
ONWARD presents
劇団☆新感線 「修羅天魔〜髑髏城の七人 Season 極」
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
美術: 堀尾幸男 照明: 原田保
衣裳: GROUP色 竹田団吾
音楽: 岡崎司 松﨑雄一 作詞:デーモン閣下
出演: 天海祐希 福士誠治 竜星涼 清水くるみ
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子
吉田メタル 保坂エマ 川原正嗣 原慎一郎
三宅弘城 山本亨 梶原善 古田新太 ほか
2018年5月9日(水) 2:00pm IHIステージアラウンド東京 8列センター
(上演時間: 3時間40分/休憩 20分)
内容についてはライブビューイングの感想(こちら)にほぼ書きましたので省略。
印象的には初見の時とそれほど変わりありませんでした。
「もう一つの『髑髏城の七人』」と銘打った作品。
「そう来たか!」と思ったり、「あのシーンないの?」だったり、逆に、「そこ残すんだ・・」だったり。
極楽太夫を主演に置いて天魔王との愛憎を描く、という設定は新鮮ではありましたが、どうしても「髑髏城」ベースで観てしまって、私の中の「髑髏城の七人」がよくも悪くも邪魔をした、というのが、この作品にノリ切れなかった最大の理由かな。
全く初見だったら印象も違ったかもしれません。これまでの「髑髏城」の記憶を一旦消去して観てみたかったです。
せっかく天海祐希さんと古田新太さんががっぷり四つに組んでの愛憎劇というのなら(「薔薇サム」があったけれど)、「髑髏城」にしばられず、完全新作で観たかったなというのが正直なところです。

それでも、やっぱり舞台はナマだわね。
ライビュでは捉えられていなかった役者さんの表情や、全体の動きや、映像も堪能。
今回8列目のセンターブロックだったのですが、舞台にも程よく近くて映像も見渡せて、やはりこれくらいの席が一番観やすいと再認識。とちり席とはよく言ったものです。
夢三郎の身バレを知りつつ観ていると、初見では気づきませんでしたが、一幕の無界屋でも時折鋭い視線を極楽太夫に送ったり、ビミョーな表情見せたりと、細かいお芝居してるのね~と感心したり。
それから、古田新太さん。
ライビュで観た時とは段違いに迫力あってよかったです。
確かに俊敏性は往時よりいささか劣るかもしれませんが、重量感と太刀筋の速さを兼ね備えた殺陣は他の追従を許しません。
「殺陣も少し精彩を欠いているように見えた」とかライビュの感想に書いて、ほんと失礼しましたという感じです。
台詞も全然噛んでなかったし。休演日明けで休養十分だったのかしら(笑)。
ただ、天魔王については、「もっと」感はやはり拭いきれませんでした。古田さんのせいというのではなく、ホンの段階で書き込みが不足していたのではないかと感じます。
天魔王は一体何をしたかったのだろうという思いは残りますし、信長の影武者としてのあたりももう少し掘り下げられたのではないかと。
お蘭が天魔王を信長ではないと見破る場面も、それに続く鉄砲も、絵面的には地味だなというのは、IHIの大きな舞台で観ると一層顕著でした。映像みたいにズームという訳にはいかない上に動きが少なく、第一「最終決戦」の場が髑髏城内ではない、というのがどうも・・・。
天海祐希さんは美しさにも啖呵にもますます磨きがかかり、堂々の0番。
あの広い大きな舞台の真中に立って、どこから観ても隙なく絵になるのってすばらしい。
ラストの走馬灯のシーンでは信長公が現れた途端に泣き顔になって涙こぼしていらしたのが印象的でした。
個人的には凛とした男まさりの台詞の時の潔いほどの凛々しさに対して、笑いに走ったり女らしいことを言ったりする時のあざとさというかわざとらしい話し方が些か苦手ではあります。
が、ラスト 「浮世の義理も昔の縁も、三途の川に捨之介っ!」 を気持ちいいくらいピシリと決めてくれました。


花鳥風月に追加の極。
昨年3月から始まった豊洲髑髏城伝説もこれにて幕。
次に捨之助や天魔王、蘭兵衛に会えるのは7年後でしょうか。
これで豊洲通いもおしまいと思ったら、また始まるんじゃん の地獄度


