
これまで何度か上演されていて、今回15年ぶりにリニューアルして再演だそうです。
玉造小劇店配給芝居vol.24 「お正月」
脚本・演出: わかぎゑふ
出演: コング桑田 野田晋市 うえだひろし
長橋遼也 松井千尋 有馬自由 桂憲一
浅野彰一 茂山宗彦・茂山逸平(日替わり出演)
江戸川じゅん兵 山像かおり 水町レイコ
美津乃あわ 小椋あずき 内山絢貴
是常祐美 増井友紀子 わかぎゑふ
2019年1月14日(月) 2:00pm ABCホール XA列(1列目)センター
(上演時間: 2時間)
関西に住むある家族の、明治初期から、大正、昭和、平成と100年以上にわたる、時間と世代をつなぐ物語。
それが折々のお正月風景の中で描かれます。
江戸から明治に変わったばかりのころ。
鈴木家の長男 万太郎が一人で守る家のお正月に弟の千次郎が訪ねて来るところから始まります。
この鈴木家の仏壇があるひと間で終始物語は展開します。
次の場面では万太郎は結婚して育子という妻がいます。男家庭で育った育子はお料理が苦手でお節料理の高野豆腐ものどを通らないくらいまずいものでしたが、万太郎はそれを言えず「おいしい」と言ってしまい、以来、これが鈴木家の味となっていきます。
ここから、万太郎・育子夫妻と3人の娘たち
3人の中の次女 月子と夫と2人の息子たち
月子の長男 慎太郎と関東から嫁いできた妻 ハル
慎太郎・ハル夫妻の3人の息子たち 慎一 慎助 慎吾
この3人それぞれの家族と子どもたち
という五世代くらいが描かれていて、そこに配偶者や家族が出てきますので総勢30人くらいでしょうか。
役者さんたち 男性はスーツ、女性は和服で、時に拵えをする訳でもなく、子どもや青年や老年期を瞬時に演じ分けてすばらしい。
説明台詞とか、「今は○○年」「○年後」といった表示は一切なく、前の場面からどれくらい年月が流れたのか、今がどういう時代、どういう状況なのかを家族の会話だけで私たち観客に理解させるわかぎゑふさんの脚本がこれまたすばらしい。
激動の時代も、関東大震災、第二次世界大戦、阪神淡路大震災といった大きな大きな出来事も、家族の間で起こる様々なことも、時が流れて連なると緩かな川の流れのよう。
ケラケラ笑ったりしんみりしたりしながら、時には自分の生きてきた時代とも重ねて、まるで大河ドラマや朝ドラを見るように、鈴木家の物語に心を寄せて楽しむことができました。
年老いてこの家にひとり暮らすハルさんが、阪神淡路大震災を経験したことで、家を手放し、息子の慎一のもとへ身を寄せると一同に告げるラスト。
でもその家は、借家として残り、そこにまた新しい家族の物語が始まろうとする希望を予感させるエンディングもステキでした。
終演後 めちゃ高野豆腐が食べたくなったワ。
ハルさんが最初に鈴木家にやってきたお正月、弟と裕次郎くんこと茂山逸平くんがあの朗々としたよいお声で「高砂や~」とフルコーラス(というのか)うなってくれたのが豪華なお年玉でした。

「全世界に配信して」と記念撮影。
「今日は桂憲一くんのお誕生日です!」とゑふさんが紹介してくださって、みんなでおめでとうコール。
ラストはコングさんのご発声で大阪締めで祝うて三度やりました。めでたい。
終演後のサイン会が桂さんと野田晋市さんご担当だったので、もう一度お祝いも言えたわぁ。
開演前、コングさんにパンフにサインいただく時、「今年お芝居何本目ですか?」って言われた。今年もう何本も観てること何でわかったんでしょ のごくらく地獄度



