2017年06月21日

劇団☆新感線 「髑髏城の七人」 Season 花 千穐楽


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「今日は場あたり」なんていう出演者のツイートもあって、「Season 鳥」の開幕が近づいてきたなぁと感じますが(楽しみだ!)、まずはこちらを。


ONWARD presents
劇団☆新感線 「髑髏城の七人」 Season 花 Produced by TBS 
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
美術: 堀尾幸男   照明: 原田保 
衣装: 竹田団吾   音楽: 岡崎司 
殺陣指導: 田尻茂一  川原正嗣 
アクション監督:  川原正嗣 
映像: 上田大樹 
出演: 小栗旬  山本耕史  成河  りょう  青木崇高  清野菜名  
     近藤芳正  古田新太  河野まさと  逆木圭一郎  
     村木よし子  礒野慎吾  吉田メタル  保坂エマ ほか

2017年6月12日(月)千穐楽 2:00pm IHIステージアラウンド東京 12列下手
(上演時間 3時間35分)


1回目(4/8)の感想はこちら
ライブビューイング(5/15)の感想はこちら
千穐楽(6/12)カーテンコールレポはこちら


間にライブビューイングを挟んではいるものの、ナマの舞台を観たのは4月8日以来なのでほぼ2ヵ月ぶり。
役者さん個々の力量も、舞台そのものの熱量もとても進化し高揚していて、やはり舞台はナマモノ。
千穐楽らしいお遊びやアドリブはほとんどなかった印象ですが(河野さん三五がちょっと遊び入れてたかな)、気迫に満ちた中にも、それが空回りすることなく自然体で、とてもよい千穐楽でした。

古田贋鉄斎の登場(もちろん退場も)で拍手が起こっていました。
これは4月8日に観た時にはなかったことです。
クライマックス近くでは・・たとえば兄さのシーンとか・・いろんな場面で拍手起こっていましたが、登場で、というのは古田さんだけでした。流石の存在感ですな。


今回の座席は12列で、下手だったので少し観にくいところはあったものの、全体を見渡せつつあまり遠すぎず、この舞台を観るのはこのあたりの列がベストポジションではないかと思いました。
5列目前後で観た友人知人がこぞって口にしていた「殺陣で足元見えない」といった不満も皆無。

捨之介や沙霧、兵庫たちが荒野からだんだん近づいて無界屋に行くところとか、前回気づかなかったスクリーンの映像と舞台とのマッピング効果も実感しました。
前回(22列)より10列前ということもあってか、目が慣れたのか、「舞台の間口が小さい」こともあまり気になりませんでした。
あと、客席が回転している、というのも前回より結構実感しました。

回転といえば、本編終了後の役者紹介場面集はやはり何度観てもすばらしい。
髑髏城、贋鉄斎の鍛冶場、白い彼岸花畑、無界の里・・・スクロール映像のように次々現れる場面とそこに佇む役者さんたち。
映像作品と違って舞台でこんなことができるのはこの劇場だけです。
いのうえさん、もしかしてこれやりたかったからこのプロジェクト引き受けたんじゃない?と思ったくらい。
そういえば、古田贋鉄斎、千穐楽ではここで水吹きやっていませんでした。
ライビュの時まではやっていたように思ったのですが。


内容についての感想は前2回でほぼ書いちゃったので、少しだけ補足。

4月に観た時より役者さん皆、よりすばらしくなっていましたが、中でもりょうさん。
初日から間もない前回は蘭兵衛への思慕がより前面に出た極楽太夫という印象だったのですが、オトコマエ度がかなりアップしていました。
雑賀衆の生き残りとしての挟持。
狸穴二郎衛門こと家康を殴る時。「ケッ!」と吐き捨てるようにいう時。
蘭兵衛への思いも、恋情というより、ともに無界の里をつくり上げてきたという”同士”感の方がより強い感じ。
もちろんその陰には二人にしかわからない心の通じ合いもあって、だからこそ、蘭兵衛の

「所詮外道だ。来い!太夫」

という最期の言葉が、声が、あの切ない笑顔が、とてつもなく壮絶に胸に迫るのだと思います。

それにつけても、蘭兵衛の心は夢見酒を飲む前から決まっていたのだと観れば観るほど思わないではいられません。
「俺を信じろ」「信じて待っていろ」と捨之介は言ったけれど。
その思いは十分過ぎるほどわかっていた蘭兵衛だけど。

山本耕史さんの殺陣は最初に観た時から「武士の」殺陣で完成されていましたが、さらにキレとスピードを増していました。
ちゃんと「人を殺す殺陣」で、無界屋襲撃の時、斬るたびに血で汚れた刀を袖で拭うのも、殿のお小姓で大切な刀の扱い方が体に刷り込まれている感じ(贋鉄斎の教えとも合致します)。

殺陣といえば前回は贋鉄斎にしか目が行かなかった百人斬りも、ローラーブレードが安定したおかげで(?)捨之介をきちんと目で追うことができました。
小栗旬くん、重心低く迫力たっぷり。脚が長いせいもあってか以前は腰高の印象だったので、やはり相当練習を重ねたのだと思います。


捨之介と天魔王を二人に分けることによって・・・これについては私は断然一人二役派で譲れないところではありますが・・・前半はどちらかといえば主役という存在感は小さ目に感じられる捨之介・・というか小栗旬くん。
この劣勢を一気に巻き返す二幕の気迫と度量はお見事でした。

二人に分けた、で言えば、たとえば沙霧が髑髏城で天魔王の鎧を着た人物を捨之介と見破る場面。
2011年版で二人に分けると最初に聞いた時、「あの場面どうするの?」の思ったくらいです。
あれ、「女にはわかるものよ」という太夫の台詞ひと言で片付けるってどーなの、と今でも思いますが。


と、いろいろ言いたいことはありつつ「髑髏城」はやっぱりおもしろいし大好きな作品。
千穐楽カーテンコールを観ていても、とてもよいカンパニーだったと感じられる舞台でした。



もう決まってるんだから月もキャストと日程さっさと発表せーや! のごくらく地獄度 (total 1234 vs 1241 )



posted by スキップ at 23:46| Comment(4) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは、素晴らしい感想に感動してます。
蘭兵衛のスピードUPに共感してもらえたのがウレシイ!!さあ、もうすぐ鳥も始まりますよ!!!
Posted by ケンボウ at 2017年06月25日 00:15
♪ケンボウさま

いえいえ、とんでもないです。
でも、蘭兵衛はじめみんなグンとすばらしくなっていました。

>さあ、もうすぐ鳥も始まりますよ!!!

ほんとに。
あっという間にSeason 鳥 開幕ですね。
楽しみです!
Posted by スキップ at 2017年06月25日 18:24
こんにちは。
花の千秋楽がつい昨日の事のようなのですが、もう鳥開幕ですね。

千秋楽、丁重に皆さん演じられてて、まさに85ステージの集大成。
凄く良い舞台でした。
カーテンコールでは涙ぐんでいる役者さんもいらっしゃいました。

捨之介の「俺を信じろ」の台詞に胸が痛くなり、
蘭兵衛の最期の壮絶さに鳥肌が立ち…。

そうそう!極楽太夫の啖呵の切り方、格好良くなりましたよね。
ライブピューイングの時の舞台も完成度高かったのですが、
5月後半からまた色々変化があって、何度でも見たくなる舞台でした。

でも二幕の天魔王の鎧を着らせれた捨之介を、沙霧だけが判る場面、
私もどうにかならないかと、毎回突っ込んでました。
ちょっと冗長なのですよね…。

いよいよ明日かせ鳥髑髏。
夏場の長丁場、アクシデント無く良い公演が続く事を、祈るばかりです。
Posted by 花梨 at 2017年06月26日 23:18
♪花梨さま

花 終わってしまいましたね~。
そして鳥は始まりましたね。

Season 花の千穐楽は本当によい舞台でしたね。
役者さんたちの表情もやり終えた安堵というばかりでなく
達成感、満足感が満ち溢れているようでした。

蘭兵衛と天魔王、捨之介と蘭兵衛、捨之介と天魔王の
関係性に踏み込まれた花梨さんの深い洞察を読ませて
いただいて、まだまだ花が観たいと思っていた私ですが、
次のバトンは鳥に託したいと思います。
Posted by スキップ at 2017年06月27日 23:43
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