
「ワンピース」に続く、少年漫画の歌舞伎化第二弾ということで、2018年8月 新橋演舞場で初演されました。
まだ発表前に「来年南座でやるらしいよ」と情報をいただいて、演舞場ガマンした私、エライ(?)
南座新開場記念
新作歌舞伎 「NARUTO -ナルト-」
原作: 岸本斉史
脚本・演出: G2
出演: 坂東巳之助 中村隼人 市川笑也
嘉島典俊 市瀬秀和 安田桃太郎 中村梅乃
澤村國矢 市川猿四郎 中村梅丸 市川笑三郎
市川猿弥 中村梅玉 ほか
2019年6月15日(土) 4:00pm 南座 3階1列センター
(上演時間: 3時間45分/幕間 30分・20分)

体内に九尾の妖狐を封印された落ちこぼれ忍者・うずまきナルトが里一番の忍である火影を目指し、仲間たちと共に数々の試練を乗り越えて成長していく物語。
木ノ葉隠れの里に育った落ちこぼれ忍者 うずまきナルト(巳之助)は忍者学校を卒業し、うちはサスケ(隼人)、春野サクラ(梅丸)とともに、はたけカカシ(嘉島典俊)のもと任務に励んでいました。
ナルトはサスケをよきライバルであり大事な友だちと思っていましたが、サスケは両親を含む一族全員が兄のうちはイタチ(市瀬秀和)に殺されるという暗い過去を抱えていました。サスケたちは数々の試練に立ち向かいながら、自来也(猿弥)、綱手(笑也)との出会い、大蛇丸(笑三郎)との争いを経て、世界を揺るがす強大な敵 うちはマダラ(中村梅玉)との闘いに挑むのでした。
「ワンピース」を観た時と違って原作全く知らず・・・「うちはサスケ」の「うちは」は「ウチワ」と読むとずーっと思ってたくらい。だって「コンニチワ」も「こんにちは」って書くじゃない←)、もちろんあらすじも読まずに観ましたが、名前が時々聴き取れなかった以外は(笑)、わかりやすく楽しく拝見しました。
「木ノ葉舞う 里に火は燃ゆ火の影に 九つの尾の妖狐あり」
という義太夫の語りで始まり、舞台上のスクリーンには大きな妖狐。
ナルトの体内に九尾の妖狐が封印されたいきさつが描かれ、物語は始まります。
要所要所で義太夫が現れて時の流れや状況を説明してくれるのでわかりやすかったな。
原作700話をほぼまとめたということですが、九尾封印に始まって、木ノ葉隠れの里の火影の存在、ナルトとサスケの友情と確執、サスケのうちは一族にまつわる因縁、ナルトの出生の秘密と父母の慈愛、自来也、綱手、大蛇丸という伝説の三忍、そしてうちはマダラの野望など、たくさんのエピソードが盛り込まれながらも混乱することなく、一つの物語として成立していました。
全編を貫いているのはナルトの、どんな逆境でも「ぜってぇー あきらめない!」、仲間を「ぜってぇー 信じる!」という強い意志。
ナルトは落ちこぼれ忍者でいろいろ未熟だけど、常に一所懸命全力投球で、「火影になる」という信念が決してブレることはありません。
その点、ドラマがあるのは、兄イタチに一族全員殺され、一人生き残ったサスケの方。
兄を憎み、自分の手で殺すためだけに生きているようです。
そのために、大蛇丸に与し、マダラに取り込まれ、とブレるブレる。サスケくん、人の言うこと鵜飲みにしすぎでしょう(笑)。
そのイタチの真実が明らかにされるのが死者である三代目火影が蘇って、というのがちょっと安直な感じがしないでもないですが、すべてを背負って自分だけが悪者になってサスケの前に立ちはだかるイタチがとにかくカッコいい!演じる市瀬 秀和さんも超クール!
ナルトにももちろんドラマはあって、実は四代目火影こと波風ミナトの子どもだったことが明かされる訳ですが、その波風ミナトとうずまきナルトの二役を演じるのは坂東巳之助くん。
単細胞だけど一直線で剛毅なナルトがよくお似合い。
口跡よい台詞、躍動感にあふれた殺陣も所作も元気いっぱい。
多重影分身の術っていうの?あのいっぱいナルトが出てくるヤツ。
周りのナルトも身体能力高い人揃いで見応えありました。
サスケの中村隼人くんもさすがの身体能力で、大詰の本水の瀧の中でのナルト vs サスケの立ち廻りは迫力たっぷり。
隼人くんは、もとよりビジュアルは凛々しく美しい役者さんですが、写輪眼の紅い目が妖しくてとても色っぽかったです。
台詞も太い声がよく出るようになったよねー(どんな上から目線w)
そして何度も言いますが、うちはイタチの市瀬秀和さんのカッコよさよ。黒いネイルもステキ~❤
歌舞伎役者さん以外では、はたけカカシの嘉島典俊さんも印象的でした。黒いマスクしていらっしゃるので最初誰だかわからなかったのですが、声で「え?嘉島さん?」と。
市瀬さん、嘉島さんともに「ワンピース」にもご出演で、新感線なら「準団員」といったところでしょうか。
エロ仙人だけど男気があってナルトのよき理解者でもある自来也の猿弥さん、迫力ある立役久しぶりの大蛇丸と慈愛に満ちたナルトの母 うずまきクシナを演じ分けた笑三郎さん、たおやかな美女なのに時々本気野太い男声出すのがおかしくも迫力満点の綱手 笑也さん。
・・・澤瀉屋.の役者さんたちは相変わらず盤石です。
そして、ラスボス感ハンパないうちはマダラの梅玉さん。
あの花道でゆっくりと仮面をはずして顔を見せる時のタダモノではない感と大物感。
演舞場では猿之助さんと愛之助さんが役替りで演じられた役ですが、観ていない私には最初から梅玉さんのための役のようにも感じられました。
今回の出演陣の中で最も歌舞伎の空気を纏った方ですが、きちんと物語に溶け込み、悪役でありながら品があってさすがの貫禄、存在感でした。

原作知らなくても楽しめたけど読んでいたらもっとおもしろかったかなー のごくらく地獄度




おー、原作をご存知の方からも評価されているのですね。
本当に、主演の若い二人から周りの熟練の役者さんたちまで
皆さんイキイキ楽しそうでした。
梅玉さんはもうさすがとしか言いようがなくて、よくぞ
マダラをやってくださいました!という感じでした。
梅丸くんもきっとうれしかったですよね。