
とは言っても、
4月文楽公演: 大序より四段目まで
夏休み文楽特別公演: 五段目より七段目まで
11月文楽公演: 八段目より十一段目まで
と3回に分けての上演です。
特設サイトもできていてなかなかの気合の入れよう。
2012年に昼夜通しで全段上演(感想はこちら)した気概もほしいところではありますが、忠臣蔵フェチといたしましては、ほぼ1年かけてじっくり楽しませていただく所存。
国立文楽劇場開場35周年記念
4月文楽公演 第1部
通し狂言 「仮名手本忠臣蔵」
大 序 鶴が岡兜改めの段/恋歌の段
二段目 桃井館力弥使者の段/本蔵松切の段
三段目 下馬先進物の段/腰元おかる文使いの段/殿中刃傷の段/裏門の段
四段目 花籠の段/塩谷判官切腹の段/城明渡しの段
配役はこちら
2019年4月10日(水) 11:00am 国立文楽劇場 1列センター
(上演時間: 4時間18分/幕間 25分・10分)
幕開き前から能管と締太鼓の演奏。
これから荘厳な物語が始まるという予兆たっぷり。
幕が開くと鶴ヶ岡八幡宮の兜改めで人形が正面を向いてずらりと並んでいます。
大序と二段目は人形遣いさん全員黒衣。
衣装もそれほど見慣れていなくて(もちろん配役把握していない)、誰が誰だかわかりません状態なのですが、高師直だけ「!!」となりました。桐竹勘十郎さん、やっぱり特徴あるなー。
二段目の「桃井館力弥使者の段」は文楽、歌舞伎を通して初めて観た・・・と思います。
(前回の通し上演では「桃井館本蔵松切の段」だけだった。)
父の塩谷判官から若狭之助への使者として訪問した力弥。
家老である加古川本蔵の妻 戸無瀬は娘 小浪の力弥への恋心を察して、仮病を使って小浪に対応させる・・・という筋立て。
これが八段目の「 道行旅路の嫁入」の戸無瀬、小浪の必死の旅路に繋がるのね~と。
三段目から人形出遣い。
「下馬先進物の段」を観ていると、桃井若狭之助に加古川本蔵がついていて本当によかったと思いますし、逆に言えば、塩谷判官のそばに加古川本蔵のような人がいれば、大星由良助が国元ではなく江戸にいたら、と思わないではいられません。
「殿中刃傷の段」
いつも思いますが、「殿中刃傷の段」の松の廊下の舞台装置の凛として美しいこと。
その前で、多くの人の運命を狂わせる事件が起こるに相応しい荘厳で怜悧な襖絵。
これを前にすると思わず居ずまいを正さなくては、という気分になります。
この段はやはり高師直。
ねちねちと陰湿にいたぶるけれども決して品を失っていないところがさすが勘十郎さんで、やりすぎず、かと言って憎々しさは十分な塩梅。
四段目から顔世御前が簑助さんに交代(大序は簑紫郎さん)。
やっぱりとてもたおやかで可愛い。
簑助さんが出てきたらそのお人形ばかりに目が吸い寄せられてコマル。
「塩谷判官切腹の段」
7年前に観た時、隣の人にガン見されるくらい号泣した不肖スキップ、「二度目だし、歌舞伎でも何度も観てきて免疫もできてるから泣いたりしないわ」と思っていたのに・・・泣いたよね。
大夫、三味線ともに音はなく、ただ人形の動きだけで粛々と進む場面。
客席ももの音ひとつたてず、固唾をのんで見守っていて、劇場全体のピンと張り詰めた空気が痛いほどでした。
「由良助は」と尋ねる判官に、力弥が「今だ、参上仕りませぬ」と応じ、意を決したように判官が九寸五分を腹に突き立てたまさにその刹那、最初に足音が聞こえて、襖が開いて、駆け込んでくる由良助にぶわっと涙があふれました。
「判官切腹」は 2008年10月に平成中村座で観た中村勘三郎さん判官、片岡仁左衛門さん由良助がmy bestなのですが、その時の由良助の足音が聞えたような気がしました。
それと、これは自分でも不思議な感覚だったのですが、塩谷判官は、由良助が来る前と駆け付けて来た後とで表情が違っているように見えました。
「由良助は・・」と待っている間はいかにも無念といった悔いの残る表情に見えたのが、由良助が間に合って、自分の遺志を由良助だけに伝えた後は、覚悟も決まり、強くキリリと引き締まった顔に見えたのでした。お人形なのに・・・これ、もちろん語りの力も大きいですが、やはり人形の遣い方、見せ方なのかな。
塩谷判官の吉田和生さん、大星由良助の吉田玉男さん、すばらしかったです。
豊竹咲大夫さんの語りと鶴澤燕三さんの力強い三味線がまたドラマチックで。
そして
ずっと語りなくて舞台奥から進み出てくる由良助の動きだけで、最後に「ハッと睨んで」のひと声で終わる「城明渡しの段」 めちゃカッコよかった!玉男さんが由良助そのものに見えました。
配役を上でリンクしましたがリンク先が消されてしまう場合もあるので画像でも。
クリックすると拡大します(二度クリックでさらに拡大)。
いつまでも感想書かないでぐずぐずしてたからもう明日「夏休み文楽」の発売日じゃん のごくらく地獄度



