
音楽学校時代、「絶対に腐るなよ。腐ったら終わりだから」という言葉を贈られたという正塚晴彦先生の作品で登場です。
宝塚歌劇星組公演 「デビュタント」
作・演出: 正塚晴彦
出演: 瀬央ゆりあ 音波みのり 漣レイラ 紫藤りゅう 朝水りょう 華鳥礼良 天時そら 桜庭舞 極美慎
星蘭ひとみ 水乃ゆり ほか
2018年10月18日(木) 11:00am 宝塚バウホール 4列上手
(上演時間: 2時間20分/幕間 25分)
物語: イヴ(瀬央ゆりあ)は男爵家の次男で弁護士の資格も持っていますが、定職にもつかず便利屋のようなことをしています。ある日、デビュタント・ボールを取り仕切る侯爵夫人リーズ(音波みのり)から、極端に人見知りの伯爵令嬢ミレーユ(星蘭ひとみ)のエスコートを依頼されます。友人ビュレット(紫藤りゅう)やその妹ナタリー(桜庭舞)の協力を得てダンスのレッスンを積み、舞踏会の本番に臨みますが・・・。
「一人の青年が、様々な人との出会いを通じ自らの生き方を問い直す姿を描く青春群像劇」ということでしたが、比較的軽い感じの物語・・・と思いきや、一幕の終盤で思わぬ事件が持ち上がり、「ミステリーなの?おもしろーい!」となったのですが、大した謎解きもなく、二幕は失速。都合のいい話過ぎて、何か裏があるだろう、きっとどんでん返しがあるに違いないと思っていたら、何もなかったという・・・。「イルミナティ」が登場するあたりが、政治色好き(?)な正塚先生風味がちょっぴりといったところでしょうか。
イヴ自身は特に魅力的なキャラクターとは思えませんでしたが(←)、瀬央ゆりあさんはとにかくカッコよかったです。ポスターの通り、タキシードの似合いっぷりハンパない。
少し硬派なイメージの瀬央さんと、どちらかといえば甘さ寄りの紫藤りゅうさんのビュレットがいいコンビでした。しどりゅうビュレットの「俺は結婚するんだ」可愛かったな。
ここに、刑事オットーの極美慎さんがからんで、星組若手男役トライアングル完成。
3人揃って長身美形で眼福。3人でゆる~く歌う場面、楽しかったです。
この作品はヒロインが事前には明確に発表されず、ポスターも思わせぶりな後ろ姿でしたが、星蘭ひとみさんのミレーユと桜庭舞さんのナタリーがダブルヒロインという位置づけで、ここにビュレットの恋人ニコールの水乃ゆりさんが加わって、こちらも3人体制。
美しさは群を抜いている星蘭ひとみさん。
台詞や歌はまだまだ固く一本調子なのですが、それが今回は病的に人見知りのミレーユという役によくハマっていました。演技なのか、地(彼女の素という意味ではなく、演技的にそれしかできない)なのか測りかねるところ(←)。
桜庭舞さんは芝居も歌も安定。水乃ゆりさんは清楚で綺麗ですが歌はがんばれ(・・・ちょっと雪組の星南のぞみちゃん思い出した)。
それにしても、「私はイヴが好きなの、あんたは邪魔ものよ!」と言いつつ世間知らずのミレーユを放っておけず自分の家に連れて帰るナタリー、何ていい娘さんなんだ(個人的にはあんなに気が強くて前へ前へという人は苦手ではあるけれど)。
侯爵夫人リーズの音波みのりさんがさすがの貫録で華やかで品があって存在感たっぷり。
盗まれた宝石を取り返してとイヴとオットーに迫る場面、おもしろかったです。
音波さんはドレスの着こなしや裾さばき、メイクや髪型など娘役のお手本のような人。若いヒロインさんたちはたくさん見習っていただきたいです。
リーズ侯爵夫人家の召使ラサールの天路そらさんも印象的でした。
話し方が妙に落ち着き払ってゆっくりなのに飲み物出すのは素早くていつも「早っ!」って言われるとか、困ると「ウウゥ~」と言いだすとか(笑)。
全体的にはよく笑って楽しめたのですが、正塚先生のお芝居を若手だけでやる難しさも実感。
深刻なお芝居でも、重厚な台詞劇でもないけれど、ショー的な要素が少なくごまかしが効かない(という言い方は適切ではないかもしれませんが)面もあって、やはり上級生のチカラは偉大だな、と。
でもこの経験はきっと次に、デビューのその先へつながるはず のごくらく地獄度



