2019年05月14日
ダイジェスト版 宮本武蔵 月組 「夢現無双」
レポの順番が逆になってしまいましたが、宙組の前に月組公演も観ました。
新トップ娘役 美園さくらさんのお披露目とともに、絶大な人気を誇る二番手 美弥るりかさんのサヨナラ公演となりました。
宝塚歌劇 月組公演
グランステージ 「夢現無双」
-吉川英治原作「宮本武蔵」より-
脚本・演出: 齋藤吉正
出演: 珠城りょう 美園さくら 美弥るりか
光月るう 夏月都 紫門ゆりや 白雪さち花
千海華蘭 輝月ゆうま 晴音アキ 月城かなと 夢奈瑠音 叶羽時
蓮つかさ 海乃美月 暁千星 風間柚乃 天紫珠李 結愛かれん ほか
2019年3月23日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階23列上手/
4月4日(木) 11:00am 1階19列下手/4月11日(木) 11:00am 1階5列センター
(上演時間: 1時間35分)
吉川英治さんのベストセラー小説が原作。
子どもの頃から剣の腕が立つ暴れん坊だった作州宮本村の郷士・新免武蔵(珠城りょう)が僧・沢庵(光月るう)の教えに導かれ、名を宮本武蔵と改めて剣の道を極めるため剣術と心身修行の旅に出て、様々な人々と出会い、悩み苦しみながら成長し、やがて宿命のライバル 佐々木小次郎(美弥るりか)と巌流島で決闘を果たすまでを描きます。
ダイジェスト感満載の作品でした。
関ヶ原の戦い、朱実母娘との出会い、沢庵和尚の教え、吉岡清十郎とのいきさつ、吉岡一門との一乗寺下り松の決闘、本阿弥光悦と吉野太夫との触れ合い、柳生石舟斎宗厳の教え、そして佐々木小次郎、さらには本位田又八の逸話もオン・・・原作は8巻から成る長編小説で、大河ドラマで1年かけてやるような作品を1時間35分で上演するのに、すべてのエピソードを盛り込もうとして、総花的で平板になってしまった印象。どれも同じ比重でさらさら流れていく感じ。そして最後の巌流島があっけない・・・もう少しどこかにポイント置いて緩急つけた脚本にできなかったのかなぁと思います。せっかくの「宮本武蔵」なのにもったいない。
宮本武蔵の珠城りょうさんは、豪放でいかにも硬派な感じがよく似合っていました。
殺陣もうまいし迫力あるし、押し出しも立派で強そうだし(笑)。
宮本武蔵は剣の達人だけれども、そこに到達するまでにかなり精神世界に入って高みに到達する人だと思うのですが、そのあたりの精神的な成長とかストイックな剣豪の狂気といった部分が脚本でもあまり書き込まれていなかったこともあってか、難しかったかな、と。
ゆったりしたおおらかさや包容力が持ち味のスターなので、傍若無人な振舞いや孤高の武人とはキャラ違いかな、な面も。
ボサボサ頭で「おいクソ坊主!」と叫んだり、無精ひげはやしたり、太郎に「おじさん」「おじさん」と言われて、「おじさん言うな!」とぶんすかしたり、いろんな珠城さん、新鮮でした。
お通の美園さくらさん。
ずーっと武蔵を思い続け追い続けるいじらしくも芯の強い女性。武蔵に「一緒に村を出ましょう」と言える積極性も持っています。
トップ娘役最初の作品がこんな片思いの役でちょっと可愛そうでしたが、さくらさん自身はヒロインデビューとも思えないくらい安定していました。ビジュアルかわいいし歌もさすがにお上手。何度も出てくる「たけぞうさんっ」という台詞まわしが何故だか耳に障るのだけど、言い方かなぁ。
佐々木小次郎の美弥るりかさん。
最初に小次郎が武蔵の父を倒すところから始まって、武蔵にとって「運命の人」であることが印象づけられますが、その後はあまり小次郎について深く描かれることはなくて、クルスをつけているけれどキリシタンという言及もなし。折々に出てきてすれ違ったりあぶないところを助けたり、ちょっとしたストーカー的な?(笑)
美弥さん自身は炎立ちのぼるような妖艶な色気と憂いを含んだ眼が印象的な美剣士でした。
武蔵、お通の幼なじみ 本位田又八は月城かなとさん。
キリリと美しいビジュアルとは裏腹にヘタレの役どころ。剣の腕はからきしだし、年上の女に目がくらんでいいなづけのお通をあっさり裏切っちゃうし、その女には邪魔者扱いされちゃうし、小次郎のふりして本人の前で大見得切っちゃうし、といつも情ない感じながら憎めない、愛すべき人物でした。月城さん BADDYのポッキーといい、こういうヘタレ役が意外とお似合いかも。
吉岡清十郎は暁千星さん。
なかなか貫録ある正統派の道場主で剣の遣い手でした。
一度目は武蔵が足元にも及ばない誇り高い一門の当主、二度目は敗れてもなお誇りを失わない本物の武士。
いや~、ありちゃん、大人の男になって・・(感涙)。
やわらなか京言葉も存外にイケてました。
吉岡道場は、兄にとって代わる野心マンマンの伝七郎 夢奈瑠音さん、いつもいい声と美形でどこにいても目立つ植田良平 蓮つかささん、遊び人風で生きる術に長けた祗園藤次 輝月 ゆうまさんとイケメン逸材揃いなのでありました。
吉野太夫は海乃美月さん。
武蔵と小次郎の両方に接点がある唯一の女性かな。
綺麗で儚げで、廓で太夫を張る度量と誇り高さも持った素敵な女性。海乃さん さすがの存在感で上手い。ただ、京ことばのイントネーションは気になりました。ちゃんと教える人、いないのかなぁ。
武蔵を厳しく温かく見守る沢庵和尚は光月るうさん、洒脱な粋人を物腰やわらく演じた本阿弥光悦に扮した千海華蘭さん、山賊の一味から後に宍戸梅軒となる精悍な風間柚乃さん、娘役では、又八も藤次も惑わす色っぽいお甲の白雪さち花さん、その娘で可憐な朱実 叶羽時さん、武蔵には厳しくお通にも辛くあたるけど息子の又八は溺愛しているお杉ばあさん 夏月都さん、武蔵の一番弟子 城太郎の結愛かれんさん、武蔵の周りを飛び交う白い鳥 天紫珠李さん・・・役が多いのもこの作品の特徴(ダイジェスト版なだけにww)。
ショー 「クルンテープ」編につづく
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