2019年04月08日

とっても楽しいバーンスタイン集 「佐渡 裕 音楽の贈りもの ~We love L.B.」


welove.jpg1918年8月に生まれたレナード・バーンスタインは昨年が生誕100周年ということで、世界各地で上演、演奏されてきたバーンスタイン生誕100周年の掉尾を飾る演奏会。

“バーンスタインの最後の愛弟子”といわれる佐渡裕さんが自ら選曲されたバーンスタイン傑作集のコンサートです。


バーンスタイン生誕100年 
佐渡 裕 音楽の贈りもの ~We love L.B.
指揮: 佐渡裕  
管弦楽: 兵庫芸術文化センター管弦楽団
ソプラノ: 小林沙羅  メゾ・ソプラノ: 清水華澄  バリトン: 大山大輔

2019年4月7日(日) 2:00pm 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール 
1階A列センター  (上演時間: 2時間20分/休憩 20分)



オープニングは佐渡さんがお一人で登場されて、開口一番 「今日は朝から芦屋マラソン走ってきたんです。3キロですけどね、娘と。3キロでもなかなかしんどいんですよ」
佐渡さんがマラソンされるとは存じ上げませんでしたが、演奏会の前に3キロ走るなんて、タフだなぁ。

バーンスタインのエピソードやこの日演奏される曲目の紹介などを楽しくお話されて開演です。


Ⅰ.「音楽なんて大嫌い!」-5つの子どもの歌
1. あたしの名前はバーバラ
2. 木製は7つの月を持つの
3. 音楽なんて大嫌い!
4. 大きいインディアンと小さいインディアン
5. あたしだって人間なんだから


この5曲は清水華澄さんの歌と白石准さんのピアノで。

若かりしバーンスタインのルームメイトが、絶えず鳴り響くピアノと歌にうんざりして “I hate music!” (音楽なんて大嫌い!)と叫んだことから着想された曲で歌詞もバーンスタイン作。英語の歌詞で字幕がつくのですが、「音楽は大嫌い、でも歌は好き」というふうに可愛らしい歌詞がついてました。

歌う清水華澄さんがとても表情豊か。
「大きいインディアンと小さいインディアン」の時には「ここでクイズを出します。大きいインディアンと小さいインディアンがいたけど大きいインディアンは小さいインディアンのお父さんじゃないの。じゃあ誰?4小節で答えて」
・・・客席からは4小節目に「お母さん」という声。
「さすがです。答えられなかったら『ボーッと生きてんじゃねぇよ!』と言おうと思ったの」ですってw


Ⅱ.プレリュード、フーガ&リフス

「これ、すごくカッコイイ曲です」という佐渡さんの言葉通り、とてもカッコいい曲でした。
通常のオーケストラではなく、ステージの真ん中に集まったジャズのビッグバンドのような編成。
とはいえ、クラシックの演奏家たちなので、音は多彩でシンフォニックな広がりもあって、ジャズとクラシックの融合といった趣き。
演奏スタイルも演出されていて、スイングしながら演奏したり、トランペットやトロンボーンがザッと一斉に立ちあがったり。

佐渡さんの指揮もとてもアクティブで表情豊か。ここ!という時に指し示す指や、大きく広げる手、時には指揮台の上で音楽に合わせてステップ踏んだり・・・この指揮を観ているだけですごく楽しかったし、練習の時に佐渡さんが演奏家たちに言っている言葉まで聞こえてきそうでした。


Ⅲ.ディヴェルティメント
1. セネットとタケット
2. ワルツ
3. マズルカ
4. サンバ
5. ターキー・トロット
6. スフィンクス
7. ブルース
8. 思い出に~行進曲:ボストン交響楽団よ、永遠なれ


佐渡さんが再びバーンスタインのエピソードなどお話してくださっている間に編成が変わってフルオーケストラに。
バーンスタインの作品は特徴的は曲調があって(ド-ファ だったか ファ-ソだったか?忘れてしまった💦)実際にそれをピアノの方が弾いてくださると、そのまま「ウェストサイドストーリー」のオープニングの曲になるのが興味深かったです。

「ディヴェルティメント」は8曲もありますが、短い曲ばかりなので全部で8分位の演奏。
「スフィンクスなんて、大そうな感じで始まりますが、すぐ終わります」と佐渡産が紹介されていて笑ってしまいました。

チェロの一番前にいた女性がとても綺麗な人だなぁと思って聴いていたのですが、どの曲だったか、その方のソロが入って、その演奏もとても素敵でした。この曲が終わった後、佐渡さんがコンサートマスターや第1バイオリンと握手をされたのですが、その時にこのチェロの方とも握手されていて、抜擢だったのかなと思いました。
後でプログラムを調べたら、エリナ・ファスキさんという方だった模様。


Ⅳ.「キャンディード」より
1. 序曲
2. 私たちって、なんて幸せ  (小林沙羅・大山大輔)
3. 影響されやすいの(老婆のタンゴ) (清水華澄)
4. 着飾ってきらびやかに (小林沙羅)


休憩後はフルオーケストラに3人の歌手をまじえてオペラとミュージカルのナンバー。
こちらも歌詞はすべて英語でした。

歌手の方々はただ歌うのではではなく、芝居心たっぷりでまるでオペラを観ているような気分になります。
皆さんマイクをつけていらっしゃいましたが、最前列だったのでナマ声を堪能。
ラストに小林沙羅さんがはける時には目線もらって手まで振っていただいちゃった!

その小林沙羅さん、ソロの「着飾ってきらびやかに」まさに独壇場。
クネゴンデのくるくる変わる心情を余すところなく表現する歌唱。
豊かな表情と艶やかでのびやかな歌声、そして突き抜けるような高音(でも決してキーンとしていない)で、本当に聴きごたえがあって、客席大盛り上がりでした。

小林沙羅さんって確か、野田秀樹さん演出版の「フィガロの結婚」でスザ女やってた人?と自分のブログ検索してみたら、大山大輔さんがフィガ郎だったじゃない←



Ⅴ.「ウエスト・サイド・ストーリー」より
1. サムウェア (小林沙羅)
2. トゥナイト (小林沙羅・大山大輔)


「ウエスト・サイド・ストーリー」があまりにも有名になっため、バーンスタインさんご自身は「ウエスト・サイド・ストーリーのバーンスタインと言われたくない」とおっしゃっていたというエピソードを紹介しながら、佐渡さんは「やはりこれは彼の最高傑作」とおっしゃっていました。私も大好きです。
そんなミュージカルから、特にメロディラインが美しい2曲。
まるで映画の情景が目に浮かぶような歌唱に聴き惚れました。


Ⅵ.「オン・ザ・タウン」より
1. 3つのダンス・エピソード 第1番グレート・ラヴァー
2. 料理も得意よ (清水華澄)
3. ロンリー・タウン (小林沙羅)
4. サム・アザー・タイム (小林沙羅・清水華澄・大山大輔)


ラストは今年7月に佐渡さんプロデュースオペラの公演が予定されている「オン・ザ・タウン」から。
上演にあたってロンドンでキャストオーディションをされたところ、1,000人もの応募があったのだそうです。
書類選考で200人にしぼって、その中からオーディションをしたのだとか。
「すごいと思いませんか?この西宮北口のために」・・・西宮北口って(笑)。

image1.jpg宝塚歌劇月組の公演もあって、こちらも観に行く予定ですが、1月の月組公演を観ていませんので、この曲はたまきちが歌うのかな、「料理も得意よ」と歌う女性タクシードライバーは誰がやるのかしら、と俄然楽しみになりました。
もちろん佐渡さんオペラの方も楽しみ!

フライヤー両方入っていてうれしくなりました。
(これ、座席に座ったまま撮ったので向こうにちらりんと見えるのはステージ上のピアノです)



アンコール: 「ウエスト・サイド・ストーリー」よりシンフォニック・ダンス“マンボ”

アンコールはノリノリの曲で。
佐渡さんが客席の方を向いて促して、みんなで一緒に「マンボ!」と声をあげました。
ラストはオーケストラのメンバーも全員立ち上がって演奏・・・大盛り上がりのフィナーレとなりました。
あー、楽しかった!

それにしても佐渡さん、この後サイン会もやるなんて本当にタフ。



この内容で最前列で観て聴いて4,000円。コスパよすぎでしょう のごくらく度 (total 2038 vs 2038 )


posted by スキップ at 22:52| Comment(0) | music | 更新情報をチェックする
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