2018年02月01日

きみもおいでよ 花組 「ポーの一族」


poe.jpgたとえば「11人いる!」や「トーマの心臓」「11月のギムナジウム」といった萩尾望都さんの漫画は子どもの頃、夢中になって読んだ記憶があるのに、一番の代表作とされる「ポーの一族」だけはなぜか抜け落ちていて、読んだことがありません。
演目が発表され、明日海さんや柚香さんのビジュアルが公開されると、騒然とした盛り上がりを見せる中、「えーっと、バンパイヤの話だったかしらね」という低ーいテンションでの観劇となりましたが、何か?


宝塚歌劇花組公演
ミュージカル・ゴシック 「ポーの一族」
原作: 萩尾望都
脚本・演出: 小池修一郎
出演: 明日海りお  柚香光  仙名彩世  高翔みず希  瀬戸かずや  
鳳月杏  水美舞斗  城妃美伶  華優希/一樹千尋  飛鳥裕 ほか 

2018年1月16日(火) 11:00am 宝塚大劇場 2階4列上手/
2月1日(木) 11:00am 1階6列センター
(上演時間: 3時間/休憩 30分)


少年のまま永遠の時を生きる運命を背負わされたバンパネラ(吸血鬼)エドガーが、14歳から年をとらないまま様々な時代、場所を生き続け200年以上の時と場所が交錯する物語。

今回の舞台では物語の時代は大きく分けて2つ。
まずは、1754年スコッティ村。
普通の子どもだったエドガーがいかにしてバンパネラとなったのかが描かれます。

森に捨てられていたところを老ハンナ(高翔みず希)に拾われ屋敷で育てられたエドガー(明日海りお)と妹のメリーベル(華優希)。
やがて一族がバンパネラだと知った村人たちの攻撃によって老ハンナは消滅し、一族にも危機が迫る中、メリーベルを巻き添えにしないことと引き換えにキング・ポー(一樹千尋)によってエドガーはバンパネラにされ一族に加えられてしまいます。
3年後、エドガーと再会したメリーベルは自ら一族に加わることを望み、フランク・ポーツネル男爵(瀬戸かずや)・シーラ(仙名彩世)夫妻を養父母としてエドガーとともに100年の時を旅することになります。

後半の舞台は、1879年 イギリスの港町 ブラックプール。
ホテルブラックプールに滞在する4人は、一族に新しい仲間を加えようと人々を物色しますが、医師 ジャン・クリフォード(鳳月杏)に正体を勘づかれ、メリーベルとシーラ、そしてポーツネル男爵までも消滅してしまいます。
絶望と悲しみに沈むエドガーはセント・ウィンザーの同級生で同じく孤独な心を持つアラン・トワイライト(柚香光)に「きみもおいでよ ひとりではさびしすぎる」と誘ってともに長い旅に出ることになります。



観た後であらすじ調べたところ、かなり原作に忠実に舞台化されている印象です。
壮大な原作を舞台に乗せるのは1本立てでもさすがに尺が足らなかったのか、メリーベルが自分もバンパイヤになると決意するくだり・・・オズワルドとユーシスがメリーベル取り合ったけどオズワルドはメリーベルの異母兄だとわかってユーシスに託す、けどユーシスの母は自分の夫をメリーベルの母に取られたので猛反対・・・というあたりはかなり端折ってあって、「???」となったりもしましたが。
・・・そんなこんなで「原作読みたい!」となりました。

ラストは1959年 ドイツのギムナジウムに転校生としてやってくるエドガーとアラン。
ここに、物語の冒頭でバンパネラ伝説を解き明かそうと集まった中の一人 ルイス・バーと(グレン・スミスに玄孫/綺城ひか理)がいることや、エドガーとアランが「今も永遠の時間を生きている」と感じさせるあたり、上手いし希望も持てる演出だなと思いました。

いかにも小池修一郎先生、といった大セリや盆を駆使した演出。
(ラストのクレーンはいかがなものかと思いましたが。)
雰囲気のある舞台装置も、時代ごとにトーンの変わるよくつくり込まれた衣装もステキでした。
あと、今回プログラムが右開き(通常と逆)でしたが、何か特別な意味があるのでしょうか。



image2 (3).jpg

これ、2階から観た時はわからなかったけれど、後ろのドットに見えるものはすべて薔薇です。


タカラジェンヌさんたちの2.5次元再現度には定評がありますが、今回もすばらしい。
原作漫画とキャストを比べている画像をTwitterやブログなどでたくさん見ましたが、エドガーの明日海さん、アランの柚香さんはもちろん、シーラもメリーベルもポーツネル男爵もクリフォードも、「絵から抜け出てきたよう」というのはこのこと、という勢いです。

明日海りおさんは人外感があるというか、常人とは違う美しさを放つ人で、それがエドガー役にこの上なくハマっていました。
やせていて少し小柄なところも少年役にぴったり。
勝気で聡明で、クールな雰囲気とは裏腹に妹への思いはとても強くやさしい。
バンパネラとなった自分を肯定できなくて、反発したり苛立ったり、どうしようもない孤独を抱えたり。
「人に生まれて 人ではなくなり」と歌う「哀しみのバンパネラ」の絶唱は胸に迫ります。

柚香さんのアランも、瀬戸さんのポーツネル男爵もとてもよかったですが、ここは鳳月杏さんのジャン・クリフォードを挙げておきたい。
1回目観た時は2階席で、もちろんストーリーも登場人物も知らず、プロローグに出てきた「あの脚長さんは誰?」とオペラあげたら鳳月さんでした。
女ぐせのあまりよくないプレイボーイだけど頭はいいし仕事もデキる医者、というのが私の好みにドンピシャでした。ちなつさんの歌声もとても好きです。

シーラの仙名さんとメリーベルの華さんもとてもよかったです。
華優希さんは「はいからさんが通る」で紅緒役に抜擢されて俄然注目の娘役さんですが、エドガーの愛を一身に受ける可憐で可愛いメリーベルを体現。あのふわふわ巻毛のブロンドヘアもとてもよく似合っていました。

シーラはトップ娘役の役ではないのかもしれませんが、大人っぽい雰囲気の仙名さんによく似合っていました。エドガーが憧れる綺麗な年上のお姉さん。声も綺麗で歌唱も聴かせてくれました。
それにしても、「降霊術」でキング・ポー呼び出した時、「海辺の小屋には近寄るな」と言われたたのに、クリフォードという目的があったにせよシーラはどうして行っちったんだろう。ポーツネル男爵もどうして止めなかったのかしらね。

娘役ではマーゴットの城妃美伶さんも印象的。
アランの従姉妹で嫌われてるけど一応婚約者。
可憐なイメージの城妃さん、つくり込んだメイクや髪型で体当たりの熱演でした。


フィナーレ:
普段なら、フィナーレ最初の銀橋渡りの歌手は二番手男役の担当ですが、柚香さんは今回ラストシーンまで明日海さんと一緒に舞台に出ていたので誰?と思ったら、仙名さんでした。しかも両脇に瀬戸かずや・鳳月杏という脚長イケメン従えて。ゴージャス!

明日海さんと娘役のシーンが終わって男役群舞に移る時、舞台上の娘役さんたちがはけて明日海さんがパット前を向いた瞬間、大階段の中心に柚香さんが立ち、その両横に瀬戸さん・鳳月さん、前に水美舞斗さんがいずれも両足を大きく広げてオトコマエに座っていて胸きゅん というか、誰見ていいか目が忙しい。
今回の群舞はKAORIaliveさんの振付で超クールだったのですが、明日海さんが去った後、センターに立つ柚香さんの華っぷりにも目を見張りました。
何ていうのか、同じように手や足を挙げたり前に出したりしてもそこにひとクセあるというか。
ダンスの華ってテクニックばかりではないんだなと改めて実感。

パレード:
エトワール 城妃美伶
綺城ひか理・水美舞斗・優波彗
鳳月杏・桜咲彩花
瀬戸かずや・華優希
柚香光
仙名彩世
明日海りお


image1 (2).jpg

公演カクテル「バラのエナジー」
バラのシロップとイギリスの「ゴードン ジン」を合わせてソーダで割ったもの。
この公演からノンアルコールドリンクも販売されるようになりましたが、もちろんアルコール入りで。



それにしてもすごいチケ難だったよね~ のごくらく地獄度 (total 1871 vs 1873 )



posted by スキップ at 23:16| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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