
2012年に初演されて今回が4演目。新演出だそうです。
ミュージカル 「ダディ・ロング・レッグズ」
足ながおじさんより
原作: ジーン・ウェブスター
音楽・作詞: ポール・ゴードン
翻訳・訳詞: 今井麻緒子
脚本・演出: ジョン・ケアード
出演: 井上芳雄/ジャーヴィス 坂本真綾/ジルーシャ
2017年12月1日(金) 6:30pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階E列上手
(上演時間 2時間20分/休憩 20分)
前回2014年に観た時に感想はたっぷり書いていて、しかも我ながらよく書けている(自画自賛)ので、こちらを。
その時 会場で買った今井麻緒子さん翻訳の原作の感想も書いています(こちら)。
なので詳しい感想は控えますが、「客席中を優しさと愛で包み込んだミュージカル」と評されていますが、本当にその通り。
何度観ても、あのラストの幸福感には自然と笑顔になります。
新演出については、正直のところ変わったとこがよくわかりませんでした(^^ゞ
感触的には、よりジャーヴィスが人間的になったというか、「ダディ・ロング・レッグズ」でいるより「ジャーヴィス」の素顔を見せる部分がより大きかったかなという印象です。
気難しくて皮肉屋な人物の部分は薄められていて、若くて悩み多きジャーヴィスがより前面に出ていた感じ。
ジャーヴィスの悩み、好奇心、恋する高揚感、ジェラシー、真実を告げることへの怯え、ふり絞る勇気・・・そんなあれこれがよりリアルに感じられてとても愛おしい。
元々「足ながおじさん」はジルーシャの手紙だけで綴られた物語なのでそこに、たとえば書斎で悶々とするジャーヴィスは描かれていなくて、それを2人の物語に再構成してみせたところがこの脚本・演出のすばらしいさであり、ジャーヴィスを演じる井上芳雄さんの存在がその脚本をより際立たせているのですが、それがより強調された演出になっていたのかなとも思います。
井上くんは歌唱がすばらしいのはもちろん、演技もとても繊細。
その名のとおり足が長くて立ち姿も美しい自信に満ちたジャーヴィスが、ジルーシャへの思いと真実を告げることへ怖さからだんだん背中が丸くなって、小さく見えるようになるあたり、可愛い過ぎる。
ジャーヴィスとしてジルーシャに膝をついて「結婚してください」とプロポーズする姿の美しさには相変わらずうっとり。
ジャーヴィスが歌う「チャリティ」の歌詞が変わったかな?と思っていたもののあまり自信がなかったのですが、後で調べたらやっぱりそのようでした。
坂本真綾さんのジルーシャも、もうこの人以外考えられないくらいハマリ役。
知的で可愛くて強くてしなやか。
ジルーシャが大学に入って、「ナイチンゲール」をはじめ、これまで知らなかったことを一つずつ本から学んで、毎日好奇心と驚きに満ちた発見の日々を送るのを観るにつけ、私たちが何気なく過ごしている日々が、毎日の積み重ねが、いかにかけがえなく大切なことかを教えてくれます。
坂本さんは高音のファルセットの部分が少し弱いかなと感じることがありますが、とてものびやかで透明感ある歌声で井上くんの声との親和性もよくて、2人のデュエットはいつまでも聴いていたいくらい耳福です。
この日は兵庫公演の初日(3日間4公演だけど)。
カーテンコールでご挨拶がありました。
真彩 「話すんだな、と思って」
芳雄 「今日はね。明日は話さない・・・明日どうするかは今日の反応で決めようかな」
芳雄 「関西だけに皆さん細かい笑いも拾ってくださって。もう一生ここでやっていたいなぁ~って」
真綾 「ハゲがあんなにウケると思わなかったw」
芳雄 「皆さんやっぱり日常的に使ってらっしゃるんですかね。このハゲ~!とか・・・躊躇なく笑いますよね」
「躊躇なく」とかサラリと出てくるところがいかにも井上くん。
相変わらずトーク冴えています。
にしても、このフライヤーはずっと変えないんですかね? のごくらく地獄度



