岸谷五朗さんと寺脇康文さんによる演劇ユニット 地球ゴージャス。
1994年の結成で、プロデュース公演は今年で15作目。
かつて何作か続けて観ていた頃があって、期待して観に行ってちょっとがっくりして帰る、を繰り返した挙句、きっぱりお別れすることにしました。
調べてみたら、最後に観た作品はVol.8 「HUMANITY THE MUSICAL~モモタロウと愉快な仲間たち~」(2006年)でしたので、もう12年も前のことです。
ちゃんと(でもないけど)感想書いてた(こちら)・・・この時はこれがお別れになるとは(笑)。
以来、どんなにキャストが豪華で心惹かれても観ることはなかった地球ゴージャス。
でもなぁ、今回は柚希さん出るしなぁ~と
地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.15 「ZERO*TOPIA」
作・演出: 岸谷五朗
演出補: 寺脇康文
音楽: 大崎聖二 高木茂治 杉本雄治(WEAVER)
振付: 原田薫 大村俊介(SHUN) 藤林美沙
出演: 柚希礼音 西川貴教 新田真剣佑 宮澤佐江・花澤香菜(Wキャスト) 藤林美沙 原田薫 大村俊介(SHUN) 水田航生 植原卓也/岸谷五朗 寺脇康文 ほか
2018年7月7日(土) 1:00pm フェスティバルホール 1階3列上手/
7月」15日(日) 2:00pm 3階4列センター
(上演時間: 3時間/休憩 20分)
豪華客船が難破して生き残った数人が流れ着いた島が舞台。
ここに流れ着いた男女は、恋愛関係のもつれで愛する人を死に至らしめたり、執拗なイジメを受けたり、レイプされ続けた父親を殺したり、さらには戦争や飢餓など、それぞれ過去にトラウマを抱えていました。
この島は人間の起こした愚かな戦争(核戦争?)によって自然が失われ、色彩がなっくなってしまった島。ユートピアと対極にある、ゼロトピアでした。
彼らはここに「流れ着いた」のではなく、「流れ着かされていた」のでした。
その黒幕はヒュー(岸谷五朗)。
人類同士の争いが起きないよう人類を滅亡させる兵器をつくるべく、その兵器のパワー源となる「怒り」を持った人たちを集めたのでした・・・。
「地球ゴージャスはやっぱり地球ゴージャスだった」というのが率直な感想です。
この作品の最大のテーマは「憎しみの連鎖を断ち切ること」かな(パンフレットを買っていないのであくまで私が感じたことですが)。
これに加えて、愛と赦し、勇気、さらには反戦や環境破壊まで、テーマモリモリ。
それらが、ラスト近くで怒涛のように押し寄せて、すべて説明台詞で語られるという・・・。
描こうとするテーマは理解も共感もできますが、この説明台詞と説教臭さがどうも苦手。
さらには、頻繁に挟みこまれる大して面白くもないギャグというかコメディパートも甚だ苦手。
「おもしろいし、迫力ある群舞や立ち回りに、今回は2人同時に飛ぶフライングなんかもあり、とっても楽しいのだけれど、何だか物足りない。何となく“ゆるーい”感じの脚本、いささか冗長、最後は無理に “感動”に持っていく、っていう感じが原因でしょうか」
これ、「HUMANITY」の時に書いた感想の一文。
12年経っても、全く変わっていない(フライングこそなかったけれど)。
それってある意味すごいことだと思いますし、岸谷さんがやりたいこと、描きたいことはこれなんだというブレない信念を感じます。
この公演中に地球ゴージャス累計で観客100万人を突破して、「ZEROTOPIA」だけでも12万人動員と千秋楽カーテンコールでおっしゃっていましたが、それだけ支持している人もファンも多いというのは認めるところです。
が、残念ながら私には合わないとしか言いようがありません。
ロビーにはキャストと記念撮影できるこんなパネルが
もちろん一緒に撮りましたが、何か?
柚希礼音さんが演じるのは主人公の一人 ジュン。
愛する人が事故で植物状態になり、そばにいながら彼の親友エコー(水田航生)と心通わせるようになった女性です。
4年と4日後に意識を取り戻した恋人は「お前たちを許さない」という言葉を残して息絶えます。
彼は意識がなかったのではなく、2人の関係をなすすべなくずっと見ていたと悟ったジュンは自責の念からエコーを拒絶するようになり、それに絶望したエコーは自ら命を絶ってしまいます。
この島で一緒に生き残った仲間のアトラス(新田真剣佑)がエコーの弟だということが判明して・・・。
どこの恋愛映画ですか、というなかなかドラマチックなストーリー。
人の生死が絡んでいるとはいえ、こういう恋愛沙汰は古今東西よく描かれていることですし、ジュンはどこにでもいる普通の女性に見えました。
私は宝塚時代からの柚希ファンではありますが、いつまでも「男役のちえちゃん」でいてほしいなどとは決して思っていません。
女優として、いろんな女性の役を演じてくれるのを楽しみにしている一人です。
それにつけても、このジュンという役は「普通の女の子」過ぎます。
柚希さんがこの役にキャスティングされる必然性が全く感じられませんでした・・・かつてエンターテインメントの世界で生きることを夢見ていた、という設定を除いては。
夢を語る場面でキレッキレのダンスが観られたのはうれしかったけれど、ラストで真剣佑アトラスとともに派手な立ち回りをやってくれたらさらにスカッとしたのに。
役柄のせいか演技もどこか為所がなく遠慮がちな印象で、歌とダンスシーンを除いては爆発するようなパワーが感じられなかったな、私には。
桑田佳佑さんがこの公演をご覧になって、「柚希礼音に惚れた」とラジオでおっしゃっていたというツイートを見かけて、それはとてもうれしいことではありますが、「柚希礼音はこんなものじゃない」と桑田さんに申しあげたいくらいです。
とはいうもの、西川貴教さんのホールに響き渡るヴォーカル、藤林美沙さんの怒りのタップや大村俊介さんことSHUN先生のマジダンスをはじめ群舞含めてダンスシーンは迫力たっぷり。
綺麗なお顔の新田真剣佑くんの華麗な殺陣など見どころもいっぱいです。
フェスティバルホールの壁を使った冒頭のプロジェクションマッピングをはじめ、お金がかかった舞台だなぁと思いました。
(この映像、この公演全部かと思ってたらフェスだけだったのね)
フェスティバルホールへ向かう赤い階段の両側にキャストの写真パネル
このまっけんゆーと一緒に写真撮る若いお嬢さん多数
やっぱり地球ゴージャスとはお別れですアゲイン の地獄度 (total 1939 vs 1946 )