2018年07月16日

十代目松本幸四郎 「残夢」刊行記念トーク&サイン会


image1 (6).jpg

昨夜は夜の部終演後の松竹座へ。
東京だとなかなかそれだけのためには行けないトークショー。
大阪でやっていただけるのは本当にうれしいことです。


十代目松本幸四郎 「残夢」刊行記念トーク&サイン会
2018年7月15日(日) 9:30-10:30pm  松竹座1階3列センター



「残夢」を買った人は名入れつきのサインをしていただけて、しかもトークショーは良席!ということでしたが、写真集はすでに持っているしサインも入っているので良席でなくてもいいやと申し込んだら3列センターのお席がきてびっくり。
全体では9列目までを使っているようでした。

トークは幸四郎さんと「残夢」を撮影した写真家の野村佐紀子さんのお二人で。
幸四郎さんが上手、野村さんが下手側に着席されました。
襲名祝幕をおろした前に椅子なので客席からとても近かったです。


まずは「残夢」のお話から。


お二人の出会いは幸四郎さんが26歳の時。
染五郎さん時代に「27」という写真集を出して、その時のカメラマンが野村さんでした。
それまで男性ヌードばかり撮っていたという野村さん。
「ヌードと舞台写真との違いは?」と幸四郎さんの質問に、
「こっちを見てくれないことですかね。モデルだとこっちを見て、カメラマンもそちらを見て、ということになりますが、舞台は一方的に見るだけなので」

ここで野村さんがおっしゃった言葉が印象的でした。
「ずっと撮っていますが、一つの役にしても幸四郎さんが20回、30回やった中のたった1日、1回なんだなと改めて思いました」
これを受けて幸四郎さん
「野村さんは今日も松竹座の舞台写真を撮っていただきました。何年か後に次の写真集が出たら、そこに載っている与兵衛や弁慶は今日のものです」


「『残夢』の表紙は白。白は汚れるので本の表紙としては珍しいことですが、この写真集は何度も何度も見ていただきたい。皆さんはもちろん、お子さん、お孫さんの代まで、幸四郎さんの次の世代の役者さんにも。何度も見ているとそのうち白い表紙が汚れて幸四郎さんの名前が浮き出るようになっています」 と野村さんがおっしゃると
「じゃあ比較的汚れた手で見ると早く浮き出てきますね」とすかさずツッコむ幸四郎さんw

「中の紙はハンバーガーの包み紙。少し透けるくらい薄くて丈夫な紙を探していたら、ハンバーガーの包み紙が最適だった」 と野村さん。
-写真集見ていて変わった紙質だなと思っていました。そういうことだったのね。

ここで幸四郎さんから「女殺油地獄」で使われている油のこだわりが。
「昔ながらの製法でつくられている“油”で、今はこれをつくれる人は日本に一人しかいらっしゃらないのだとか。
今回もその方につくっていただきました。
金丸座では水が使えないので、水の入ったものはダメということで別のものをつくっていただいてそれを使いましたが、こちらでは昔ながらのものを」
この“油”には少し匂いもついているそうで、舞台近くの席の人はその匂いも感じていただけるのではないか、と。


「残夢」のタイトルは舞台ではフィクションの世界に生きることから 現実との狭間
本に入れた押隈はあえて現実にある役ではないものを新たに作りました。
よく印刷かと言われますが、全部ちゃんと取ったものです。
白ではなく黒の羽二重にして、黒には金銀の隈取りが合うと思って、50枚やりました。



客席からの質問:

■残夢で一番好きな写真は?

今パッと浮かんだのは「野田版 研辰の討たれ」で最後に研辰を討つために引っ返してダッシュしている写真。勘三郎のお兄さんを目指して走っている。そこに研辰は写っていませんが。ここ(松竹座)でも襲名披露でやりましたし。すべてを思い出します。


image1 (7).jpg

帰宅してから私ももう一度見てみました。
これがその写真。見開きになっているので少しわかりにくいですが、疾走感たっぷり。
松竹座で「研辰」観たなぁ・・・(涙)。


■写真集をモノクロにしたのはなぜ?

舞台写真、演目、役名、公演日と並べるとただの記録になってしまう。
記録集をつくりたかった訳ではないので、「色」という情報をそぎ落としたら想像が広がって見ていてワクワクしてきたのでモノクロでいこうと決めました。


■仁左衛門さんの富樫について

今回で弁慶をやるのは三度目で、富樫は父、吉右衛門のおじ、そして松嶋屋さん。
(自分が)どんだけエライ役者なんだと、あれくらいの役者が富樫じゃないと弁慶やんねーよ、みたいな(笑)・・・決してそんなことはないです。

父も叔父も教わる人は同じですが、松嶋屋さんは弁慶もされていますし、毎日いろいろおっしゃっていただいています。
すり足、足を上げる時の角度、台詞まわしなど。
ごめんなさい、これが義経です。山伏問答、うそです山伏じゃありません、とすぐ言いたくなるようなすごい威圧感のある富樫。
襲名披露で富樫の松嶋屋さんとご一緒できるのは一生のうちの25日。25回だけ。
思いっ切りぶつかっていけるように、思いっ切りぶつかっていると思っていただけるようにやっていきたいです。
-先日観た「勧進帳」で山伏問答から涙あふれたのを思い出してまた泣きそうになりました。


■市川染五郎(幸四郎)関西人化計画はなくなったのですか?

そりゃそうでしょ。いろいろ事情がありますからね(笑)。
「女殺油地獄」を松竹座でやるのが最終目標だったので今回それが叶ってうれしい。
ただただ好きでやっているので、それがやれればカッコいいなと。
上方歌舞伎は手の届かないものだけど、たくさん上演されてほしい。
自分も上演の助けになれば、大それたことですが。鴈治郎兄さんをつっつくことは続けていきたいと思っています。



最後に今後の予定
8月は歌舞伎座で納涼歌舞伎。
「一部では「龍虎」をそこに座っている染五郎と踊ります」と客席後方を指す幸四郎さんにどよめいて一斉に振り返る客席一同。
客席上手最高列あたりに、染五郎くん、美瑠ちゃん、園子夫人が並んで座っていらっしゃって、染五郎くん照れ笑い。
幸四郎さん 「似た人で本人ではないです」(笑)

「やじきた」も、今月は猿之助さんが来てくれているので楽屋でいろいろと話して形が出来上がりつつあるところです。
笑いあり涙ありの話になりそう。

9月は秀山祭で福助お兄さんが復帰されます。
福助お兄さんとはあれもしようこれもしようと話していたので、これからいっぱい実現しないと・・・会ったら一番にそれを言いたいと思います。
とうれしそうな幸四郎さんにこちらまで笑顔。

8月は三部とも出演、9月は四役。
幸四郎になってエラそうにする訳ではないですけど、昼一つ、夜一つみたいな感じになるのかなと思ったら却って出番が増えたとう・・・(笑)。

そして11月は南座こけら落としの襲名披露に三人で出演します。


最後に、「残夢」は1冊の必要はないです。経年で白の表紙が変化していくのを楽しむために何冊も買うべき。最低でも5冊ですね。買わないとバチがあたります。BAILAも買わないと命の危険があります・・・と茶目っけたっぷりの脅迫販促?で幕を閉じました。

あー、楽しかった



幸四郎さん 暑い中の終演後お疲れでしょうにありがとうございました のごくらく度 (total 1936 vs 1939 )



posted by スキップ at 13:59| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください