2017年05月17日
祝 美弥るりか単独初主演 月組「瑠璃色の刻」
月組二番手にして研15 美弥るりかさん。
満を持しての外箱単独主演です。
宝塚歌劇 月組公演
ミュージカル 「瑠璃色の刻」
作・演出: 原田諒
出演: 美弥るりか 月城かなと 海乃美月 光月るう 夏月都 宇月颯 白雪さち花 輝月ゆうま ほか
2017年5月4日(木) 12:00pm シアター・ドラマシティ 21列下手
物語: 18世紀ヨーロッパで不老不死と言われ、錬金術師、予言者や魔術師として数々の伝説を残した謎の人物サン・ジェルマン伯爵。
彼の邸にお宝を探して忍び込んだ旅芸人のシモン(美弥るりか)とジャック(月城かなと)が、シモンがサン・ジェルマンに瓜二つだったことからサン・ジェルマンと彼の従者 テオドールになりすまし、ルイ十六世統治下の宮廷に出入りするようになります。やがて、虚飾の生活ではなく自分が本当に生きる道を模索しようとするジャックと、サン・ジェルマンであり続けようとするシモンは袂を分かち・・・。
「サン・ジェルマン伯爵」という名前とポスターから受けるイメージとは違った印象の舞台でした。
サン・ジェルマン伯爵に題材はとっているものの、主題はシモンとジャックの友情と成長物語かな。
ポイントは、宮廷で知ったネッケル罷免や民衆鎮圧の事実をロベスピエール(宇月颯)に伝えるものの、サン・ジェルマンの正体だけは明かさなかったジャックと、誰がそのことを民衆たちに漏らしたのか暴いてもらおうと貴族たちに迫られたサン・ジェルマンことシモンが、自分の立場が危うくなるのがわかっていながら「わからない」と答えてジャックの名前を口にしなかったところでしょうか。
互いに相手のいないところでそれぞれを思いやる2人。
あくまでも「自分はサン・ジェルマンとして生きる」「サン・ジェルマンとして処刑される」と信念を曲げないシモンが、ジャックの「俺の前にいるのはただの旅役者だ」というひと言であっさりシモンに戻ってしまうラストはいささか拍子抜けです。
ここはやはり、シモンはジャックの友情を胸にサン・ジェルマンを貫いて死ぬべきでは?(暴言)
サン・ジェルマンは不老不死の人だから(彼・・といってもシモンだけど・・の言葉にもカエサルやクレオパトラが出てくるくらい)時代設定はいつにすることも可能だったと思うのですが、原田先生が選んだのはフランス革命。
ルイ十六世 マリー・アントワネット ネッケル ロベスピエール ポリニャック・・・とくどくど説明しなくても人間関係や背景はわかりますし、ロベスピエール中心の革命シーンにはやはり滾るものがあります(既視感アリアリだけれども)。
とはいえ、特に宝塚ファンには旧知とも言えるフランス革命を選ぶからには、展開にそれなりのオリジナリティも欲しかったところです。
たとえば、革命が起こり捉えられる寸前のアントワネットがサン・ジェルマンに賢者の石で未来を占うよう求めた時、サン・ジェルマンは「国王様、王妃様、お子様がたの安寧は守られます」という嘘をつく場面。
これは、雪組の「ルパン三世」(2015年 小柳奈穂子 脚本・演出)を思い起こさせますが、あの作品では史実は別として、ルパンの「嘘」をその後、鮮やかに回収したのに対して、こちらは嘘をつきっぱなしという・・・まぁ、サン・ジェルマンことシモンは未来から来た人物ではないので、わかっていて嘘をついた訳ではないとも言えますが。
ただ、この場面は、マリー・アントワネット役の白雪さち花さんの名演でとてもよい場面となりました。
サン・ジェルマンが去った後、その正体を明かそうとするアデマール(海乃美月)を制して、「いいの、あの人が誰だってかまわない」というアントワネット。気づいてたのね~(涙)。
この後のソロナンバー含めて、白雪さんすばらしかったです。
最初に登場した時の髪型がまさしくアントワネットで目を引かれたのですが、それ以降も凛として品のある佇まいや孤独の影、自分が見る悪夢の意味もすべて理解している大きさも感じる王妃アントワネットでした。
美弥るりかさんはビジュアルよし歌よしダンスよしで堂々のセンター。
サン・ジェルマンに扮した時の妖しい雰囲気もよくハマっていて、シモンとの演じ分けも鮮やか。
元々大人っぽい月城かなとさんは、美弥さんとの学年差を感じさせず、ちゃんと「相棒」になっていました。
美弥さんの柔に対して剛というのもよくマッチしていて、コンビネーションもよかったです。
月城さんは若さの割に男役として完成している感じで、一度ガツンと壁にぶち当たるかなとくんも観てみたいです。
宇月颯さんのロベスピエールは、眼光鋭い眼差し、キレのあるダンス、熱く迫力ある歌声。
フィナーレの男役ダンスでもセンター踊ってひたすらカッコいい。
サン・ジェルマンの年老いた従者 テオドールも宇月さんだったと終演後にプログラム見て知りました。
いかにもルイ十六世といった話し方の光月るうさん、歌も存在感も大きなネッケル 輝月ゆうまさん、訛りが可愛い旅芸人フィリッポの夢奈瑠音さん、革命家の中にイケメンがいる~と目を引いた蓮つかささん、と男役さんたちが活躍する中、 ヒロインはアデマールということになるのですが、アントワネットが素晴らしすぎてちょっと割を食っちゃったかなぁ、な海乃美月さん。シモンとのラブラブ感もあまりなくてしどころがない感じ。宮廷で踊るダンスシーンはステキでした。
舞台いっぱいに設えられた大きな螺旋階段がぐるりと回る舞台装置(美術:松井るみ)もとても印象的。
いや~、それにしてもかなりチケ難だった舞台。
美弥るりかさん、人気ありますね。
改めて、単独主演 おめでとうございます。
瑠璃色キューピー また隣の列の人が当たったんだけど どゆこと? の地獄度 (total 1214 vs 1219 )
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