で「ワンピース」みたいに船の舳先に立って都を目指す場面は観ていてワクワク胸躍ります。
いやほんと、あの場面だけでも何度でも観たいくらい。
が、物語としてはかなり唐突な印象。
光源氏はそれまで、父帝への屈折した思いや、紫の上を巡って朱雀帝との確執はあったけれども、時の治世を憂えたり世の中をよくしていこうと行動しているようには見えませんでした・・・描かれていなかっただけだとしても。都に帰るのは紫の上を助けたかったから、でよいのではないかしら。
それと、私はこの手の「みんなで力を合わせてことを成し遂げよう、オー!」みたいな展開がハナハダ苦手。
そういうのをストレートに見せられるとスーッと引くという厄介な性格でありまして、うーん、亜門さん~となった訳です。
とは言うものの、この場面とそれに続く戦いのシーンは見どころたっぷりで、織田信成さん@陰陽師の呪術に操られて味方に刀を向けてしまう松浦が、やむにやまれず自刃してしまう最期もとても切なかったです。
(あえて言うならば、「ひと目会った時からあなたをお慕いしていました」という死の間際の松浦の告白は蛇足。それまでの演技で十分伝わりますから)
戦いは光源氏軍の勝利となりますが、その後の展開はまたね。
和解の席で光源氏の盃に毒を盛る長道・弘徽殿チーム (長道が「帝には貴女様からお伝えください」と弘徽殿に言っていたから朱雀帝も毒のことは知ってたよね?)→ それを事前に察知していた紫の上が急に飛び出してきて光源氏の盃を奪い取って飲み干して死んでしまう → 激高した光源氏が朱雀帝に襲いかかる → 弘徽殿が間に入って光源氏を殺そうとする → 朱雀帝が母である弘徽殿を刺して殺す → 「私が愛した者は皆いなくなる」と絶望の中、長道に背後から刺されて息絶える光源氏
何とも虚しいラスト。
最後に藤壺が産んだ光源氏の子 若宮に希望を託すということになるのでしょうけれど。
というふうに、物語としてはツッコミどころも疑問点も多々あるのですが、アイスショーとしてとても見応えのある作品で楽しんで観ることができました。
台詞や物語の進行は主に歌舞伎役者さんたちが担い、スケーターは言葉の代わりに滑りで心情を表現していた初演と違って、今回はスケーターの皆さんも台詞を発し演技し、髙橋大輔さんや村上佳菜子さんは歌声まで披露。
役者さんと互角に、とまでは言えないものの、皆さん芝居心のある演技でした。
ただ、朱雀帝のステファン・ランビエルさんはじめ、紫の上のユリア・リプニツカヤさん、陰陽師の織田信成さん、朧月夜の鈴木明子さんたちが、スケーティングと身体表現だけで十分雄弁だったことを考えると、それが本来あるべき姿なのではないかと感じました(ランビエルさんはひと言台詞あったけれども)。
荒川静香さん@弘徽殿の女御なんて、嫉妬や憎しみ、怒りが湧き上がってくるようなスケーティングでしたので、あの怒りの台詞いらないと思ったくらいです。
荒川さんは前回の蛇髪姫も悪役ですごくカッコよかったな~。
フィギュアスケートにそれほど詳しい訳ではありませんが、スケート的にもとても見応えあったと思います。
相変わらずドラマチックなスケーティングを見せてくれる髙橋大輔さんはもちろん、ランビエルさん、リプニツカヤさんの加入がやはり大きかったかと。
光源氏と朱雀が歌を競う場面、大きな弓を持った狩りの場面。
髙橋大輔さんとステファン・ランビエルさん 二人のスケーティングが観られる幸せ。
ダブルでバタフライなんて、「え?ワタシ今、何見たの?」というくらいでした。
スケートのコスチュームとは違ってふわりとした体のラインを覆う衣装でも、滑走中や宙を舞う姿勢が本当に美しく、どの瞬間、どの角度を切り取っても絵になる二人。
さらには、髙橋大輔さん&リプニツカヤさん、ランビエルさん&リプニツカヤさんという二組の、趣きの異なったペアスケーティングを楽しむことができる贅沢。
まるで妖精のような、流れるように美しいスケーティングを見せてくれたリプニツカヤさん。I字スピンなんて現役時代そのままでした。
髙橋大輔さん。
スケートはもちろん、たくさんの台詞に歌、ラブシーンあり宙乗りありで八面六臂の大活躍。
歌声は驚くくらいのびやかで力強く、切れ味鋭い氷上の殺陣はスピード感満点。スーパースターぶりを見せつけてくれました。
場面に応じて台詞の声色も変化していて、スケーティング同様、表現力豊かな演技。
「あなたが欲しい」とダイレクトに藤壺に思いをぶつけた後の求愛の滑りなんて、ファンの人にはたまらなかったのではないかしら。
織田信成さんの妖しげな迫力ある陰陽師もよかったです。
「バットマン」のジョーカーを思わせるメイクに高笑い。キレッキレのスケーティング。
ちょっとイッちゃった感のある陰陽師、最高でした。
善と悪の代表のような二人・・・頭中将の福士誠治さん、長道の波岡一喜さん。
このお二人が台詞を言う時の安心感ね(笑)。物語を牽引していました。
どちらもお芝居はもちろん、スケーティングも氷上の殺陣も高値安定。
特に福士誠治さんはジャンプやスピン的なものまでやっていて驚き(スケート経験なかったそうです)。
「空ヲ刻ム者」「ワンピース」とスーパー歌舞伎にも出演されていましたが、できる人はほんとに何でもできるのね。
そして柚希礼音さん。
いや~、登場した瞬間、背中ゾクゾクしましたよね。
あの広い横浜アリーナのセンターに一人すっくと立つ姿の凛々しさ。
ホールじゅうに響き渡る歌声。
もちろん私は贔屓目たっぷりですが、それを差し引いても、華と存在感は圧倒的だったのではないでしょうか。
出番は短かったけれど、鮮烈な印象を残したと思います。
男として育てられた海賊の長という役どころ。
元男役のカッコよさはそのままですが、柚希さんがインタビューでおっしゃっていた通り、宝塚を退団してすぐではなく、「女優」として過ごした4年を経てのこの役で、男っぽい中に内に秘めた女心の切なさも深みを持って表現されていました。
殺陣の時はスケート靴はいていなかったけれど(お稽古間に合わなかったかな?(^^ゞ)、華麗なマントさばきや頭上高く脚があがる回し蹴り・・・「ちえちゃん、来たよコレ!」な松浦様にノックアウトされたスキップでございました。
千秋楽となったソワレはカーテンコールで髙橋大輔さんからご挨拶。
「短いよ~」という第一声がいつもの大ちゃんで、その時改めて、台詞では声も口調もつくっていたんだなと実感しました。
宮本亜門さんも登場されて、「スケーター、俳優陣みんながそれぞれお互いサポートし合ってリスペクトし合って本当に素敵なカンパニーだった」とこのカンパニーのすばらしさを伝えられました。
髙橋大輔さんやユリア・リプニツカヤさんは泣いていらして、他にも感極って涙を流すキャストもいらっしゃいましたが、客席の声援に手を振って応えながらリンクをパレードする皆さんの達成感あふれる晴れやかな笑顔に胸熱。多幸感に満ちた光景でした。
髙橋大輔さんやランビエルさんとハグしたり、福士さん、波岡さんと笑顔で手を取りあったり、荒川静香さんや村上佳菜子さんと笑い合う柚希さんをオペラグラスで追いながら、「ちえちゃん また新しい世界が広がったね」という思いで胸がいっぱいになりました。
最後は全員で氷上で記念撮影。
1回目 大輔くんのかけ声がよくわからずちょっとグダグダになってしまったら、柚希さんが大輔くんに何か言って仕切り直しとなり、大輔くんが「いくぞーっ!!」に続いて柚希さんが「準備だぁーっ!!」、そしてみんなが「おおぉー!!」と、光源氏と海賊たちの出陣の時のかけ声を再現。これだけでもキャストの一丸ぶりと柚希さんの存在感が伝わりました。
マチネ スーパーアリーナ席からの目線。
ロングサイドのセンター付近で前回と同じ感じ。
こちらはソワレのスタンド席からの眺め。
マチネ終演直後のリンク。
たくさんのトレースが「戦いの後」を物語っていました。
ガチャは3回まで、と固く心に決めていた不肖スキップ。
もちろん松浦様狙いだったのですが(確率は1/13)、最初に回したら缶ミラーが出てアセる(アクリルスタンドを買ったつもり)。
おぅ、機械が違うのかと隣に移動して出てきたのは誰でもなく「氷艶」の文字。
休憩時間に三度目チャレンジして陰陽師が出たところで「はい、終了~」となりました。
アクリススタンド交換相手探すほどの熱量は持ち合わせておりません のごくらく地獄度 (total 2083 vs 2087 )
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