2019年03月13日

「唐版 風の又三郎」 大千穐楽


image1.jpg「唐版 風の又三郎」 本日 大千穐楽の幕が無事に下りました。
この「無事に」という言葉がこれほど大切に思えた公演もありません。
カーテンコールは4回かな、5回だったかな。


シアターコクーン・オンレパートリー2019 
「唐版 風の又三郎」 大千穐楽
2019年3月13日(水) 7:00pm 
森ノ宮ピロティホール C列(2列目)センター
(上演時間: 2時間55分/休憩 10分・15分)



カーテンコール。
金守珍さんが「それでは明日の演劇界を担う二人からご挨拶を」と紹介して、まず柚希礼音さんがご挨拶。
さらに金さんから「唐十郎の言葉を磨いて磨いて磨きあげた窪田正孝!」と紹介された窪田正孝くんが車椅子から立ち上がり(窪田くんはカーテンコールの間、毎回必ず立ち上がって、それをいつも柚希さんが手をつないで支えていた)、怪我をしてしまったことも含めて(私事ですが怪我をさせてもらって・・・と言って、舞台上からも客席からもちょっと笑いが)、観客やカンパニーに感謝の意を伝えながら涙声になると、それを隣で聴いていた柚希さんの目もみるみる真っ赤に・・・それを観ている客席の私たちも涙ナミダ。

そんな涙を吹き飛ばしてくれたのは、最後の最後、ホリゾントの位置に出演者が横一列に並んで、真ん中の車椅子に座った窪田くんと柚希さんが笑顔で二度、三度とハイタッチ・・・と窪田くんが柚希さんに手をさしのばして、柚希さんも笑顔でそれを受けて、少ししゃがんでとてもやわらかなハグ。多幸感に満ち溢れたあの光景は一生目に焼き付けていたかった。


3月11日(月) ラストのエリカが飛行機の上から「織部~」と呼んで織部が上がっていくところ、足を痛めたらしく這いつくばるようにしてなかなか上がれない窪田くんに気づいた柚希さんが下りて来て、支えて一緒に上がったというツイートを読んでから今日の大楽まで、私の気持ちもジェットコースターのようでした。

ナマの舞台にはアクシデントがつきもので、これまでにも大きなところでは
「鋼鉄番長」(2010) 橋本じゅんさん降板→三宅弘城さん代役
「おのれナポレオン」(2013) 天海祐希さん降板→宮沢りえさん代役
がありましたし、
昨年の宝塚歌劇月組「エリザベート」の美弥るりかさん休演による代役も記憶に新しいところ。

これらが今回の「唐版 風の又三郎」の事案と全く違うのは、代役による上演で演出は変更されず、宝塚を除いては短期間ではあるものの数日間稽古のために休演をして再開したということ。
それに対して今回は、怪我をした窪田くんがそのまま同じ役で続投、しかも、開演時間は遅れたものの、公演に穴をあけることなくやり切ったということです。

聞くところによると、月曜日のマチネ終演後に金守珍さんが演出プランの手直しをして、火曜日(3/12)朝から出演者含めて車椅子を使った新しい演出でのリハーサルを重ねたらしい。
結果的に最初からこういう演出だったんじゃないか、とも、新演出のすばらしい又三郎になったとも言われる舞台をつくり上げることができたのは、窪田正孝くんご本人の強い意志と力量、金守珍さんの演出力、そして共演者、スタッフ一丸となった対応とフォローがあったからこそで、まさにプロの一流の仕事を見せていただいた思いです。


唐十郎さんの作品への苦手感が完全に払拭された訳ではないけれど、「風の又三郎」はこれまで観た「唐版」のどの作品よりも心に入ってきましたし、こんなアクシデントがなくても印象に残る好きな作品になったと思いますが、一層忘れらない舞台となりました。
まぁ、「好き」の中には多分に柚希フィルターを通している部分があるかもしれませんが。
そのあたりはまた改めて舞台の感想でレビューしたいと思います。


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窪田正孝という俳優がとても好きになりました のごくらく度 (total 2026 vs 2028 )

posted by スキップ at 23:51| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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