2016年12月14日
20年の時空を超えて 「エリザベート スペシャル・ガラ・コンサート」 モニュメントバージョン
ミュージカル「エリザベート」が宝塚歌劇で初演(=日本初演)されて20周年のメモリアルイヤーに贈られるガラ・コンサート。
「あれ?2年くらい前にもガラ・コンサートあったけど、あれは何の記念だったの?」と自分のブログ検索してみたら、「ウィーン初演から20周年のメモリアルイヤー」でした。
しかも2年前じゃなくて、4年前だし。
2012年12月 「エリザベート スペシャル・ガラ・コンサート」の感想はこちら
1996年初演の雪組メンバーが集う「モニュメントバージョン」
出演者が衣装を着けて演じる「フルコスチュームバージョン」
各組各世代の出演者が様々な組み合わせで歌う「アニヴァーサリーバージョン」
の3バージョン展開です。
まずはコレはハズせないでしょう、というモニュメントバージョンから。
三井住友VISAカードpresents
「エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート」
モニュメントバージョン
脚本・歌詞: ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲: シルヴェスター・リーヴァイ
構成・演出・訳詞: 小池修一郎
演出: 中村一徳
指揮: 佐々田愛一郎
出演: 一路真輝 花總まり 高嶺ふぶき 香寿たつき 安蘭けい 朱未知留
古代みず希/京三紗 飛鳥裕 五峰亜季 美穂桂子/轟悠(ビデオ出演) ほか
2016年12月10日(土) 12:30pm 梅田芸術劇場メインホール 1階9列下手
ACT1: 初演メンバーが、当時の映像を交えながら思い出を語る「プレミアムトーク」
ACT2: 「エリザベート」の名曲を抜粋し歌い継ぐ「スペシャルライブ」
の二部構成でした。
トークの司会は久路あかりさん。
メンバー中最下級生ということでしたが、萎縮することなく、でも丁寧で品よく、とてもお上手な進行でした。
最初に、京三紗さん・飛鳥裕さん・五峰亜季さん・美穂圭子さんという現役の歌劇団生4名とOGの古代みず希さん・朱未知留さんの6人が登場。
初演の雪組「エリザベート」を観たワタクシですが、このあたりの出演者については全く覚えていませんでした(汗)。
古代みず希さん(初演のマックスパパ)が、今でも男役の雰囲気を残していらっしゃるのですが、「12年間カリフォルニアに住んでいて幼稚園児と歌ったりするだけだから男役のキーなんてもう無理、と思っていたけどお稽古ですぐ出た」とおっしゃっていたのが印象的。
それから、今の宝塚歌劇公演ではいつもパンチの効いた歌声や台詞を聴かせてくださる美穂圭子さんがとてもやさしく可愛らしい話し声なのにオドロキ。
次からは、安蘭けいさん・香寿たつきさん・高嶺ふぶきさん・花總まりさん・一路真輝さんが一人ずつ順番に登場して、思い出話やエピソードを語った後、全員でトークという展開。
初演でルキーニを演じた轟悠さんは「双頭の鷲」KAAT公演中のため、ビデオ出演でした。
以下はトークで印象に残ったエピソードのメモ:
安蘭けいさんが登場して「こんにちは」と言うとなぜか客席から笑いが。
「私って昨日から何でか笑われるのよねぇ」と。
ほとんど黒やダーク系のコスチュームの中、花總まりさんがサーモンピンクに小花を散らしたミニワンピースで登場。
本当にお花が咲いたようで、みんなカワイイ可愛いと絶賛されていました。
その花總さん、「こんにちま」と言ってしまい、安蘭けいさんに「こんにちまって」とツッコまれていました。
そうしたら、オーラスに登場した一路真輝さん、いきなり「皆さま こんばんは」とやって会場爆笑。
自分で気づいて「あっ!」とやっちまった、な表情。
「黄泉の世界なんだよね」と花總さん。
「(笑いながら)黄泉の世界ですから!」と言い放つ一路さん。
「雪組のみんなはわかってくれてるからほんと安心。私ってこんな人なんです~」と。
お稽古の最初は台本ではなく分厚い楽譜が渡されて、、ドイツ語の歌詞の下になんとなく日本語歌詞書かれていたそうです。
歌詞と音楽が合うのに大変時間がかかり、トートとフランツの「最終答弁」が1週間位かかってピタリと歌えた時、一路さんと高嶺さんは抱き合って泣いたのだとか。
泣いたといえば、お稽古中に節分の豆まきをやって、「みんなで力を込めて小池先生に豆を投げたら小池先生が泣いた」と(笑)。
「トートは自分の男役人生の中で一番低いキーだった」と一路さん。
安蘭けいさんは、本公演でボーイソプラノの少年ルドルフ、新人公演でトートをやったので、廊下などで「誰?」♪とも~だちさ~ と一人で練習していたよねと高嶺ふぶきさん。
「とも~だちさ~ の低い音が出なくてねぇ」と安蘭けいさん。
「(誰?という)きっかけが欲しかったのね」「そう、それは自分でできるからね」というやりとりに爆笑。
「あの時、研いくつだったの?」と花總まりさんが口をはさんで、「同期じゃない!」とみんなにツッコまれていたのも笑ったな。
安蘭けいさんはこのメンバーに入るとすっかり下級生モードでやんちゃというか、いたずらな少年のようで、とても可愛かったです。
「お客様の拍手のタイミングがすごい」という話から、「(私たちと)フィフティ・フィフティですから」と安蘭さんが言うと、
「お客様はお金払っていらしてるの。フィフティ・フィフティじゃないでしょ!」と高嶺さん。
「お爺ちゃん怒るよ!」と古代さんにまでツッコまれていました(笑)。
そしてトークで最も印象に残ったお話が
一路さんトートがオケピから登場する場面。
スタンバイしながらオーケストラの人たちと雑談してたら出遅れて焦って、銀橋に出た途端歌詞を間違ってしまった一路さん。
♪すべての不幸を ここに始めよう~ と歌うところ。
そうすると後に続くコーラスも全部一路さんの歌詞通りに歌ったのだそう。
安蘭けいさんは影コーラスに入っていて、「え?」となったけど咄嗟に一路さんの歌詞通りに歌ったそうです。
「雪組の団結力よね~」と全員がうなづいていらっしゃいました。
ACT2のスペシャルライブは、ダイジェストとはいえ、ほとんどの歌があったと思います。
主な曲では「私が踊る時」がなかったけれど、あの曲はそもそも初演時にはなかった曲でしたから。
花總まりさんシシィはもちろんですが、20年の時を超越したような一路真輝さんのトート、すばらしかったです。
迫力の歌唱。歌い終わりにパッと右手を高く掲げるポーズ、カッコいいのなんのって。
一路さんの「愛と死の輪舞」を聴いていると、やはりこの曲は「一路さんのもの」だなと思いました。
宝塚での初演にあたって加えられた曲で、それは即ち、一路さんのためにつくられた曲かと。
花總まりさん。
4年前のガラコンで舞台復帰した時、「東宝版は元男役トップスターが代々エリザベートを演じていますが、ぜひとも花總さんのシシィで観てみたいと思いました」と感想に書いたとおりそれが実現して、昨年、今年と押しも押されもせぬタイトルロールを演じましたが、東宝版の座頭であるエリザベートではなく、宝塚の娘役のエリザベートになっていてすごいなと思いました。
ラストの「愛のテーマ」では、一路トートと寄り添いながら涙を流していらっしゃいました。
香寿たつきさんのルドルフ。
一幕のトークでも、「自分で言うのゴメンナサイなんですけど、私の声、一路さんと最高に相性良くないですか?周波数が一緒なのかな」とおっしゃっていて、一路さんも「ビブラートが少し違うけど似てるよね」とおっしゃっていましたが、この2人の「闇が広がる」はトリハダものでした。香寿さんもこの前まで厳然としたゾフィーだったの信じられないくらいです。
轟悠さんが出演できないのは残念でしたが、ルキーニのパートを、香寿たつきさんと安蘭けいさんが歌うというのも思わぬご馳走でした。
お二人とも初役(!)ですね。
前半の「ミルク」は安蘭けいさん。
トークの時、「何でミルク缶持ってないのよ」(前日の公演の話と思われる)と一路さんに問い詰められ、「重くて持てないよ」と言っていた安蘭さん。
「いしちゃん(轟さん)は、マイクとミルク缶持って出てトートにお辞儀までしてたわよ」と言われていましたが、本番ではミルク缶を肩にかつでワイルドに登場していました。
ボーイソプラノで「ママ、どこにいるの」を聴かせてくれた人と同一人物とはとても思えません。
「キッチュ」は香寿たつきさんで客席から登場。
これまた悩み深い繊細なルドルフとは別人のような陽気で猥雑な雰囲気。
香寿さんのルキーニも観てみたいと思いました。
「初演の時、20年後にこんなコンサートができるなんて思ってもみませんでした」とカーテンコールで一路さんはおっしゃっていましたが、まるで20年の時空を飛び超えたような、夢のような時間でした。
あの人たちに年齢や時の流れはない のごくらく度 (total 1672 vs 1678 )
この記事へのトラックバック
誰?とも~だちさ~、が頭の中をグルグルしています。
私のツボは、初演DVDをウィーンのスタッフさんに見せたら、「一人本物の男性が混ざってるね!」と言われたというエピソード。
だよね!わかるー。
あと、宝塚版で好きなのはパレードがあるところ!
物語に入りこんでいても、一番最後に手拍子しながら主題歌を一緒に口ずさんで晴れやかな気もちで帰途につく。
はぁー楽しかった!幸せーと思う瞬間です。
先日はありがとうございました。
ヅカ&ミュージカル話、とても楽しかったです。
ガラコン、すばらしかったですね。
「誰?とも~だちさ~」は後で友人にもやってみせたのですが
大ウケでした(^^ゞ
そうそう、ルキーニのエピソードね。
書いたつもりだったのに・・後で加筆しておきます。
フルコスチュームの湖月さんもなかなかの男でしたが、
轟さんはね~(笑)。
私も宝塚版のフィナーレとパレードが大好きです。
東宝版のエリザベートもすばらしいですが、やはり宝塚は永遠に不滅です、ね。