2019年05月03日

令和エンタメはじめは神田松之丞さんの講談


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令和最初のエンタメは私にとって人生初体験の講談。
今、絶大な人気で講談会のチケットは即完という神田松之丞さん。
テレビでちらっと見たことはあるのですが、一度ナマで聴いてみたいと興味を持っていました。

南座新開場記念の京都ミライマツリにお出ましということで、ダメもとで申し込んだら運よく当選。
初体験の講談は南座で、神田松之丞さんの語りをたっぷり三題楽しませていただきました。


南座新開場記念
京都ミライマツリ2019  音マツリ
「神田松之丞 講談会 in 南座」

2019年5月3日(金) 11:00am 京都南座 1階6列センター
(上演時間: 3時間15分/幕間 30分・15分)


演目
一、 源平盛衰記より扇の的 (30分)
二、 怪談乳房榎(1時間)
三、 中村仲蔵 (1時間)


はじめての講談でついていけるかな?と思っていたのですが、配られたプログラムを見て、どれも知っているお話でしたのでひと安心・・・というか一層期待高まる


開演すると松之丞さん、花道からご登場。
客席からはわ~っという歓声と盛大な拍手。
花道七三で立ち止まって振り向き、二階三階へも手を振っていらっしゃいました。

幕が開くと、緋毛氈で富士山のような形に高い台がつくられ、その上に釈台。
背景は松羽目です。
二演目目からは緋毛氈ではなく濃いグレーの台に背景は金の扇でした。

ご挨拶の後、このたびの真打昇進と伯山襲名をご報告。
師匠である神田松鯉さんから「松之丞」という名前をいただいた時のエピソードから伯山襲名に至るまでのお話をおもしろおかしく語ってくださいました。
お話がうまいのはもちろん、ちょっと上から目線?な客席いじりも絶妙で、ゲラゲラ笑いながらなるほど人気があるはずだなと納得。何と言っても勢いがあります。



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最初の演目は「源平盛衰記より扇の的」でしたが、予定時間30分のうち半分くらいはそんなお話(笑)。
「軍談」のさわりをあー、講談ってこういうのだ!という名調子で語った後の拍手に「いいですね~、やっと終わったっ!という拍手」と。

“結局本来なら1時間かかる「扇の的」を17分で”語ってくださいましたが、緊迫感があって、まるで揺れ動く波の上を船上の扇目指して一直線に飛んでいく矢が見えるようでした。
中学生時代、国語の授業の「平家物語」で、「物語の好きな場面の絵を描く」という課題が出された時、「那須与一が矢を射る前に祈るところ」を描いて先生にとても褒められたという輝かしい思い出を持つ私は那須与一の逸話が大好き。これを講談含めて語りで聴くのは初めてで、とてもおもしろかったです。

「怪談乳房榎」と「中村仲蔵」は木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一さんが補綴されたそうです。
そういえば木ノ下さん、私と同じ列でご観劇でした。
「『中村仲蔵』の方は木ノ下さん忙しい時期だったんじゃないかな。あまり手が入っていません」と松之丞さん。
木ノ下さんはプログラムの解説で「『中村仲蔵』は、すでに松之丞版が素晴らしく、補綴者が手を入れると却って汚してしまいかねませんので、ほんの最小にとどめました」と書かれていました。


「怪談乳房榎」は私にとって、初めて勘三郎さん(当時勘九郎さん)の歌舞伎を観た忘れられない演目(1991年 中座)。
正助が結構老人設定なのに驚いたり、歌舞伎と違う諸々も興味深かったです。
場内の照明を落とした中での語りは幻想的でもあり怖くもあり。
菱川重信の妻お関に横恋慕した磯貝浪江がお関の寝床に入って迫る場面は、松之丞さんが同伴された三味線や鳴り物の音色が入って、独特の緊迫感と艶めかしさがありました。
蛍が舞うシーンはとても妖しく美しく、客席にいながら天井を見上げたほど。


そして「中村仲蔵」 本当にすばらしかったです。
まるで役者さんの朗読劇を聴いているよう。
臨場感がハンパなくてとてもドラマチックな語り。

この「中村仲蔵」だけはまくらなしで、釈台に着くなり物語に入ったので少し驚きましたが、すぐに惹き込まれました。
「血のない役者」(門閥外の役者) 中村仲蔵が芸の確かさから四代目市川團十郎に重用されて、苦しみながらも「仮名手本忠臣蔵」五段目の斧定九郎を現行の形で初めて演じ、大喝采を浴びるまでを描いた物語。

斧定九郎の「五十両~」が大好物の私としては、それだけで前のめりになるというものですが、仲蔵が團十郎に認められるきっかけになった台詞が飛んでしまったところもとてもよかったです。
南座という芝居小屋での興行という贅沢さもあって、「ちゃりーんと揚げ幕が」と語られると、本当にそこから出て花道を行く仲蔵、そして花道七三で台詞が飛んでしまい、舞台の團十郎に駆け寄って囁く仲蔵の姿が見えるようでした。


「見えるよう」とか「目に浮かぶよう」とかばかり書いていて貧困なボキャブラリーを恥じ入りばかりですが、本当にそうだったのです。
1時間があっという間でした。


拍手が鳴り止まずカーテンコール。
「カーテンコールなんて初めてでどうしたらいいかわかりませんが」と松之丞さん。
「次回は歌舞伎座でお会いしましょう」と。
↑ これ、冒頭でも「松竹の関係者の皆さんよろしく」とおっしゃっていて、本当に歌舞伎座でやりたそうでした。



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Supported by SUNTORY でワンドリンクつき。
座席にはこんなドリンクホルダーが設置されていました。



松之丞さん 伯山襲名披露は歌舞伎座でできることをお祈りしています のごくらく度 (total 2046 vs 2045 )


posted by スキップ at 23:29| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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