2018年08月31日
イーサン・ハント=トム・クルーズは裏切らない 「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」
シリーズ第6作。
これまで毎回監督を変えてきた通例に反して、前作 「ミッション:インポッシブル/ローグネイション」からクリストファー・マッカリー監督続投・・・というばかりでなく、物語的にも登場人物の面でも続編色濃い内容となっています。
それでも、おもしろさハンパなく。
最後には必ず "POSSIBLE" になるとわかっていても、これでもか、な展開にハラハラドキドキ。
147分間、映画館全体が静まり返って、固唾をのんで物語に引き込まれ続けていました。
いや~、ほんと、イーサン・ハント=トム・クルーズは期待を裏切らないよね。
ってか、いつも期待のはるか上を行くよね。
「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」
MISSION:IMPOSSIBLE - FALLOUT
監督・製作・脚本: クリストファー・マッカリー
製作: J・J・エイブラムス
製作: トム・クルーズ
出演: トム・クルーズ サイモン・ペッグ ヴィング・レイムス レベッカ・ファーガソン
アレック・ボールドウィン ミシェル・モナハン ヘンリー・カヴィル ヴァネッサ・カービー
ショーン・ハリス アンジェラ・バセット ほか
2018年8月26日(日) 12:00pm なんばパークスシネマ スクリーン6
(上映時間: 147分)
物語: 盗まれた3つのプルトニウムを回収するミッションについていたイーサン・ハント(トム・クルーズ)たちだったが、回収目前で何者かによりプルトニウムを奪われてしまいます。事件の裏には、秘密組織「シンジケート」の残党が結成した「アポストル」が関与しており、手がかりはジョン・ラークという名前の男。ラークが接触するという謎めいた女、ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)に近づく作戦を立てるイーサンとIMFでしたが、イーサンの動きに不信感を抱くCIAが、監視役として敏腕エージェント ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を送り込みます。イーサンは、疑惑の目を向けるウォーカーを同行し、かつて自身が捕えたシンジケートのボス ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)を手札にミッションに挑みます・・・。
原題 “FALLOUT” は、「核爆発後に地上に降る放射性の塵(広域な放射能汚染を引き起こすのはこの塵が原因であり、“死の灰”とも呼ばれる)」、そこから転じて「ある出来事から起こる悪い結果」という意味があるそうです。
マッカリー監督は「映画では核テロリズムの脅威が描かれる。これが文字通りの脅威。そしてこの映画で起こることは、イーサン・ハントが彼の人生で選択したことの最終的な結果なんだ。イーサンの過去が彼につきまとうようになる。彼のこれまでの善意が悪い結果をもたらす」という意味深発言。
物語の冒頭、仲間であるルーサー(ヴィング・レイムス)を守ろうとしてプルトニウムが敵の手に渡ってしまうという展開。
これが、マッカリー監督の発言にあたるものの一つ。
もう一つは、イーサン・ハントの離れて暮らす妻 ジュリアの存在がそれかな。
このジュリアを巡るエピソードは、怒涛のアクションが展開するこの作品の中でかなりウエットな色合いを帯びています。
ルーサーが、愛し合っていたイーサンとジュリアがどうして離れることになってしまったのかをイルサに語るシーンでは、ルーサーの温かくも切なさに満ちた表情もあいまって、二人の思いが胸に迫って思わず落涙・・・まさか「ミッション:インポッシブル」で泣くなんてね。
かつてイーサンがジュリアと結婚した時、「スパイは結婚なんかするもんじゃない」と忠告したルーサーの言葉だからなおさら。
強い正義感、忠誠心という以外に、自分の戦いが愛する妻ジュリアの犠牲の上に成り立っていること、彼女の自由を奪ってきたことへの葛藤と贖罪の意識がイーサンの心にいつも巣食っているように感じられたのです。
だから、物語の終わりにジュリアが、心穏やかで静かな今の生活の幸せに思い、「あなたがいるから夜も眠れる」とイーサンに告げた時、これでイーサンの魂も救われたのではないかと、また泣きそうになったのでした。
この部分を除けばアクションに次ぐアクション、一難去ってまた十難という感じで、全編息もつかせぬ怒涛の展開な訳ですが、これが超おもしろい。
よくもまぁ毎回こんないろんな局面考え出して、それをまたリアルにやるよねっていう感じです。
・ヘイロージャンプ(高度10,000m程度から降下して300m以下でパラシュートを開く)
・グラン・パレのホワイト・ウィドウのパーティ会場のトイレでの3人の死闘
・パリ市内爆走のバイクチェイス
・ロンドン市街の空中走破
・ヘリコプターチェイス
といったところが主なアクション爆裂シーンでしょうか。
書きあげるとアレだけど、一つひとつ見どころ満載。
グラン・パレや凱旋門など、パリの名所や街並み。パリに行った時、自分で歩いたところが結構出て来て「おっ!」となりました。
それにしても凱旋門ラウンドアバウト逆走のド迫力。
アップテンポで流れるあのメインテーマ曲は否応なしにテンション上がりますが、パリやロンドンの街並みを背景にスローテンポで♪タララ~ンと断片的にテーマ曲は挟み込まれるBGMもとても好き。
ベンジーをソロモン・レーンの身代わりに仕立てて、それでウォーカーの正体を見破る、っていうやつ、ダマされたわ(笑)・・・もう1回観てちゃんと検証したい。
前作に続いて登場のイルサ(レベッカ・ファーガソン) 相変わらずクールビューティでカッコイイ。
イーサンが愛した2人の女性のうちの1人・・・って、ジュリアとイルサってお顔、似てない?
ウォーカーを追ってロンドン市街を疾走するイーサン。
ベンジーがPC見ながら「そこ右」とか「まっすぐ」とか指示出すのですが、3Dで見ていないからイーサンがビルの上にいるのがわからず、「右」と言われたイーサンが「正気か?」と戸惑いながらビルを飛び移ったりすの、おもしろかった(このシーンで骨折したのでしたね)。
カテドラルでらせん階段すごい勢いで駆け上がるイーサンをPCで追って、「なんで回ってるんだ?」というベンジーとか、エッジの効いたおもしろさ。
スーパーアイアンマンなイーサンだからヘリの操縦も当然お手のものでしょと思いきや、「飛ばせるの?」とイルサが言う中、「できる、大丈夫だ」と自分に言い聞かせながら総従する姿、ちょっと意外な一面でした。
ラスト、ヘリコプターから降りた(落ちた、か?)後の氷壁の場面はなぜかデジャヴ。
前に違う映画かドラマ?で似たような場面があったような。
そして、アラン長官(アレック・ボールドウィン)ですよ。
「あんなことになっちゃったけど、危うく一命は取りとめたってオチじゃないの?」と希望的観測してたら、そのままで・・・(涙)。
それにしてもこれ全部スタントなしって超人すぎるトム・クルーズ。
イーサン・ハントへの指令のテープに「君がこの任務を受ける意志があるなら・・・」という言葉があって(今回の作品では終盤にウォーカーも言ってた)、いくら誇りを持って就いている仕事とはいえ、イーサンは何でいつもこんな過酷な任務を引き受けるのだろう、わが身を犠牲にしてまで悪に挑み続けるのだろうと思うことがあります。
トム・クルーズもそう。
どうしてあんなとてつもないアクションシーンを自ら?
元より功成り名遂げた人気俳優で、ギャラとか名声とかそういったものだけのためでないのは明らか。
だけど、フィクションの世界にあって、ストーリーや構成、演出の面白さもさることながら、トム・クルーズのまるで命を削っているようなリアルが私たちの琴線に触れるのだと思います。
「ミッション:インポッシブル」は今回で一旦区切りとかシリーズ終了の噂も飛び交っているようですが、観ていてこんなにテンション上がって、観終わった後、スカッと気持ちよくなれる映画、他にない。
永遠に、とまでは言わないけれど、私が映画を観られる間はトムもイーサンやってくれますように。
トム・クルーズは裏切らない のごくらく度 (total 1956 vs 1958 )
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