2018年09月16日

いつだって僕のそばにいてくれた 「レインマン」


rainman.jpg1988年公開のアメリカ映画「レインマン」。
数あるトム・クルーズ出演作の中でもとびきり好きな1本です。

トム・クルーズといえば「トップガン」に代表されるいかにもアメリカンヒーローというイメージだった当時、内容を何も知らずに観て、「へぇ、こんな役もできるんだ」と感心した記憶。

この映画で初めてサヴァン症候群のことも知って、私自身、チャーリーとともに成長した思い。
ずっとそばにいてくれた友だちのレインマン=レイモンドとわかった時には、多分スクリーンの中のチャーリーと同じ表情をしていたと思います、ワタシ。


「レインマン」
脚本: ダン・ゴードン
上演台本・演出: 松井周
美術: 堀尾幸男
出演: 藤原竜也  椎名桔平  安蘭けい  横田栄司  吉本菜穂子  渡辺哲

2018年8月15日(水) 12:00pm メルパルクホール大阪 1階7列下手
(上演時間: 2時間45分/休憩 15分)



物語: ロサンゼルスで高級車のディーラーをしているチャーリー(藤原竜也)ですが、経営は思わしくありません。そんな彼の元に、16歳で家出して以来没交渉になっていた父親の訃報が届きます。遺産目当てにオハイオ州シンシナティの実家に帰った彼に、車と数本のばらの木以外の全財産は、チャーリーの知らない兄 レイモンド(椎名桔平)への信託として贈与されることが告げられます。チャーリーは遺産を手に入れようと、サヴァン症候群のレイモンドを入所している施設から強引に連れ出し、ともにロサンゼルスへ戻ろうとします・・・。


ずいぶん前に橋爪功さんのレイモンド、椎名桔平さんのチャーリーで舞台化されたことがありましたが(調べたら2006年でした)、その時は映画のイメージを壊したくない気持ちがあって観劇を見送った経緯があります。鈴木勝秀さん演出の舞台でした。
今回はその再演ではなく、2008年にウエスト・エンドで上演されたダン・ゴードン脚本版の翻訳上演ということだそうです。
演出の松井周さんって存じ上げない方だと思っていたら、ハイバイの「ヒッキー・ソトニデテミターノ」の東京公演で古舘寛治さん急病のため急遽代役された方だったのね。


舞台装置含め演出全般的にスタイリッシュな印象。
舞台転換の人たち(コロス)がホテルスタッフみたいな衣装着てて役者さんっぽい演技したりするのもおもしろかったです。このあたりはダン・ゴードン オリジナルなのかしら。


image1 (15).jpg image2 (6).jpg

ロビーには「レインマン 触る模型」が展示されていました。



レイモンドが空港で航空会社の飛行機事故の記録を克明にあげて飛行機に乗るのを嫌がったり、床にばらまいたつまようじの数を一瞬で言い当てたり、チャーリーとスザンナのシーンに侵入したり・・・物語は映画のエピソードを忠実に追っているようで、あぁ、あんなシーンあった、この台詞好きだった、と懐かしく蘇りました。

ただ、それらが淡々とサラサラ流れていく印象。
映画であれほど感動したチャーリーがレインマン=レイモンドだったと気づくシーンなんて、「え?それだけ?もっと来て!」と思ったくらい。
ラスベガスのカジノのシーンは舞台でどんなふうに描かれるのかなぁと楽しみにしていたら・・・あっさりカットでした・・・ま、そりゃそうだわね、難しいよね、あのシーンを舞台化するの。



rainman2.jpg

事前に公開されたカジノシーンのビジュアル。こんなシーン、なかったよね。


という訳で、物語全般としては、私のこの映画の記憶と思い入れの強さが邪魔した感じです。
映像化されたものを先に観ていてもそんなふうに感じず楽しめる舞台もありますので、今回はそれを超えられなかったということかな、少なくとも私には。

メルパルクホールでストプレ観るの多分初めてですが、音響があまりよくなくて、台詞が聴き取り難かったのも影響ありましたかね。芝居向きのホールではないと考えます。


狂気でもなく悲劇のどん底でもなく、一人朗々と台詞を吐くでもない等身大の若者の藤原竜也くんのチャーリーはとてもよかったです。
強気だけど少し人生に投げやりで、女好きでいい加減。
そんなチャーリーがレイモンドと行動をともにすることでいろんなトラブルにあいながら、幼い頃の記憶が蘇るばかりでなく、人としての温かみを取り戻していく過程が声や表情からもよく伝わってきました。
都合よく利用してきたた“恋人”のスーザンへの接し方も、最初の方から段々変化していって、ラストで抱きしめてキスするところなんて、手指の先までやさしくてホレボレ。

椎名桔平さんのレイモンドはとても緻密に役をつくり込まれた印象。
やり過ぎるとあざとくなりがちな難しい役ですが、サヴァン症候群で心を閉ざしたレイモンドとしてそこに存在していました。
そうそう、カーテンコールでも2回目まではずっと「レイモンド」として登場されていました。

スーザンの安蘭けいさんは安定のいい女っぷり。
竜也くんとでは年齢バランス的にどうなの?と思いましたが、当初 中越典子さんがキャスティングされていた役だったと後で知りました(←)。
とうこさんご出演のおかげで(?)、客席に宙組のスターさん発見した時が一番テンションあがったかも(笑)。




映画がまた観たくなりました の地獄度 (total 1961 vs 1964 ) 


posted by スキップ at 16:28| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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