2018年06月13日

タイトルは問題提起 「凸し凹る」


凸凹.jpg森山未來くん好きとしては「談ス」シリーズは2014年の初演から気になっていました。
でもなぁ、ダンス・・特にコンテンポラリーなんて、観てもよくわからないしなぁ、と腰が引けてこれまで避け気味。

第三弾となる今回も見送るつもりでチケットは取っていなかったのですが、別のお芝居を観に行った兵芸で、サイドながら最前列の一番センターブロック寄りの席が出ていて、そりゃ出来心で買ってしまうというものでしょうよ。
(兵芸は通常、左右のサイドブロックはB列から始まってA列はないので、追加席が販売になったものと思われます。)


談ス・シリーズ 第三弾
「凸し
 凹る」

構成: 大植真太郎 
振付・出演: 大植真太郎  森山未來  平原慎太郎

2018年5月27日(日)  3:00pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階A列下手  (上演時間: 60分)



開演前
「俺です」と始まるアナウンス。
ラストの方でわかったのですが、平原慎太郎さんだった模様。
携帯電話の電源を切る、録音、撮影は禁止などいつもの前説をユーモラスに。
「カビやキノコの栄養体を構成する糸状の細胞列を何というでしょう」
・・・へ?菌糸かな?(←ここでこのワード思いついた自分エライ、と自画自賛)。
「菌糸です」
次の質問の答えが「近視」その次も・・・「あー、『禁止』にかけてあるのね」とここでわかる。
「問題です。この公演タイトルは何と読むでしょう?」 で開演です。


森山未來くんが上手から登場。
客席に背を向けて、背中が痒そうにしていて、手wまわして掻いているうちにそれが超絶ダンスになっていく感じ。
どこをどう鍛えたらあんなふうにしなやかに体が動くのでしょう。
続いて大植真太郎さん。
すごく上手なのにツメが甘いといった趣きのバレエダンサーといったところ。
最後に平原慎太郎さんが白い丸テーブルを持って下手に現れ、大植さんに「YES」「NO」とダメ出し。

そうこうするうちに、未來くんがステージ上にある穴のように見えたものに手をつくと、それはねちゃねちゃしたもので絡んで動けなくなってしまって、他の2人が救出しようとします。
あれはスライムなのかな。
散々格闘した後、最後は未來くんがそのスライムらしきものを丸テーブルの上に置いて、それでできる形を「ポートタワー」とか言ってました(神戸バージョンですかね)。
やがて全部を丸テーブルの上に乗せると、テーブルの端からオーロラのような幕になってこぼれ落ちて行って、それを見つめながら未來くんが、「かつては健康にいいとされていたが今では健康に悪いとされているもの」「境界があって隔てられているけれどすぐに通り抜けることも出来るもの」「「誰が決めたのかわからないもの」といった話をします。
このあたりの観念は正直なところあまりよく理解できなかったかな。

それから3人のアクロバティックな組み体操風のダンス。
ここが一番見応えありました。
中でも、未來くんと大植さんがそれぞれブリッジのような形で向き合って脚を組み、台座をつくってその上に平原さんが立つと、未來くんと大植さんは床についていた手を離す、というのがあって・・・私の貧困なボキャブラリーで説明しても多分どんな状況かわからないと思いますが・・・「どういう腹筋してるのっ!!」と目を見開きました(ちょうど私の真正面の位置だったので)。

やがて、天井からまたスライムが蜘蛛の糸のように降りてきて、床に溜まっていくと、未來くんと大植さんがスライムまみれになりながら絡み合うようなダンス。
ここはかなり情熱的でエロティックにも感じました。
スライムにまみれて踊る2人が汗や体液や唾液や、いろんなものにまみれているように見えて。

そうして、丸テーブルにスポットが当たり、平原さんが「えーっと」といきなり古畑任三郎(田村正和さん)の口調で話し始めて、「私は最近引退したんですが」とタイムリーな話題から「ジャッキー・チェンは一度引退したことがあるんです。すぐ戻ってきましたが。宮崎駿は引退3回、大仁田厚に至っては8回」と引退ネタで笑わせた後、「皆さん、この作品のタイトルをご存じですか?」「タイトルは●×▲◇★※・・・」とほにゃらら風。

最後に大植さんが一人残り、「ネーット」
で幕(客席爆笑/これ、観た人にしかわからない)。

ざっとこんな感じ。


「談ス」ってそうかそういうことかぁと思いました。

踊りだけど語ること。
3人にとってダンスは話すことと同じ。コミュニケーションツールなんだな、と。
言葉をかわすことはないけれど、身体の動きで呼吸で、彼らは語り合っていて、思いを伝え合っている・・・それが客席で観ている私たちにも(ほんの少しかもしれないけれど)伝わってきて、ダンスってただ踊るだけじゃないんだと改めて知らされた思い。

才気に満ちた彼らはずっと動いていて、それがダンスだと意識する隙間もないくらい力強く、でも張りつめているばかりでなくいい感じの脱力感もありチャーミングでもあり。
「いいものを見た」というのが一番の感想です。
地元(兵庫県)だからなのか、未來くんのイントネーションが関西風だったり、平原さんの言葉をそのまま英語に直す未來くんの流暢な発音が聞けたりと、ダンス以外にもなおまけもあったり。


観た後で調べたところによるとタイトルについて決まった読み方はないそうです。
「タイトル自体が問題提起なので、答えがどうとかではないです」と未來くん。
「“てりむくり”という名前の屋根の建築様式があって、反ってる部分が“てり”、膨らんでる部分が“むくり”で、つまり凹凸なんですが、それを採り入れました」と平原さんがインタビューでおっしゃっていました。
「今日は何て読むんですか?」という未來くんの質問に「今日は『凸し凹る』(オスしメスる)ですね」と即答されていて、「ほぇ~、そんな読み方!と感心した次第。



image1.jpg  image2 (8).jpg

カーテンコールで大植真太郎さんが「写真撮って今日観たのはこれだ、とSNSにあげてください」とおっしゃって、終演後みんなワラワラと舞台に近寄って撮った画像。



私ってばずっと「とつしへこる」と読んでいました(タンジュン) のごくらく地獄度 (total 1922 vs 1928 )


posted by スキップ at 22:54| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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