
続いてショーです。
美園さくらさんを迎えた新しいトップコンビのお披露目と、美弥るりかさんのサヨナラ。
幸福感と寂しさとが場面場面を彩っていました。
宝塚歌劇 月組公演
レビュー・エキゾチカ 「クルンテープ 天使の都」
作・演出: 藤井大介
出演者は「夢現無双」(こちら)と同じ
2019年3月23日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階23列上手/
4月4日(木) 11:00am 1階19列下手/4月11日(木) 11:00am 1階5列センター
(上演時間: 55分)
「クルンテープ」はタイの首都。タイの人々は敬愛を込めてこの街を「天使の都」と呼ぶのだとか。そんなタイをテーマにしたエキゾチックレビュー。
開幕してから2曲も楽曲が差し替えられたり僧侶の衣装が変更されるなどえバタバタした感じでしたが、煌びやかで衣装も豪華で楽しいショーでした。
僧衣を纏った僧たちが登場して、少年デプチャイ(蘭世惠翔)がドラを鳴らしてショーがスタートするオープニングからエキゾチックムードたっぷり。
蘭世惠翔さん、折々に登場して目立っていました。少年っぽい雰囲気がよくお似合い。やはり明日海りおさんに面ざしが似ていますね。
プロローグでみんなが歌い継ぐ主題歌の歌詞が
「千の星に飛び交う 蝶のように」 (暁千星)
「満天の星が 月の城へと誘う」 (月城かなと)
といった具合に歌う人の名前が織り込まれているのですが、
美弥るりかさんが
♪美しすぎた 幻のような 数多の夢 瑠璃色の伝説となり この地に眠る
と歌った時にはウルウル。藤井大介、やってくれるゼ。
3/23に観た時、横通路から2列目の席だったのですが、プロローグの客席降りで目の前に来た綺麗な男役さんが近すぎて誰かわからず(笑)、少し離れて見て「れいこちゃんやん!」となった訳ですが、月城さん、ちゃんと戻ってきてくれて、2列目の私たちにまで手をのばしてハイタッチしてくれました

■ カンタンニャン (結婚)
珠城さんシーチャイと美園さんチャンインの結婚の場面。
お芝居がアレだったから、この場面がまるで新トップコンビのお披露目のようで、幸せに満ち溢れた雰囲気。
銀橋に伸びるウェディングドレスの長いトレーンが優雅で綺麗でした。花嫁に大きな傘をさしかけるのも蘭世くんデプチャイ。
■ ルンム (若さ)
話題のムエタイの場面。
ヤイ(月城かなと)、サトルー(暁千星)が銀橋で、エアムエタイしながら、♪相手を倒すぞ~ シュッシュッシュシュ~ みたいな歌を歌います。
ともに美形のお二人ですが、暁千星くんの身体能力の高さと等身バランスの美しさが際立っていました。銀橋で片足上げたいかにも不安定なポーズで静止、すごかった。
ヤイには夏月都さん、サトルーには白雪さち花さんというめちゃ強怖そうなお姉さんたちがセコンドについていて、それぞれ天紫珠李ちゃん、結愛かれんちゃんという可愛い恋人も応援。
1回戦は暁さんサトルーの圧勝で、「そうよねー」と思って観ていたら、休憩中に夏月セコンドのカツ入れられた月城さんヤイががんばって2回戦を制し、総合勝利をおさめました・・・引き分けじゃないんだ。というかどう見てもサトルーの方が強そうだったけど。
■ ブーア (蓮の花)
水上マーケットで船をこぎながら歌うフルンこと風間柚乃さん。歌うま~い。いい声だ。
からの、珠城りょうさん、美弥るりかさん 二人のファムラックのダンス。
とてもよかったです。
二人とも裸足で、裸足だからこそのリアル身長差もあって、体格も一回り大きく雄々しい珠城さんと華奢で妖艶な美弥さん。
雰囲気たっぷりのダンスを目で追いながら、珠城さんがトップになって以降、二人が一緒に過ごしてきた時間を思って泣きそうになりました。
男爵とオットー
ダルタニアンとアラミス
青柳誠二と高野悠
バッディとスイートハート
ドンとコズモ
トートとフランツ
そして、武蔵と小次郎
異なった個性の相乗効果が二倍にも三倍にもなる名コンビだったな。
■ ケングエング (元気)
美園さくらさんをセンターに千海華蘭さん以下8人の男役が歌い踊る場面。
当初、タイのアイドルのポップソング?だったところを、二度目に観た時からは「セ マニフィーク」に変更になりました。
振付は同じだったのかな?急な変更で大変だったこでしょう。美園さん、さすがに若くて現代的。衣装もよく似合っていました。
美園さんは歌もうまいけど、「セ マニフィーク」はもっと!と思っちゃいます。
■ ラーチャ・ブルック (国花)
男役を引き連れて歌い踊る珠城りょうさん。
ハットからチラリと金髪が見えていましたが、ラスト下手花道でハット取ると金髪ロングヘアで女だったよ設定。
その前に輝月ゆうまさんが大きく派手な女役で歌い踊る場面もあって、「性別なんて関係ない」って歌ってたし、ジェンダーレスがテーマでもありましょうか。
■ ライキンドクーン (傷)
ドラマ仕立ての場面。
月城かなとさんと美園さくらさんカップルが行ったクラブで、ナンバーワンホストの珠城りょうさんと暁千星さんが踊っていて、珠城さんと美園さんがひと目で惹かれ合い、嫉妬した暁さんが美園さんを撃とうとして・・・
という宝塚のショーによくある、「これは最後誰か死ぬな」というやつで、その通りの結末となりました(撃たれたのは珠城さん)。
ここは暁千星くんに目が釘付け。
ショートパンツからのびやかな脚を出して(柚希礼音さんが REON Ⅱでレディ・レオン歌った時に着た衣装だった)、髪は地毛のままのショートっていうのがかえって官能的で、勝気で色っぽい女性を造形。ほんと、ダンス上手いし、止めようとする月城さんを台の上からパァーンって足で蹴ってたりするSっぷりもたまらん(←)。
■ マカプジャ(万仏祭)
美弥るりかさんソロ、男役群舞、デュエットダンス とここからの3場面は安寿ミラさん振付。
相変わらずカッコイイ振付で、さすがに男役のカッコよさ、娘役のかわいらしさを熟知していらっしゃる。
端正な黒燕尾に身を包んで、一人銀橋を渡りながら歌う美弥るりかさん。
男役の集大成です。
先日東京で行われた最後のお茶会は、中継会場含めて約3,000人の参加だったとか。
トップスターにはなれなかったけど、伝説の二番手に・・・本当に「瑠璃色の伝説」になったんだな。
そしてちょっと着崩した感じの黒燕尾にターバンを巻いた男役群舞。
珠城さん中心踊った後、みんなが下手の方を向いて、そこからセリ上がってくる美弥るりかさん。
笑顔で迎える皆がいる舞台に加わって踊るところで、それまでいっぱいいっぱいだった涙がつい溢れることと・・・。
珠城さん、美園さんのデュエットダンス。
まるで二人がおしゃべりしているようなとてもかわいい振付で、美園さんのドレスも可愛くて、高さのあるリフトも綺麗で多幸感にあふれるデュエダン。最近のデュエダンの中では一番好き。安寿ミラさんすごいなぁ。
大階段に座って、笑顔で両手を広げる珠城さんのところに笑顔で駆け寄る美園さん。
若くて現代っ子の雰囲気の美園さんを珠城さんが大きな手の中に包み込んで、自由にさせながら温かく見守っている雰囲気。
これからこの二人がどんな世界を見せてくれるのか、楽しみです。
パレード:
エトワール: 光月るう・夏月都
結愛かれん・風間柚乃・天紫珠李
夢奈瑠音・紫門ゆりや・蓮つかさ
暁千星
月城かなと
美弥るりか
美園さくら
珠城りょう
「クルンテープ」だけなら何回でも観たい のごくらく地獄度



