
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎 襲名披露
七月大歌舞伎 昼の部
2018年7月12日(木) 2:00pm 松竹座 1階1列センター/7月27日(金) 1階5列下手
一、 廓三番叟
出演: 片岡孝太郎 中村壱太郎 中村歌昇
(上演時間: 20分)
吉原の遊郭を舞台に、傾城を翁、新造を千歳、太鼓持を三番叟に見立てた「三番叟」。
「三番叟」はこれまでいろいろ観てきましたが、「廓三番叟」は初めて観ました。
華やかでおめでたい舞踊。
いかにも格が高い孝太郎さん傾城と、初々しく可愛らしい壱太郎くん新造の衣装や踊りの違いがおもしろかったです。壱太郎くんは所作がとてもやわらかくてたおやか。
でも、最初に観た時は知らなかったので傾城が翁とか全然わかりませんでした(元々舞踊には
疎い)。
それから、太鼓持で歌昇くんが出てきた時、「えっ!歌昇くん、松竹座に出てたのっ!!夜の部出てなかったじゃん!」(先に夜の部を観た)ととても驚いたのですが、ちゃーんと「女殺油地獄」に出ていらっしゃいました、というオチつきでございます。
二、 菅原伝授手習鑑 「車引」
出演: 中村又五郎 中村扇雀 中村種之助
中村寿治郎 坂東彌十郎 中村鴈治郎 ほか
(上演時間: 30分)
ストーリー性の高い「菅原伝授手習鑑」の中にあって、歌舞伎の様式美に彩られた一幕。
これまでいろんな役者さんで観ている好きな演目です。
最初は笠をかぶって出てくる梅王丸と桜丸。
相変わらず事前に配役チェックしていない不肖スキップ。
声だけで、梅王丸は鴈治郎さんとわかったのですが、桜丸は聞き覚えがあるけど誰の声だっけ?と思っていたら、笠を取ったら扇雀さんで、「リアル兄弟じゃん」となりました。
さらには後から登場する松王丸が又五郎さんで、鴈治郎さんと体型似てるし(←)「ある意味、リアル兄弟じゃん」とちょっと笑いそうになったことを告白しておきます。
とはいうものの、3兄弟とも台詞はくっきりはっきりしっかり。
特に又五郎さん松王丸の力強く堂々として立派なこと。
彌十郎さん時平は大きく、種之助くん杉王丸が何だかごちそう。
この座組で観る江戸式の「車引き」は何だか新鮮でした。

松江邸広間より玄関先まで
作: 河竹黙阿弥
出演: 松本白鸚 坂東彌十郎 市川高麗蔵
中村壱太郎 松本錦吾 中村歌六 ほか
(上演時間: 1時間10分)
白鸚さんの襲名披露演目。
「河内山」はいささか苦手で、何年か前、仁左衛門さんで観た時でさえ、結構前列だったにもかかわらず、爆睡したという苦い思い出があります・・・それでも、「ぶぁ~かめぇ~!」のところでは目覚めているのが不思議。
そして今回
・・・寝なかった。
おそるべし!最前列の威力(違)。
そういえば、以前松竹座で(調べたら 2012年7月でした)当時 染五郎さんが「河内山」やった時も寝なかったわね。高麗屋さんとこの演目、と私、の相性がいいのでしょうか。
実は白鸚さんの「河内山」を観るのは初めて。
白鸚さん独特の台詞回しは好みの分かれるところではありますが、大きさと愛嬌のある河内山はとても魅力的でした。
松江邸広間で家来たちが席をはずした後、ほっとした仕草を見せたり、表情豊かに細やかな演技をされているのが印象的でした。身バレした玄関先で、口調の変化も鮮やか。
松江出雲守は歌六さん。
七月松竹座は昼夜とも中村歌六奮闘公演のように大活躍ですが、ニンではないと思われるこの役もよかったです。
さすがにバカ殿には見えませんでしたが、放埓で傲慢でありながら、品を失わず、殿様という役の大きさ、身分の高さがきちんと感じられる松江候でした。
大詰の河内山の科白 「とんだところに北村大膳」で、「とんだところに北村大膳 こんなところでイヤホンガイド」というイヤホンガイドの広告が急に頭の中に蘇りました。それまですっかり忘れていたのに。人間の記憶って不思議。
調べたら10年も前。ブログにも書いていました(こちら)。
昼の部全部楽しかった! のごくらく度


