
とエリックの歌声がリフレインしてすっかり「ファントム」脳になってしまっているワタクシではございますが、その前に宙組もちゃんと観ました。
宝塚歌劇宙組公演
-本朝妖綺譚- 「白鷺の城」
作・演出: 大野拓史
ミュージカル・プレイ
「異人たちのルネサンス」—ダ・ヴィンチが描いた記憶—
作・演出: 田渕大輔
出演: 真風涼帆 星風まどか 芹香斗亜 寿つかさ
純矢ちとせ 澄輝さやと 凛城きら 愛月ひかる
蒼羽りく 桜木みなと 和希そら 留依蒔世
瑠風輝 天彩峰里 夢白あや ほか/特別出演 松本悠里 (専科)
2018年10月7日(日) 3:00pm 宝塚大劇場 1階13列センター/
10月28日(日) 11:00am 1階24列下手
(上演時間: 3時間5分/休憩 35分)

-本朝妖綺譚- 「白鷺の城」
白皙の貴公子 陰陽師・安倍泰成(真風涼帆)と、艶やかに人心を惑わす妖狐・玉藻前(星風まどか)。
平安時代に始まり、時を越え、場所を変えて千年にわたって転生を繰り返しながら、争い、そして魅かれ合う二人が名城「白鷺の城」で終に決着の日を迎えるまでの宿縁を日本物レヴューで描いています。
ストーリー仕立てになっている和物舞踊ショー。
時代が飛ぶので少しわかりにくい面もありますが、「葛の葉」「陰陽師」「白鷺城の富姫様」と歌舞伎で知っている上に好物の題材でもあり、全体としておもしろく拝見。
真風さんの転生を順に追っていくと、
プロローグ 幸徳井友景(江戸時代) → 回想 安倍泰成(平安時代) → 吉備真備 (古代中国・殷王朝)→ 栗林義長(戦国時代) →幸徳井友景(江戸時代)
となって、その時代ごとに玉藻前も転生して出会うというストーリー。
平安時代の場面で純矢ちとせさん、瀬戸花まりさん、ちゃん、天彩峰里さんの狐三人娘の場面可愛かったです。純矢さんの「私たちキツネは肉食だから!!」とニンマリ笑いながら言うのがいかにも肉食そうでした。
戦国時代だけ、玉藻前は封印されているので出て来ず、ここは男役ばかりの勇壮な場面になっていました。
殺陣もあり、音楽もよくて、男役の太い声のコーラスも迫力ありました。
栗林義長が軍師として仕える武将・岡見宗治の芹香斗亜さんがカッコよかったです。
栗林義長@真風くんが「自分には出逢わなければならない人がいる」と言って戦乱の中へ出陣して銃弾に倒れた後、陰陽師の呪詛が解け、大地を割って登場する玉藻前@まどかちゃんのラスボス感ね!
そしてプロローグの江戸時代に戻り、宮本無三四(桜木みなと)が玉藻前を刀で斬り、それを見た友景も自刀して寄り添うように果てます。
そこへ富姫が現れて、二人の魂を救う・・・という感じかな。
一転して稲荷神社の祭礼の夜。
生まれ変わった二人が運命に導かれたように出会います。
狐の嫁入りっぽい場面おもしろかったな。
男役のブルーと娘役のピンクの着物が綺麗で明るく多幸感あるエンディングでした。
真風くんはじめ皆さんよかったけれど、玉藻前の星風まどかさんの達者ぶりが際立っていました。
どんな衣装、拵えもよく似合うし、華やかで真中に立って一人で舞台を支えられる・・・本当に立派なトップ娘役さんになったなと感慨深い。
葛の葉も富姫様も松本悠里さんっていうのがすごいなぁ~と思う傍ら、あの録音した台詞はいかがなものか。
「葛の葉」の保名は愛月ひかるさん。
保名はいい役ではあるけれど、1回目に観た時、「あれ?愛ちゃんよりずんちゃん(桜木みなと)の方が出番多くていい役じゃない?どうなってるの?」と思ったものでしたが、それからしばらくして愛月さん専科異動という衝撃発表。愛ちゃん

宙組は今年創立20周年ですが、日本物ショーを上演するのは初めてなのだとか。
お芝居でも大空祐飛さん時代の「美しき生涯」以来だから7年ぶりぐらいらしい。
普段歌舞伎をよく見ますし、宝塚でも日本物が多い雪組と比べても、踊りや殺陣の巧拙はともかく、所作や着物の着こなし、メイクもいろいろと気になるところが散見して、やっぱり経験値って大きいのねと思い知った次第です。
「異人たちのルネサンス」—ダ・ヴィンチが描いた記憶—
物語: 舞台は15世紀のイタリア・フィレンツェ。
この街にルネサンス芸術を花開かせた時の統治者ロレンツォ・デ・メディチは、軍事、外交にも優れた手腕を発揮し、ローマ教皇(寿つかさ)との対立を深めています。若きレオナルド・ダ・ヴィンチ(真風涼帆)も彼の庇護を受ける芸術家の一人ですが、ある日、レオナルドはロレンツォの愛人カテリーナ(星風まどか)が彼の幼馴染みでいつも寄り添い、寂しさを分かち合った女性だと気づきます。しかし美しく成長した彼女は心を閉ざしていました・・・その影にはロレンツォと対立するグイド司教(愛月ひかる)の陰謀も絡んで・・・。
基本的にこの時代好きですし、以前フィレンツェに一人旅して、メディチ家の霊廟を見学したこともあるので親近感を持って観ることができました。
だけど
宝塚によくある「優等生役のトップより悪役や個性的な役の二番手の方がおいしい」という典型のような作品。
異端児とまで言われた異能の天才ぶりや芸術上の葛藤はあまり描かれず、ひたすらカテリーナへの愛にふにゃふにゃしているレオナルド・ダ・ヴィンチより、ローマ教皇と対立し、フランチェスコ・パッツィと政争してる自信満々で強気のロレンツォ・デ・メディチのストーリーの方がはるかにドラマチックだし魅力的。
何なら、同じようにカテリーナへの愛に悩み、兄を尊敬しながらも嫉妬とコンプレックスという屈折した思いを抱え、そこを敵方に利用されて・・・というロレンツォの弟ジュリアーニ(桜木みなと)の方がダ・ヴィンチよりドラマがあるようにも思えます。
重厚につくり込んだ舞台装置、時代がかったシックな色合いの衣装、美しい音楽となかなか力の入った作品らしいのに何となく盛り上がりに欠けるのは、主人公というか主題選びが少しズレてしまったからでは、と残念。
暗い(物理的に、舞台がほんとに暗い)シーンが多いせいか、席が遠かったこともあってか、2回目はちょっと記憶飛んじゃったよね(←)。
とはいえ、ちょっぴりウェーブのかかった金髪の真風くんレオナルドは文句なしにカッコいい。
役柄が孤高の天才というふうに書き込まれていないので、愛に苦悩する普通の好青年だったけれど、それはそれで「レオナルド・ダ・ヴィンチ」と思わなければアリかも。
ロレンツォがとにかくカッコいい。
役も、演じる芹香斗亜さんも。
富豪で権力者らしい傲慢さがあって何ごとにも余裕たっぷり。多分心の裏側では支配者としての孤独や苦悩を抱えているのでしょうけれど、人前ではそれをお首にも出さない。しかも美丈夫で色っぽい。髪型もステキで、とにかくワタシ好みでした。芹香さん、このところクリーンヒット続きですが、当たり役の一つになるのではないかしら。
ちなみに、フィナーレの男役群舞の芹香さんも、あの独特な振付(KAORIalive)も相まって、あれ観るためだけに通えるというレベルのカッコよさでした。
グイド司教の愛月ひかるさん、フランチェスコ・パッツィの凛城きらさんという悪役2人がまたカッコよくてだな・・・私の悪役フェチの血が騒ぎました。
カテリーナの星風まどかさん。
ダ・ヴィンチ同様、あまり心情が描かれていないので、レオナルドのことやロレンツォのことをどう思っていたのかあまりよくわからなかったのですが、ベイビーフェイスと思っていたまどかちゃんが笑顔を封印して大人の女を演じていて好評価。ドレスの着こなしや髪型のセンスもよくて、3人の男性に愛される美しさも納得です。
公演のはじめの方、星風まどかさんは怪我のため、フィナーレのデュエットダンスのみ休演していて(後半は復帰)、代役は夢白あやさんでした。
夢白さん、お芝居でもカテリーナの少女時代とラストに登場するロレンツォの愛人役をやってて、新人公演ではヒロインと、「神々の土地」新公のイリナ、「West Side Story」のエニボディーズと相変わらず抜擢が続いていますね。まだ研2ですが大人っぽい雰囲気の美人さんです。
他に娘役では、得体の知れない強さが不気味なロレンツォの妻クラリーチェの純矢ちとせさんと、サライという少年役を演じた天彩峰里さんが印象的でした。みねりちゃん、顔は可愛いのに声はしっかり少年・・・うまいなぁ。
ダ・ヴィンチと工房の仲間たち(澄輝さやと・蒼羽りく・和希そら・留依蒔世・瑠風輝)が酒場であれこれ話す場面は、「神々の土地」の酒場の場面思い出しました。
フィナーレのロケットはカルナバーレの道化の衣装。可愛かった~♪
「エリザベート」と「ファントム」の狭間でちょっと分が悪かったかなぁ の地獄度


