

8月第1週週末の自主公演・勉強会集中シリーズのラストは中村歌昇・種之助ご兄弟の「双蝶会」(これだけ東京だけど)。
今年で3回目ですが、昨年は平日開催で行けませんでしたので、2015年の第1回以来2年ぶりの観劇となりました。
中村吉右衛門監修
第三回 中村歌昇 中村種之助 勉強会 「双蝶会」
2017年8月5日(土) 5:00pm 国立劇場小劇場 2列下手
(上演時間 2時間48分)
一條大蔵譚 奥殿
出演: 中村種之助 中村歌昇 中村米吉 中村蝶十郎 中村蝶紫 中村壱太郎
種之助くんが一條大蔵卿。
鬼次郎に歌昇くん、お京が米吉くん、常盤御前に壱太郎くんという配役です。
種之助くんの大蔵卿は教えられた通りに懸命に丁寧に演じているけれど、初日ということもあってか少しいっぱいいっぱいかなという印象を受けました。
檜垣茶屋の場がなくていきなり奥殿からなので難しい部分もあったかなぁとも思いますが、あまりゆとりがなくて、つくり阿呆のおかしみというか、本当の姿との落差が小さめ。
声はいいし、世を偽って生きてきた人間の悲しみを感じさせることはできていたと思いますので、あとは経験かな。
歌昇くんの鬼次郎はニンにも合っていて本公演でもやれそうです。
というか、「奥殿」って思ってた以上に鬼次郎が中心の場面なんだと感じたのは歌昇くんの力量によるものと思います。
お京の米吉くんは相変わらず声がよく通り、凛とした武家女房の雰囲気もよく出ていました。
常盤御前の壱太郎くんは品よく位が高い感じもよく出ていましたが、何だか鬘がおかしかった(?)←幕間にご一緒した方たちも「最後の方ズレてた」とおっしゃっていました。
脇を固める蝶十郎さんの勘解由、、蝶紫さんの鳴瀬もしっかり。
傾城反魂香 土佐将監閑居の場
出演: 中村歌昇 中村種之助 中村又之助 中村梅乃 中村蝶三郎 中村米吉 ほか
浮世又平・おとく夫婦を歌昇・種之助兄弟が演じます。
又平の歌昇くん 顔じゅうに汗かいての大熱演。
愚直なまでの必死さが歌昇くん自身とも重なって、観ていて胸が熱くなりました。
物見を命じられて花道に座る時、吉右衛門さんや以前浅草で観た勘九郎さんは瞬きすらしないで一点を見つめ続けるのにとても感じ入ったものです。
歌昇くんは最初のうちすぐ瞬きしちゃって「あれ?」と思ったのですが、後半は懸命にこらえている感じで、花横だったので至近距離で観ていたると目に涙がたまっているようにも見えました。
種之助くんのおとくもよかったです。今回は大蔵卿よりこちらを採りたい。
又平のことを本当に思っていて、ともに悲しんでいるのがよく伝わってきました。
死を決意した又平に「最期にこれだけは」と絵を描くようすすめるおとく。
その絵に奇跡が起こった時の二人の驚きと喜び。
二人きりで演じる場面を客席を引き込めるほど見せられたのは大きいと思います。
修理之助の米吉くんはすっきり美男子でいかにもエリートっぽい。
厳しさの中に情もある又之助さんの土佐将監、やさしくて温かい北の方の梅乃さん、きりりとした蝶三郎さんの雅楽之助と、こちらの演目も周りのお弟子さんたちが大活躍でした。
吉右衛門さんに直接指導を受けて、播磨屋さんを代表する二演目に大汗かきながら挑戦した二人。
まだまだ勉強しないといけない部分もたくさんありますが、その心意気やよし。
真摯に学ぶ姿勢、播磨屋の芸を継承していく覚悟も感じられて、この毎年の積み重ねが彼らの血となり肉となっていくことが本当に楽しみです。

開演前や幕間にはたくさんの役者さんをお見かけしました。
日頃 Twitterで交流させていただいている皆さまにもたくさんお目にかかって、勉強会の中では注目度抜群。
その中のお一人が尾上右近くんとお知り合いで幕間にロビーで私たちの輪の中に入ってご挨拶してくださって、「研の會も楽しみにしてます」とお伝えすることもできました。
終演後、タクシー乗場に向かってロビーをダッシュしていてマスク姿のおじさまとぶつかりそうになって、そのマスクマンが吉右衛門さんだったというおまけつきでした。
来年の双蝶会は8月4日・5日 行けるといいな のごくらく地獄度



