2017年01月13日

コメディのちサスペンス 「一人二役」


hitorifutayaku.jpgこの作品は当初観る予定には入っていなかったのですが、ご縁があってチケットを手配していただけることに。

大地真央さんの舞台を観るのは、2010年の「ガブリエル・シャネル」以来、何と6年ぶりでした。


「一人二役 ~殺したいほどジュテーム~」
作: ロベール・トマ 「DOUBLE JEU」
上演台本・演出: 福島三郎
出演: 大地真央  益岡徹  森公美子  山崎一  
おかやまはじめ  木津誠之  権藤昌弘

2016年12月10日(土) 4:00pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 
1階2列センター



物語: 叔父の莫大な遺産を相続し、パリ郊外の豪邸に住むフランソワーズ(大地真央)はリシャール(益岡徹)と結婚しましたが、彼はフランソワーズの財産目当ての乱暴な放蕩者であることがわかり、離婚を考え始めていました。そんなある日、家政婦ルイーズ(森公美子)の恋人がリシャールの代わりに投獄された彼の弟ミシェルだということがわかります。フランソワーズは、夫の留守中に弁護士サルトーニ(山崎一)の目の前でミシェルにリシャールを演じさせ、離婚の手続きをしようとしますが、臆病者のミシェルはヘマばかりしてしまいます。そこへリシャールが予定を早めて帰って来て・・・。


全く予備知識なしで観ましたので、よくありがちなドタバタコメディだと思っていました。
このフライヤーから受ける印象もそうだし・・・って、「サスペンス・コメディ」と書いてあるのを完全に見落としていました。先入観おそるべし。
実際、一幕は予想通りのドタバタが展開されて、それはそれで楽しかったし、声をあげてよく笑ったりもしました。

それが二幕になると雰囲気が一変。
リシャールたちの企みが次々と明らかになり、サスペンスというか、フランソワーズがどんどん追い詰められて、これ、フランソワーズが可哀想なパターンじゃない、とちょっとシリアスに沈んだ気分になっていたところへ、胸のすくようなどんでん返し。
いかにも世間知らずのお嬢様育ちという風情のフランソワーズが最後に見せるカッコよさ。

いや~、ヤラレました。おもしろかったです。


後で公式HP見たら、作者のロベール・トマさんは「フランスのヒッチコック」と称されているとか。なるほどね~。

物語は終始フランソワーズの住む豪邸のリビングで展開します。
この部屋のインテリアや電話などの小道具がパステルトーン。
そこに現れるフランソワーズは金髪の巻髪。
衣装はAラインの裾がふわふわ揺れるワンピースやスカート。
全体的におしゃれで可愛らしさ全開。メルヘンチックな雰囲気です。

それにしても大地真央さんの美しさはどうでしょう。
登場しただけで舞台がパッと華やいで明るくなるのはもちろんのこと、スタイル抜群、どの衣装もとても素敵に着こなしていらして、金髪のウィッグもよく似合って、まるでマネキンのよう。
真央さんのどこか浮世離れした雰囲気と、いかにも鷹揚なお嬢様といったフランソワーズがイメージぴったり。
宝塚時代からコメディエンヌとしても定評がありましたので、前半のドタバタお芝居もお手のものです。

それが、あのラスト。
実はインターポールの敏腕刑事だったフランソワーズ。
リシャールたちが逮捕され誰もいなくなった部屋で、かぶっていた金髪のカツラをサッと脱ぎ捨てて暖炉に投げ込み、ショートヘアで一人歌うフランソワーズのカッコよさってば!

私もすっかり騙されたワ、な二役(?)の益岡さん、忠実なメイドと思いきや・・な森公美子さん、飄々とした中に怜悧な雰囲気も漂わせる山崎さん。
周りもしっかり。

こういう作品を観ると、自分の好みだけでを優先するのではなく、いろんなものを観るチャンスをいただけるのはありがたいなと思います。
そうそう、原作者を検索していて、この作品は2010年に橋本さとしさん・中越典子さん主演で舞台化された「W」だと知りました。
あの舞台観ていなくて、あらすじとかも全く知らなくて正解でしたね(笑)。



大地真央さんが体調崩されていて喉の調子が万全でなかったのだけがザンネン のごくらく地獄度 (total 1691 vs 1694 )


posted by スキップ at 23:48| Comment(4) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スキップさん♪

なんか「W」に似た話だなぁ、と思って読み始めたら、やっぱり(笑)。
私は、中越さんと橋本さとし版を観たのですが、全く期待しないで観ました。
その時は当日「なんでチケット取ったっけ」と思うぐらいだったのですが
私も気持ちよく騙されて、面白かったなぁという記憶があります。
それで気をよくして「8人の女たち」に行って、そちらはイマイチだった
という残念なオマケもありますが(笑)。
こういう「思いもよらず面白かった」作品はお得感がたまりませんね。



Posted by みんみん at 2017年01月14日 21:08
最初、記事を読んでて、あれ?なんか昔、橋本さとしさんで見たような感じやなぁ~って思ってたら!!!
それやったんですね~((´∀`*))
今回のは見てないんですが、たまに先入観とか無しで見るのも良い発見出来てイイですね。
Posted by きばりん at 2017年01月15日 13:34
♪みんみんさま

知り合いに誘っていただいた観劇でしたので、いつも以上に(笑)
全く予習や予備知識なしというのが幸いしたようです。

あとで「W」のことがわかって、そういえばそんな舞台あったな、と。
これも、自分が観ていない舞台は映像も観ないし劇評や他の人の
感想も全く読まないということが奏功したということころでしょうか。

いかにも商業演劇っぽい作品だとばかり思っていましたので
おっしゃる通り「お得感」ありましたし、何ごとも先入観は
いかんなと反省もしました。
Posted by スキップ at 2017年01月15日 20:43
♪きばりんさま

きばりんさんも「W」ご覧になったのですね。
「とてもインターポールの敏腕刑事には見えない」とか劇評で
書かれていた中越さんはともかく(笑)、さとしさんは
胡散臭いリシャール、いかにも似合いそうです。

ほんとに今回は大発見でした。
近頃は自分が観たい作品の傾向がある程度固まってきた
ようでもあり、もっと柔軟性を持たないと、と思った次第です。
Posted by スキップ at 2017年01月15日 20:48
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