2017年09月11日
思ったよりちゃんとミュージカル 「ヤングフランケンシュタイン」
小栗旬くんミュージカル初挑戦。
メル・ブルックス監督、ジーン・ワイルダー主演で1974年に公開された映画「ヤングフランケンシュタイン」がオリジナルで、同じくメル・ブルックスの作詞・作曲・脚本で、2007年にブロードウェイ・ミュージカル化された作品の日本初演。
日本版の演出を手掛ける福田雄一さんには苦手感漂いますが、小栗旬くんの「歌」に興味があって参戦となりました。
ミュージカル 「ヤングフランケンシュタイン」
作詞・作曲: メル・ブルックス
脚本: メル・ブルックス トーマス・ミーハン
演出・上演台本: 福田雄一
振付: 上島雪夫
音楽監督・指揮: 上垣聡
美術: 二村周作
出演: 小栗旬 瀧本美織 ムロツヨシ 賀来賢人
保坂知寿 吉田メタル 宮川浩 瀬奈じゅん ほか
2017年9月10日(日) 1:00pm オリックス劇場 1階16列センター
(上演時間 3時間5分/休憩20分)・・・だけど実際は3時間45分
物語の舞台はトランシルバニア。
マッドサイエンティストのヴィクター・フォン・フランケンシュタイン博士(宮川浩)が亡くなり、彼が生み出したモンスターに襲われた過去を持つケンプ警部(ムロツヨシ)はじめ村人は皆喜んでいましたが、博士には孫息子がいました。
その孫 フレデリック(小栗旬)は、自らをフロンコンスティーンと名乗り、フランケンシュタイン家の末裔であることを隠してニューヨークの大学病院で高名な脳外科医として活躍していました。その彼のもとへ、祖父の遺産を継ぐためにトランシルバニアに来るよう連絡が入ります。婚約者のエリザベス(瀬奈じゅん)にしばしの別れを告げ、訪れたトランシルバニアでは少し変わった風貌のアイゴール(賀来賢人)とセクシーな地元の女の子インガ(瀧本美織)が助手として出迎え、屋敷では古くから勤める家政婦のフラウ・ブリュッハー(保坂知寿)が待っていました。祖父の遺した実験記録を読むうち、自分も同じように実験をしたいという欲望にかられて生み出したモンスター(吉田メタル)は・・・。
映画もブロードウェイ版も観ていませんのでどれくらい原作に忠実なのかどこまでが脚色なのかわかりませんが、「思ったよりちゃんとミュージカル」というのが第一印象。
オープニングで、フランケンシュタイン博士の棺を運ぶ黒衣の人々がパッと外套を脱ぐと色とりどりのカラフルな衣装を着ていて明るく歌い踊るなんて、「ミュージカルじゃん」と思いました。
歌詞はともかく、曲は全てオリジナルが使ってあるのかな。アンサンブルのハーモニーもよく、耳に心地よかったです。
群舞の多いダンスも見応えありました。
オープニングの傘を使ったダンス、「結婚するまでは触れちゃダメ」というエリザベスと手をふれないように少し離れて踊るダンスに周りの人たちも加わって、全てのカップルが手を触れずに踊るソーシャルダンス、小栗旬くんフレデリックが「あいつらダンスは上手い」と後で言ってた亡霊たち?との迫力たっぷりのダンスとか、ラストで小栗旬くんほか男優陣が黒燕尾ピシリと着こなした優雅なダンスとか。
ストーリーは「フランケンシュタイン」をオマージュしつつ、歌とダンスとコメディを盛って、明るいハッピーエンド、みたいな。
フレデリックがモンスターに自分の脳をコピーするシーンでは小栗くん主演の「カッコーの巣の上で」のロボトミー手術が頭をよぎって、悲しいことが起こるのではないか、と不安になったのですが、もちろんそんなことは起きず。
「美女と野獣」や「オペラ座の怪人」など、有名ミュージカルのパロディが少しずつ出てくるのも楽しかったです。
福田さん、ミュージカル好きなのね。
反面、福田演出特有の楽屋落ちネタにはやっぱり苦手感漂います。
ムロツヨシさんや賀来賢人くんの台詞なのかアドリブなのかわからいない数々のギャグや、某議員の「このハゲー!」とか、「また奥さんからテレビ電話入って大阪で悪さしてないかチェックされるよ」とか誰から構わずキスしようとしたフレデリックに「20代の頃の小栗旬みたいだ」といった小栗旬いじりとか。
小栗旬くんといえば、モンスターと閉じ込められるシーンで「デスノートの藤原竜也」のマネをやらされていました。2ポーズも。
これは上手かったし、「竜也くんのこと、あんなふうに見てるんだ」とおもしろかったです。
大千穐楽ということもあってか、まわりのほとんどがリピーターらしく、どこで誰が登場するかわかっている模様だったし、ネタにもゲラゲラ笑っていて完全にアウェイ感。
小栗旬くんはクリクリのパーマヘアにうっすらと口ひげのビジュアル。
登場した瞬間 客席からは「ヒューヒュー」と声が。
「私の名前はフロンコンスティーン。言ってみて」と客席いじったり、一階二階三階と客席にも言わせてました。声が小さいからと2回も。
やはり華のある役者さんでセンターに立つのがお似合い。
相変わらずいい声で口跡もよく、こう言っては失礼ながら歌もダンスも思っていたよりずっとレベル高かったです。
特に歌は、音程は時々あやしかったけれど声はよく出ていて、「歌えるやん」と思いました。
カーテンコールでムロツヨシさんや福田さんに「小栗くんはこれを機に東宝ミュージカルに進出して・・」「2年後にはジャン・バルジャンやると言っています」といじられた時には無反応で前を向いていましたが(笑)。
瀧本美織さんのちょっとお馬鹿でセクシーなインガも体当たりの熱演。
かわいいし、歌も、ファルセットはちょっと苦しそうなところありましたが、概ねグッド。
ヨーデルがすごく上手でびっくり。
「影の主役」と言われているムロツヨシさんは六役?七役かな?
最初の五役は引っ込んでは出てくる、みたいな感じで小栗くんにも「何役目?」とか言われていました。
目の見えない世捨て人?が歌い上げるところ、「ミュージカル界初の吹き替え」だそうで、アンサンブルの高原紳輔さんが歌われているのだとか。
「大阪の千秋楽までには自分で歌えるようになる」と宣言されていたそうですが、「演出家とプロデューサーとオケの指揮者の許可が出なかった」「大阪のお客さんをナメたらあかん。どつかれるで」と言われたそうです。
賀来賢人くんは最初出て来た時、誰かわかりませんでした。
トボけた役まわりも歌も器用にこなして、何でもできる役者さんだな。
宝塚と四季出身の二大女優? 瀬奈じゅんさんと保坂知寿さんは存在感も歌もさすがの貫録です。
瀬奈さんがすっかり下ネタもOKの熟した女優さんになったこと、保坂知寿さんってこんなにおばさん・・もとい、お歳を召したのかと感慨深かったです。だって「オペラ座」のクリスティーヌ観たんだもの。
大千穐楽ということで、カーテンコールに福田雄一さんが登場してアンサンブル16名、メインキャスト8名全員のご挨拶がありました。
吉田メタルさんは舞台のワンシーンでモンスターのカツラが取れちゃう事案発生。
(この前「髑髏城」福田転球さんのカツラ取れ事件にも遭遇したなぁと思ったり)。
福田さんにツッコまれ、「初めての福田組参加で一生忘れられない公演でしたが、死んでも忘れられない公演になりました」とカツラ取ってスキンヘッドの頭を下げていらしゃいました。
皆さん口々に「毎日すごく楽しかった。幸せでした」とおっしゃっていて、アンサンブルのお一人の「今日は行きたくないという日が1日もなかった」という発言を受けて、小栗旬くんが、「最初の2週間位は稽古に行くのがイヤでイヤでたまらなかった」「あれ、ほんとマジでヤバいんじゃない?という空気が溢れてて・・」とおっしゃっていたのが印象的でした。
ミュージカル初挑戦で座長。
プレッシャーも責任感も相当なものだったと思います。
何でもスイスイこなしているたように見える小栗旬くんですが、私は藤原竜也くんが天才型なのに対して小栗旬くんは努力型だと感じています。
苦手な歌もダンスもすごく努力したんだろうな。
客電ついて場内アナウンス流れても鳴りやまぬ拍手に再度登場してくれた小栗旬くんはじめ出演者の皆さん。
やりきった人たちの達成感あふれる笑顔を見るのが好きですし、ナマの舞台の醍醐味のひとつもそこにあるのではないかと思った「ヤングフランケンシュタイン」千穐楽でした。
一幕終了時点で15分押し、カテコ含めて45分押しってどうなん? の地獄度 (toal 1271 vs 1276 )
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