2017年05月14日

マティスとルオー -友情50年の物語-


mr.jpg美術にそれほど詳しい訳ではありませんが私はマティスの絵が好き。

以前ニューヨークに行った時、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のミュージアムショップでマティスの絵のポスターを買って、「日本まで持って帰るから固い筒に入れてください」とお願いしたら、「君みたいな小さな女の子がこれを一人で日本まで持って帰るのか?」と心配されたという思い出もあります(十分おとなだったけどね💦)。



こちらがその時買ったマティスの「The Red Studio」
1911年の作品。
今も私の部屋の壁に飾ってあります。
下の部分には、Henri Mattise The Museum of Modern Art, New York と入っています。
反射しちゃうのでナナメ撮り。

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2006年、マティスと同じ時代に活躍したルオーとの手紙のやり取りが発見されました。
それは二人の師 キュスターヴ・モローが死去して、お互い独立して画業を始めた1906年からスタートして、マティスが亡くなる前年の1953年まで、47年間にわたって続いたものだそうです。
そんな往復書簡を中心に、半世紀にわたる二人の厚き友情と芸術の軌跡を紹介した展覧会。


マティスとルオー  -友情50年の物語-
あべのハルカス美術館
2017年5月13日(土)



ともに、20世紀を代表するフランスの芸術家であるマティスとルオーが出会ったのは、エコール・デ・ボザール(パリ国立美術学校)で、共にギュスターヴ・モローの下で学んだ時代です。
そこから巣立ち、それぞれ作風もアーティストとしても別の道を歩んだ2人ですが、終始お互いを敬愛し変わらぬ友情で結ばれていたようです。


展覧会は4つのパートから構成されていて、

第1章 国立美術学校からサロン・ドートンヌへ (1892年~1913年)
第2章 パリ・ニース・ニューヨーク (1914年~1944年)
第3章 出版人テリアードと占領期 
第4章 「ジャズ」と「聖顔」 (1945年~1956年)

それぞれの時代の2人の作品や画集、そして直筆の手紙が展示されています。

「マティスだし、帰り道の美術館だし、ちょっと寄ってみよう」くらいの気持ちだったのですが、思いのほか見応えがあって、予定外に長時間滞在してしまいました。
マティスの絵画や「ジャズ」シリーズの切り紙絵などはこれまでにも(実物ではなくても)見たことのある作品が多かったのですが、ルオーの作品は初めて見るものが多く、キリストの顔を何枚も描いた作品や、15年かけてようやく出版までこぎつけた詩画集「気晴らし」の原画15枚など、とても興味深く拝見しました。

マティスの作品で言えば、1937年に創刊された「世界で一番美しい雑誌」と言われる美術誌「Verve」(ヴェルヴ)のマティス自身によるオリジナルリトグラフの表紙が見られたのもうれしかったです。


展覧会の情報交換したり互いの作品を讃え合ったり、体調を気遣ったり、2人の手紙のやり取りにもとても温かいものが流れているようでした。
第二次大戦中、ナチスに子供を捕虜に取られ、手持ちの作品も強奪されて油絵を描く油も手に入らないほど生に困窮していたルオーに、マティスが「リヨンで亜麻仁油を買ってきてもらったから2本送るよ」と元気づけた手紙もあったり。

1953年 ルオーが病床にあったマティスを見舞い、その後互いに送り合った書簡からは、ルオーはマティスの体力を気遣い、当初15分程で面会を切り上げる予定だったが、マティスが引き止めて面会が1時間ほどに延びたこと、二人が美術学校時代の昔話に花を咲かせたことなどが書かれていて、微笑ましい。
この半年後にマティスが亡くなったことを思うとこれが最期の邂逅になることを互いに予感していたのかもしれません。

手紙といえば、展示されている中に「ピエール・マティス」からルオーに宛てた手紙があって、「マティスはアンリのはずだけどセカンドネーム使ってるのか?」と思ったら、ピエールはマティスの次男で画商をやっていて2人の書簡のやり取りにも入るようになったのだそうです。



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美術館の前にはポスターにも掲載されているマティスの「鏡の前の青いドレス」の顔ハメが。
東京ではアトリエで作業中のルオー晩年の写真と一緒に記念写真を撮れるコーナーがあったらしいのですが、顔ハメっていかにも大阪な・・・(笑)。



時間切れで後ろ髪ひかれながら退出。もっとゆとりを持って行けばよかったな のごくらく地獄度 (total 1213 vs 1217 )


posted by スキップ at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | エンタメ et. al | 更新情報をチェックする
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