2018年09月22日

第四回あべの歌舞伎 晴の会 「謎帯一寸徳兵衛」


soranokai2018.jpg毎年楽しみにしている「晴の会」。
4年目となる今年は昨年に続いて鶴屋南北の戯曲に挑戦。
「夏祭浪花鑑」の書き替え狂言。南北はこれをもとに「四谷怪談」を書いたのだとか。


第四回あべの歌舞伎 「晴の会」
「謎帯一寸徳兵衛」 (なぞのおびちょっととくべえ)
作: 四世鶴屋南北/改訂: 亀屋東斎
監修: 片岡仁左衛門   岡秀太郎
演出: 山村友五郎
出演: 片岡松十郎  片岡千壽  片岡千次郎  
片岡佑次郎  片岡りき彌  片岡當吉郎  
片岡當史弥 中村翫政  片岡當十郎

2018年8月5日(日) 11:00am 近鉄アート館 Cブロック1列
(上演時間: 2時間55分/幕間 20分・20分)



物語の筋は概ね「四谷怪談」で、登場人物が「夏祭浪花鑑」といった趣き。
主役は団七(松十郎)ですが「夏祭」での血の気の多い正義感ではなく、人物、やらかすことはまんま民谷伊右衛門。

芸妓のお辰(千壽)に惚れていますが、お辰が徳兵衛(千次郎)と結婚したため、顔がそっくりなお梶(千壽二役)を嫁にしますが・・・という筋立ての中に、団七がお梶さんの父・玉島兵太夫を殺す、蚊帳をお梶さんごとひっぱる、お梶さんが毒を盛られる、などの「四谷怪談」の場面や、団七・徳兵衛の争いの間にお辰が屏風を持って割って入ったりという「夏祭」の場面などが綯い交ぜに随所に散りばめられています。


いや~、これ、おもしろかったです。
松竹座あたりの本興行でも十分できそう。


「夏祭」とか「四谷怪談」と固定観念持って観ると混乱してしまいそうですが、最初に登場した亀屋東斎さんこと千次郎さんが「牡丹灯籠」の圓朝さんよろしく登場人物を紹介してくれますのでわかりやすかったです。

松十郎さん演じる団七は観ていて「わっる~」と思うくらい本当に悪い(笑)。
嫌な奴です。
でも何とも言えない色気があって、「色悪」という言葉がぴったり。
多分、仁左衛門さんの細かいご指導あったものと思いますが、立ち姿や所作、表情が驚くほど仁左衛門さんと重なることがありました。
もとより声も口跡もよい役者さんで、形より芝居よしの見事な色悪でした。

不幸を全身で背負っているようなお梶と気風も威勢もいい元芸者のお辰とを演じ分けた千壽さん。
どちらかといえばお辰の方がニンかなという気もしますが、二人とも色っぽくてべっぴんさん。
そして千壽さんもよく通るいいお声。

今回最も活躍が目立った千次郎さん。
いやらしい義平治と伊達な徳兵衛を早替りで演じ分け、さらには冒頭の解説、犬まで。
特に徳兵衛は青天もキリリと似合って、あんな千次郎さん観るの初めて感。
晴の会の台本構成もずっと担当されていて、そのマルチな才能には舌を巻くばかりです。

団七にまんまと騙される番頭伝八・佑次郎さんの力の抜けた飄々とした雰囲気。
りき彌さんのお磯と翫政さん三吉のラブラブカップル
兵太夫妹琴浦と義平治女房おとらという対照的な2人の女性を演じた當史弥さん
などナド 周りの役者さんの一人ひとり至るまで充実してハイクオリティ。


シンプルな舞台装置ながら、歌舞伎ならではの世界観を描出して、伝統と創造性、進取の気性が溶け合った舞台。楽しませていただきました。



とはいうものの、今となっては記憶も薄れがち(レポは早めに書きましょう) のごくらく地獄度 (total 1963 vs 1966 )



posted by スキップ at 22:54| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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