2018年01月22日

It all began tonight 宙組 「WEST SIDE STORY」


wss.jpg宙組新トップスター 真風涼帆さん・星風まどかさんのプレお披露目公演。

この公演は今年7月~8月 梅田芸術劇場での上演も予定されていて、「大阪に来るまでガマン」するつもりででした。
ところが、「アニータ: 和希そら」とキャスト発表されて、「それ絶対観たい!」となり、別箱公演なので梅田でそらくんがアニータやるって保証はないじゃない、と。
その時点で各種先行は終わっていましたので、一般発売で気合入れてチケット取りました。
(実際に観た後は「そらくんアニータ続投」を確信していますが。)


宝塚歌劇宙組公演
MUSICAL 「WEST SIDE STORY」
原案: ジェローム・ロビンス
脚本: アーサー・ロレンツ 
音楽: レナード・バーンスタイン   作詞: スティーブン・ソンドハイム
(オリジナルプロダクション 演出・振付: ジェローム・ロビンス )
演出・振付: ジョシュア・ベルガッセ   演出補・訳詞: 稲葉太地
出演: 真風涼帆  星風まどか  芹香斗亜  寿つかさ  松風輝  蒼羽りく  
桜木みなと  和希そら  瑠風輝   夢白あや/英真なおき ほか

2018年1月17日(水) 11:00am 東京国際フォーラム ホールC 
2階10列(1列目)センター (上演時間: 2時間55分/休憩 25分)
  


「ウエストサイド物語」の映画は何度か観ていて、楽曲もすべて知ってる!と言える曲揃い。
I like to be in America Okay by me in America の「America」や「Tonight」なんて原語でフルコーラス歌えそうな勢いです。
そういえば「映像全編観ながら音楽部分を生のフルオーケストラで演奏」というのも佐渡裕さん指揮で観たぞ、と検索したら、2012年9月でした(感想はこちら)。

宝塚歌劇では1968年に月・雪組合同で上演され、1998年 月組、1999年 星組と再演されて今回が4演目です。

その宝塚版を含めて舞台で観るのは今回が初めて。
全体的な印象として「映画をそのままうまく舞台に乗せている」と思ったのですが、よく考えたら、先にブロードウェイのミュージカル(1957年初演)があって、それを映画化されたのが1961年なので、映画の方が「舞台をそのままうまく映画化している」ということになりますね。

幕開けのオーケストラのOvertureから、ニューヨーク ウエストサイドの午後5時。
ジェッツとシャークスの面々が指を鳴らして踊り始めたら背中がゾクゾクしました。
本当にあの「ウエストサイド物語」の世界が目の前で展開されるのですから。

映画から抜け出して来たような、飾りのないシンプルなデニムにヒールのない普通のスニーカーを履いて踊る宙組男役たちのカッコいいこと。
決闘へ向かう時の Tonight の迫力。
高架下のフェンス超え。すごいな、あれ。どんな身体能力してるんだか。


ジェッツ=ポーランド系アメリカ人の不良少年たち と シャークス=プエルト・リコ系アメリカ人の不良少年たちの抗争を題材にしていますが、そこに描かれるのは移民や人種問題、差別、貧困といった現代にも通じる普遍的な事柄ばかり。
警察官ながら有色人種への根強い差別意識があって、不良少年たちを取り締まりつつもジェッツの少年たちにはちゃんと話をするシュランク警部補なんて、今でも時折報道されるアメリカの病巣を見るようです。
60年も前につくられた物語が、今のアメリカで、いや、世界各地で起こっている問題に警鐘を鳴らし続けていることに何ともやり切れない思いにもなります。

ストーリーも結末も知っているのに、トニーにマリアからの伝言を伝えにドクの店に行ったアニータが、ジェッツの男たちにひどい目にあわされ、「マリアは死んだ」と言い放つところで涙がぶわっとあふれました。
自分の身体を汚されたばかりでなく、人間としての尊厳や、プエルトリコ人であること、肌の色、愛するベルナルドのことまで侮辱され踏みにじられたアニータの怒りと絶望。
I like to be in America と、アメリカは最高だ夢がいっぱいだと楽しげに踊っていたアニータのあんな痛々しい姿。


それにしても和希そらくんのアニータのすばらしかったこと。
いい女で色っぽくて気風もよくてオトコマエ(女だけど)。もちろん美人でナイスバディ。
自分の恋人の妹と自分の恋人を殺した男との恋をちゃんと呑みこんでやる懐の深さ。
それなのにあのジェッツの奴らってば!!(怒り再び)

ダンスはキレッキレ、歌声は艶があってのびやか、表情豊かで細かい心情まできちんと表現できて・・・。
和希そらくんって、ほんと、何でもできるのね。

そんなアニータに惚れられるオトコ ベルナルドはこれが宙組デビューの芹香斗亜さん。
これまでのイメージを一新するような、精悍な役。
どちらかといえば童顔で可愛らしいお顔立ちと思うのですが、眼光鋭くあまり笑わないシャークスのリーダーがよくハマって、いや~、キキちゃん、より男らしくカッコよくなっていました。

対するジェッツのリーダー リフは桜木みなとさん。
どちらかといえば甘い二枚目優男系ですが「神々の土地」でも激しい男を演じていた勢いそのままに熱いジェッツのリーダーでした。
ずんちゃんも歌にダンスに、とオールラウンドプレイヤーです。

主役の2人。
真風涼帆さんのトニーは、いかにも育ちのよい好青年といった佇まいで、かつてリフとともにジェッツを率いていた、という雰囲気は薄めでしたが、運命の人に出会って初めての恋に胸ときめかせる輝きはとてもよく出ていました。結構若づくりでした(ほめています)。
滑舌と歌唱はやはり少し弱いかなぁとも感じますが、それを補って余りあるセンターとしての華。
オーソドックスな白いシャツとデニム、サラッとしたシンプルな髪型であんなにカッコイイ男役、他にいないんじゃないかな。

星風まどかさんのマリア。
かわいらしいだけでなく歌をはじめ実力にも定評がある娘役さん。
真風さんと最初に組んだ「ヴァンパイア・サクセション」でのコンビネーションが今イチだったので心配していましたが、ちゃんとお似合いの2人でした。
熱演型で、ガーッと台詞言い始めるといつも同じ感じになってしまうのが課題かな。
今回もマリアにオリガ(神々の土地)がカブッて見えるところがあったり。
それでもラストの「さわらないでっ!」には泣かされました。

しかしながら、「決闘を止めて」とマリアがトニーに言わなければ、あんな悲劇は起こらなかったんじゃない?といつも思います。少なくとも、愛する人が自分の兄を殺してしまう、なんていうことは。

女の子ながらジェッツに入りたくて少年の格好しているエニボディーズ。
誰?と後でプログラム見たら夢白あやさんでした。白羽ゆりさんに少し面差しが似た美人さん。
研1の103期生。「神々の土地」の新人公演ヒロインに続いて大抜擢じゃない?
今年の阪急阪神の初詣ポスターモデルにも選ばれて、星風まどかさんと同じ道を辿っているよう。


「ロミオとジュリエット」のリメイクとしてもとてもよく出来ていると再認識しました。
It all began tonight と Tonight の歌詞にあるように、ここからすべて始まった新しい宙組の「WEST SIDE STORY」。とてもかったです。



image1.jpg

ロビーには歴代のポスターや舞台写真が。


image2 (2).jpg

1968年。初演のポスター。時代を感じますな。
この作品で榛名由梨さんがアクションやったんだよね~。



夏に大阪で観るのが今から楽しみです のごくらく度 (total 1865 vs 1867 )


posted by スキップ at 23:17| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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