
「ちょっと」とは言い難いダークな笑いと、不道徳さと、エロ・グロ・ブラックの3拍子揃った舞台・・・何だかこんなの観たの久しぶりな感じ。
パルコ・プロデュース 2019
音楽劇 「マニアック」
作・演出:青木豪
音楽: 浅草ジンタ
出演: 安田章大 古田新太 成海璃子
堀内敬子 小松和重 山本カナコ 宮崎秋人
山崎静代 頼経明子 浅野和之 ほか
2019年1月24日(木) 1:30pm 森ノ宮ピロティホール E列センター
(上演時間: 2時間30分/休憩 15分)
とある町の山の上にある木々が生い茂った病院が舞台。
院長の八猪(やずま)不二男(古田新太)は人当たりの良い柔和な人物と見せかけて、実はロボットと人体の融合による新しい医療の可能性を夢見て、秘密裏に入院患者を利用して人体改造実験を行うという狂気をはらんだ人物でした。そこへ院長が溺愛する一人娘のメイ(成海璃子)が帰って来ます。メイも医者ですが大量の血を見るとどうしようもなくなるある秘密を抱えています。病院の庭の手入れに訪れていた植木屋の犬塚アキラ(安田章大)はメイと出会い、ひと目で恋に落ちてしまいます・・・。
アキラとメイの恋とメイを自分の管理下に置きたい院長の3人を中心に、いろいろな人が入り乱れる物語。
人が人を食いちぎったり、内臓が出てきたりでグロ要素満載の一幕、そこにエロ(というか下ネタか?)が加わった二幕という感じでしょうか。
観ていてあまり気持ちのいい話ではありませんが、展開としては一応筋道通っていますし、ラスト近くに明かされるメイの秘密には「おお!」となった部分もあります。
八猪院長が「レ・ミゼラブル」について、「貧乏なのに汚なくない。梅毒なのに鼻取れてない。貧乏人の話なのにチケット代高い」と言っていて、それが古田さんなのか青木さんなのかのレミゼ観なのね、と笑ってしまったり。
が、物語の落とし前(←言い方)を「出番もセリフも少なくて目立ちたい」というモブ看護師一人に負わせるのはいかがなものか。
まぁ、その後のアキラとメイ 2人のシーンが本当の意味で「マニアック」の世界観なのかもしれませんが。
音楽劇なので歌もダンスもたくさん盛り込まれ、ふざけた歌詞も汚い言葉もロックテイストの音楽に乗って熱く歌われます。ギターをかき鳴らして歌う安田くん、歌うまいなぁ(関ジャニの歌ってあまり聴いたことないのよ)。
赤いジャケット着た安田くん+コーラス3人でスタンドマイクで歌う「ジャージー・ボーイズかな?」なシーンもあって、古田さんのミュージカル好きが色濃く出ている感じ。
狂気まじりのいかがわしげな院長を実に気持ちよさそうに演じていた古田新太さん
ただのかわいいマドンナじゃない役に果敢に挑戦した成海璃子さん(でもこの人ののどの奥に何かつまっているような発声がやっぱり苦手)
演技も歌もダンスも何でもできる子 やっぱりJおそるべし!な安田章大さん
周りも、病院に潜入する元ジャーナリストの浅野和之さんとアキラの植木屋の先輩ユタカの小松和重さんという二大クセモノ(ほめています)をはじめ、久しぶりに聴いたのびやかな歌声が本当に心地いい院長に忠誠をつくす看護師の堀内敬子さん、セクシーな看護師とその姉妹たち(笑)を一手に引き受けた山本カナコさんなど、芸達者で豪華なキャスト陣で飽きることなく楽しませていただきました。
でもまぁ、こういうものをおもしろいと心の底から思えるパッションも若さも、もう私にはないなということを思い知って、ちょっと寂しくもなったのでした。
青木豪さん次回作は「黒白珠」。こちらの方が好みっぽいけれど悩むところです。

ラスト パァーンとバズーカのテープが舞ってから舞台も客席も真っ暗になったのであのテープはどこへ?と思っていたら、客電ついたら膝の上にふんわり舞い降りていました。
そういえばこの日のピロティホールはオペラグラスチェックがありました。
客席でオペラグラス使う人は事前に係員の人のチェック受けて座席表に☑されるヤツ。
噂には聞いていましたが初体験でした。
フライヤーも、一般のものとJの人たちが出演しているものとは分けて置いてあって(「偽義経冥界歌」もこちらに)「1人1枚」と制限されていて、監視のスタッフまで張りついているという徹底ぶり。
パンフレット3,000円!(もちろん買ってない) の地獄度


