2016年12月19日

極上のクリスマスプレゼント 「市川染五郎ディナー&ショー」


somedinner.jpg市川染五郎さんのディナーショーはこれまでにも何度か拝見したことがありますが、大阪で開催されるのは、私が染五郎さんを意識するようになってから初めてなのではないかと思います。
「えっ!大阪でっ♪」とテンションあがり、堂島の全日空ホテルは昔からお料理おいしいことでも知られていますし、クリスマスシーズンでもあることから、自分へのクリスマスプレゼントとばかりに迷わず参加することにしました。


市川染五郎 ディナー&ショー
2016年12月14日(水) 5:40pm
ANAクラウンプラザホテル大阪 「万葉」 3-C


予定では
17:40-18:50 ディナー
19:00-20:00 ショー

ということでしたが、私が17:15頃 会場に着いた時にはすでに皆さん着席してディナーは始まっていました。
ショーはほぼ定刻どおりに始まって、20:30位まで染五郎さん熱演。
観客は300人弱といったところでしょうか。広い万葉の間がテーブルで埋め尽くされていました。


ショーの構成としてはこれまでとほぼ同じで

・素踊り
・ご挨拶
・小道具(扇・手ぬぐい・面)を使って説明しながらの踊り
・鼓演奏
・大向うの練習と本番
・質問コーナー(質問者のところまで染五郎さんがマイクを持っていく)
・プレゼント(手ぬぐい)抽選
・今後の予定発表とご挨拶
・素踊り「石橋」

という流れです。

ステージの両側に大きなスクリーン。
ここに阿弖流為や弁慶や鏡獅子の弥生や・・と染五郎さんのいろんなお役がフラッシュ映写されて、いや~、この映像ほしいワ、と見とれているうちに染五郎さん登場。
薄い銀鼠の着物に水柿っぽい色の袴といういでたちでまずは正座して綺麗なお辞儀をして「市川染五郎でございます」と名乗ってからひと踊り。

11月末に「渋谷金王丸」を観た時は、喉もかなりキツそうでしたが、この日はすっかりいつもの染ちゃんの声。
お口も滑らかでした。

まずは、「最近テレビに出まして・・」と高麗屋三代襲名を染五郎さんの口から直々に報告されました。
「襲名披露は大阪にも参りますので、よろしくお願いいたします」と。


IMG_0324.jpg*大阪

大阪ということを意識してか「私は大阪が大好きでございます」と松竹座や中座の思い出も語ってくれました。
大阪に来るといつもすることがあって、
・焼肉を食べる
・NGKで吉本新喜劇を観る

高麗屋は「肉好きの家系」で東京でも焼肉はよく召し上がるそうですが、大阪で初めて焼肉を食べた時に、「こんなに美味しくてこんなに安いのか」と驚いて、それから東京で焼肉を食べる回数が減ったのだとか。
以前、中座に出ていた時、昼夜の間に新世界に焼肉を食べに行って、新聞紙に穴を開けてかぶり、上着はゴミ袋に入れておくような店だったそうですが、全身に臭いを充満させて、夜の部「男女道成寺」でその臭いを撒き散らし、共演の孝太郎さんに「いい加減にしてくれ」と怒られたのを今でも反省してるそうです(笑)。


*扇・手ぬぐい・面・鼓

二枚扇の鮮やかさ
扇をを煙管に見立てた江戸前の粋な仕草
手ぬぐいが女性の頬かむりになったり杖になったり
手ぬぐいには二つの紋(四つ花菱と三つ銀杏)が染められていてそのご説明もしてくださいました。

面は、ラスベガス公演の時につくったというマイケル・ジャクソンとマドンナ((・でもマリリン・モンロー似)で男女の踊り分け。
あのムーンウォークやモンローの時は「七年目の浮気」で地下鉄通風口からの風でスカートめくれるシーンもあって、後見さんが袴の裾から扇を扇いでパタパタさせていました。

鼓の演奏では、調緒を締めたり緩めたりすることによって出る音の違いや、そのタイミングがズレると綺麗な音が出ないところなどを実際にやってみせてから演奏。
染五郎さんの鼓は打つ姿含めて何度聴いても素敵です。
高麗屋さんで祖父→父→自分へと受け継がれた鼓は今は倅(金太郎くん)が受けついでお稽古に通っているそうです。金太郎くんが染五郎さんになったころ、鼓が聴けるでしょうか。


*大向う

大向うは、「高麗屋」「染高麗」「豆高麗」の中から「染高麗」を会場みんなで。
会場を前後二つに分けて練習した後、本番は、染五郎さんが何と、このディナーショーのフライヤーに書いてあるリードを歌舞伎調で読んで、それに大向うをかけるというものでした。

「歌舞伎はもとより、テレビ・映画と多方面で活躍中の七代目市川染五郎。
 踊り、喋り、演奏し、歌舞伎の裏側や仕掛けをお見せするエンタテイメントショー。
 そして・・・あなたのお席まで参ります」

ちゃんと歌舞伎調になっていてスゴイ。
七代目市川染五郎 の後と、お席まで参ります~の後に大向うかけました。

「これ、自分で読むの少し恥ずかしい」と言いながら、ご自身の結婚式の時、司会を本業ではない方にお願いしていたので、「新郎は何歳で初舞台を踏み、・・・というご活躍を・・」なんていう自分の紹介文を自分でつくらなければならず、なかなか気恥ずかしい思いをしましたが、「これが結構楽しいんですよ」と。(自分好きか!)


*犬&氷艶

今後の予定発表では、まず来年2月の中村屋さんの七緒八くん、哲之くんの初舞台「桃太郎」について。
勘九郎さん、七之助さんが初舞台で同じく「桃太郎」をやった時、染五郎さんのお父様の幸四郎さんが犬の役をやり、勘三郎さんの初舞台の時はお祖父様の白鸚さんが犬の役。
「もうこれは僕でしょう」と、自分から松竹に「犬は私でなくていいんですか?」とおっしゃったそうです。
笑いにもって行っていましたが、中村屋さんのお子さんたちの初舞台を一緒にお祝いしようという温かい心が垣間見えるようでした。

もう一つは歌舞伎オンアイス「氷艶」。
「高橋大輔くんや荒川静香さんや、あと誰が発表になっていましたっけ?」と会場に確認しながら。
まだまだ出演者はたくさんいるそうです。

歌舞伎界で染五郎さん以外にただ一人発表されている市川笑也さんについて。
「笑也さんは学生時代アイスホッケー部(!)。歌舞伎オンアイスをいつかやる時は笑也さんがお姫様でスーッと滑るのを絶対やりたいと思ってたからすぐオファーしました」と自ら歌舞伎のお姫様ポーズしながらおっしゃっていました。
-染ちゃんもアイスホッケーやってたじゃんねぇ、「プライド」で(笑)。


質問コーナーで印象に残った質疑:

・染五郎の名前のあいだにやっておきたいことは?
「う~ん、何でしょうね、何がいいですね」と散々悩む。
「今日コンビニ行ったんですけど、堅あげポテト アボカドわさび味なんてあるんですね。初めて知りました。染五郎の間に堅あげポテト制覇してお腹いっぱいになりたいです」

・勧進帳の弁慶をやるにあたって思うことは?
「弁慶は受けの芝居だと思いました。
 ガンガン攻めていく方と思いがちですが、自分から発言するのは最初の名乗りだけで後はずっと富樫の問いに応える形。応える時には目一杯いくけれども受けるのが基本です」

・幸四郎さんを襲名されると紋も変わるのですか?
「今の紋(三つ銀杏)は染五郎の紋なので、幸四郎になれば紋は変わります」

・染五郎さんの色っぽさはどうやって?という男性からの質問
「まぁ、女方の踊りをやったりすることもありますし・・・」といろいろ言いつつ、
「私だからですかね」

 結論そこ?w

・高知で金太郎くんと初めて踊った連獅子について。
「私が初めて連獅子を踊ったのは12歳でしたので、金太郎には11歳で踊らせたかった」そうです。
「本興行で踊る準備はできたぞ、という宣言です」と。
「連獅子は皆さんどうしても仔獅子の方にばかり注目されるので、ライバルというより敵と思ってやりました。キッと睨んだり」

 負けずギライw

・新感線とのコラボについて:
「新感線とは4本 お芝居をやりまして、歌舞伎NEXTも一緒にやりました。
 『じゃあ次はこんなのがいいんじゃないの』『やっぱりあれやりたい』・・・といろいろ話してます。
 染五郎は来年限りですが、染五郎でこれまでやってきたことが終わる訳ではありませんので」

 わぉ!歌舞伎NEXTはともかく、もう完結なのかな、と思った新感染。期待していいみたい(((o(*゚▽゚*)o)))


そして最後は「石橋」の素踊りでキリリと締めてくださいました。
私は染五郎さんの踊る「石橋」が大好き。
あのダンッと所作板を踏み鳴らす音を間近で聴けただけでも感涙モノでした。

お料理もワインもおいしかったし
トークはとびきり楽しかったし
鼓打ってくれたしみんなで大向うかけたし
さらに石橋で締めるとか
どんだけオレ得な極上のクリスマスブレゼントだったのでしょう。



付録: こちらがこの日のメニュー
    メニュー表はかっちょいい染五郎さんの写真入りで、一粒で二度おいしい的なw

トマトのババロア仕立て シェリー酒風味
アトランティックサーモンと帆立貝のカルパッチョ サラダ仕立て
 オレンジとレモンのヴィンテージバージンオリーブオイル
手長海老とアスパラガスのロースト コラーゲンたっぷり山海の珍味のロワイヤル
 ビスクのスープ仕立て
北海道産牛フィレ肉のグリル 彩り野菜のブーケとポテトグラタン
 茸とマスタードソース
ホワイトチョコレートと苺のソース添


IMG_9482.jpg IMG_2875.jpg
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お腹も心もいっぱいになりました のごくらく度 (total 1675 vs 1680 )


posted by スキップ at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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