
娘役がバウホール主演するのって2001年の雪組・月影瞳さん以来17年ぶりなのですって。
宝塚歌劇月組公演
キューティーステージ 「愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-」
作・演出: 齋藤吉正
出演: 愛希れいか 紫門ゆりや 白雪さち花
千海華蘭 楓ゆき 晴音アキ 夢奈瑠音
輝生かなで 天紫珠李 結愛かれん ほか
2018年7月3日(火) 11:00am 宝塚バウホール 8列上手
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)
フランスのオルレアン工科大学でドクター・ジャンヌ(白雪さち花)のもと、タイムマシンの研究に励む学生 パメラ(天紫珠李)は地元オルレアンの英雄 ジャンヌ・ダルクを崇拝していました。ある日、タイムマシンに入ったドクターが姿を消し、入れ替わりに出てきた女性こそ、中世フランスでイングランド相手に戦い、火刑に処されたジャンヌ・ダルク(愛希れいか)その人でした・・・。
いわゆる「タイムスリップもの」ですが、ストーリーは他愛なく、都合のいい時に太陽フレア(爆発)が起こって一人、また一人と中世から現代にやってくるなどツッコミどころも満載のドタバタコメディの様相。これを最後まで楽しく見せたのは一にも二にも愛希れいかさんの魅力と実力に他なりません。
ちょっとつっけんどんで、男言葉っぽい話し方をする愛希さんに既視感・・と思ったら、「All for One」のルイ十四世でした。
いろいろと勝手が違う現代にとまどうのは最初のうちだけで、すぐに順応するばかりか、自由奔放にふるまってまわりを自分のペースに引き込んでしまうあたり、さすがジャンヌ・ダルクというべきでしょうか。
パメラのジャージがお気に入りで、ジャージ着たままヤンキー座りして花壇の手入れしたり、何かに怒ってしゃがんだままぴょんぴょん跳ねるジャンヌが・・というよりちゃぴちゃんが超キュート。
このジャージはもちろん、ジャンヌ・ダルクとしての扮装、歌手としてロンドンに行く時のアイドル風衣装など、何をやってもイキイキのびのびチャーミングな愛希れいかさんの、さながらザ・愛希れいかショーといった趣き。
私が観た日は客席に明日海りお・仙名彩世の花組トップコンビがいらして、ジャンヌがカメラマン相手にいろんなポーズをするシーンで「これもできるぞ」と花組ポーズやって客席から拍手喝采。
ちゃぴちゃん、カーテンコールの最後でもまた花組ポーズやっていました。
このオールラウンドスター 愛希さんを向こうにまわして大健闘なのがパメラの天紫珠李さん。
ジャンヌを自分のアパートに連れ帰って何かと面倒をみるパメラ。これ本来なら男役の役どころで、相手役といったポジションです。
天紫珠李さんは昨年12月に男役から娘役に転向して話題となった101期生。
前作のショー「BADDY」で、夏月都さん、白雪さち花さんというお姉様がたとトリオを組んで目立っていましたが、本役でこれほど大きな役は今回が初めて。
ちょっと背は高すぎる気もしますが(笑)、歌もお芝居もうまいし可愛いし、期待の娘役誕生です。
この他にも、コメディチックな怪演を見せたドクター・ジャンヌの白雪さち花さん、パメラのライバル クララで、これまたカリカチュアライズした弾けた演技の晴音アキさん、可憐な可愛さ際立つアマンドの結愛かれんさん・・・と娘役大活躍なのも、屈指のトップ娘役 愛希れいかさんを送り出すにふさわしい公演でうれしい限りです。
男役では、パメラのパカップルのお相手 エルヴェの輝生かなでさん、妹思いのアマンドの兄で哀愁を帯びたシドニーの夢奈瑠音さん、中世組の騎士2人 ジル・ド・レの紫門ゆりやさんと「ござる」を連発するファン・ドゥ・ファンの千海華蘭さんが目立った役かな。
からんちゃんは現代でヘアサロンのおかま?スタイリストとしても登場。華麗なオネエ言葉とくねくねした動き炸裂。
この場面では白雪さち花さんも派手派手ブティック店員さんとして登場。
男役でもう一人、彩音星凪くん。
いろんな役やっていて、一幕ではクララの取り巻きの一人で美形ぶりが目立っていましたが、ミスコンの審査員(プロデューサー?)シャルル・ジャンがちょいオネエながらイケメンぶりが際立っていました。

そんなこんなでドタバタありつつ、自分がこのまま現代にいては歴史が変わってしまう、と、死を覚悟してタイムマシーンで中世に戻ることを決意するジャンヌ・ダルク。
「このさだめ、悔いはない!」とキッパリ言い放つ姿が、「愛希れいか」のラストステージと重なりました。
楽しかったけど、最初で最後のちゃぴちゃん主演ならこっくりしたドラマ観たかったな のごくらく地獄度



