2016年12月01日

まぁまか無双! 宙組 「バレンシアの熱い花/HOT EYES!!」


valencia2016.jpg11月18日に始まった宙組の全国ツアー公演は半ばを過ぎたあたり。
昨日まで四国で、明日から九州へ突入。
トップスター 朝夏まなとさんの故郷 佐賀への凱旋も間もなくです。


宝塚歌劇宙組 全国ツアー公演
ミュージカル・ロマン 「バレンシアの熱い花」
作: 柴田侑宏
演出: 中村 暁
ダイナミック・ショー 「HOT EYES!!」
作・演出: 藤井大介
出演: 朝夏まなと  真風涼帆  澄輝さやと  伶美うらら  星風まどか  
寿つかさ  純矢ちとせ  蒼羽りく  遥羽らら  瑠風輝 ほか

2016年11月19日(土) 12:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階13列センター



ミュージカル・ロマン 「バレンシアの熱い花」

舞台は19世紀初頭 ナポレオン統治下のスペイン・バレンシア。
前領主の息子フェルナンド(朝夏まなと)はかつて自分の父を殺した犯人が現領主のルカノール(寿つかさ)と知り復讐を誓います。そこにルカノールに恋人を奪われた甥のロドリーゴ(澄輝さやと)、ルカノールの部下に妹を殺されたフラメンコダンサーのラモン(真風涼帆)が加わり、三人で“黒い天使”として復讐を成し遂げていきます・・・。


この作品が宝塚で上演されるのは3度目で、前2回とも観ています。
2007年に宙組・大和悠河主演で観た時の感想にも書いたのですが、最初に観た月組版で、ラモンを演じた順みつきさんが、フェルナンドとの身分違いの恋に苦しむイサベラへの届かない思いを、あの大きな目に涙をあふれさせながら「瞳の中の宝石」を歌ったのが、子ども心にも、「役者さんって役になり切って本当に泣くんだ」と驚いて、とても印象に残っています。

「瞳の中の宝石」はこの作品の主題歌で、歌う人によって歌詞が違うのですが、ラモンが歌うこの歌詞が今でも一番好き。

  瞳の中に宝石が見える
  涙があふれて こぼれた宝石
  悲しみが追いかけて 深い海に落ちた
  手をさしのべても お前に届きはしない
  愛している 愛している 愛している 愛している ~


お話はいかにも旧いメロドラマといった趣きですが、都会的でスタイリッシュな朝夏まなとさん率いる宙組版の「バレンシアの熱い花」でした。

冒頭、赤いホリゾントの中いシルエットで浮かび上がる朝夏まなとさんのスタイルのよさ、脚の長さにまず度肝を抜かれます。
左右に真風涼帆さんと澄輝さやとさんで、もう、宙組ってば長身・脚長しか入れないの?というカンジです。

ところどころ忘れている部分もありましたが、過去に2回しか観たことなくても、最後に観たのが9年前でも、覚えているものだなぁと、我ながら感心。
「瞳の中の宝石」ばかりでなく、3人が揃って♪ バレンシアのために~ スペインのために~ 力合わせ剣を取りともに戦おう 3人で憎むべき敵を倒そう~ という曲なんて、メロディも歌詞もはっきり蘇って、一緒に歌いそうになりました^^; 
もちろん冒頭の ♪バレンシア~ 愛のふるさと~ という歌も歌えますし、どれだけ刷り込み激しいんでしょ。
柴田侑宏・寺田瀧雄コンビおそるべし。


フェルナンドは、復讐心を内に秘めつつ、軍隊も辞めて遊び人を装う、という役柄ですが、これが朝夏まなとさんにとてもよくハマっていて余裕すら感じます。
マルガリータ(星風まどか)という親の決めた婚約者がいて、彼女のことを裏切ることはできないけれど、酒場で出会ったイサベラ(伶美うらら)を心から愛している、という、普通ならオイオイとツッコまれそうな設定も、チャラさと誠実さが同居した朝夏さんのキャラクターで難なくクリア。
前領主の息子で貴族という育ちのよさもちゃんと感じられ(これがないとイサベラの悲しみが際立たないし)、酒場で女たちにねだられてギターの弾き語りを聴かせる姿も、キリリと剣を構える姿もとても様になっています。
イサベラとの手で隠さないキスとか、その後のダンスシーンでのとても綺麗なリフトとか、男役としてほぼ完成形という感じ。あ、リフトはされる方の伶美さんもとても美しかったです。
歌唱にもますます磨きがかかって、とてもステキなトップさんになったなぁ。

二番手の役は本来ならロドリーゴかと思いますが、今回、真風涼帆さんはラモン。
これがまたよくハマっていました。
ラモンにしては少しお育ちもお行儀も良さそうでしたが、真風くんの野性味と可愛らしさ炸裂。
1年前の「メランコリック・ジゴロ」の時にも感じましたが、真風さんはいい意味で朝夏さんとは持ち味が違っているので、本当によい1、2コンビ。
2人とも長身脚長イケメンで、華もあるし夢も見られる並び。まぁまか無双です。

そこに加わるロドリーゴの澄輝さやとさんもとてもよく役に合っていました。
ノーブルで繊細で、前作「エリザベート」のルドルフ同様、いかにも苦悩の貴公子がお似合いです。

娘役は、イサベラ、マルガリータ、そしてロドリーゴの元恋人でルカノールの妻 シルヴィアの3人が主要な役どころ。
イサベラの伶美うららさん。
いや~、美しい。少し痩せたかな?
フェンナンドともラモンとも並びの美しさハンパありません。
私が好きなあのフェンルナンド邸の外のシーンでは、「つらいわ」と言いながら涙で瞳がキラキラしていて本当に宝石のようでした。
全体的に音程下げているのかな?な歌も全く危なげなかったです。
実咲凛音さん退団後の次期トップ娘役という噂もありますが、どうなのでしょう。

研3ながら今回の全ツでポスター入りした星風まどかさんも次期トップ娘役候補の一人(?)
歌もお芝居も上手いピカピカのホープながら、丸顔なのと童顔がね~と思っていたのですが、髪型やメイクに工夫が見られ、あまり気になりませんでした。可憐な中に芯の強さもあるお嬢様を好演。

遥羽ららさんも若いのにしっとりとした色気を放つ美貌の人妻 シルヴィア、熱演でした。

ラモンの妹ローラを演じたのは華妃まいあさん。
99期の歌うまさんで、フェンルナンドとイサベラのダンスシーンのソロも聴かせてくれました。
お芝居は、がんばろう。特に、殺されるきっかけとなる、バルカ(凛城きら)に「豚野郎!」と暴言とともにツバ吐くところ、がんばろう。

男役では軍服ピシリと着こなして眼光鋭い蒼羽りくさんのルーカス大佐がとてもよかったです。
パーティ会場で離れたところからフェルナンドを見るあの目。シビれます。
「エリザベート」のエルマーの時も目に止まっていて、どうやら私はりくくんが好きらしい。

もう一人、ドンファン・カルデロを演じた瑠風輝さん。
カルデロは泥棒ながらレオン将軍とも通じている”義賊”といった趣きの人物ですが、2作続けて新人公演主演を勤めたホープとはいえ、98期と若い瑠風くんがこの役とは意外でした。
そして、そんな役を軽々とこなす瑠風くん、やはりタダモノではありません。


ラスト。
イサベラを何度も抱きしめては(朝夏さん、手も長い!)、離すことができないフェルナンド。
苦しくて切なくて、綺麗なキスシーン。
去りゆくイサベラに向かってフェルナンドが切々と歌う ♪愛している 愛している 愛している 愛している~ 
立ち止まり、でも振り返ることもできず、ボロボロ涙をこぼしながら膝から崩れ落ちるイサベラ。
ナミダ。



IMG_7100.jpg


ダイナミック・ショー 「HOT EYES!!」

今年の1月から2月にかけて大劇場で公演されたショー。

大劇場の時は、「全場面に大階段が出ている」というふれ込みでしたが、もちろんそれはナシ。
オープニングで実咲凛音さんがやったレディ・アイを伶美うららさんに変わった他は、基本的に伶美さんパートはそのまま伶美さんで、実咲さんのところに星風まどかちゃんが入った感じかな。

客席も盛り上がる「瞳」メドレーの「天使のウインク」もまどかちゃんが歌いましたが、この曲に関しては実咲さんよりまどかちゃんの方が好み。
2人とも歌うまさんですが、若さのノリと声質がこの曲にはまどかちゃんの方が合っている気がしました。
「キッスは目にして」 の客席降りから舞台に戻る時、客席通路に立ったまま長~い右脚を直接ステージに上げて客席見渡してドヤ顔してみせる朝夏まなと氏。オトコマエすぎる(≧∇≦)

客席降りといえば、本公演でもあった盛大な客席降り。
通路から2番目の席だったのですが、お隣りの人が手を出さない方で、それはもったいないとばかりに横から手を差し出す不肖スキップ。
寿つかさ組長とハイタッチできたのは一生の思い出です。

真風くんはソロの客席降りの時、すぐ後ろの横通路を歩いてくれると思いきや、一気に後ろの方まで行っちゃってザンネンでしたが、カッコイイ笑顔の朝夏さんのハイタッチいただいたので満足。

エトワールは留依蒔世くんと瑠風輝くん。
そして、伶美うららさんと星風まどかさんが2人降りだったのに少しオドロキでした。
人数が少ない分、下級生もたくさんの場面で活躍していて、とても活気にあふれた楽しいショーでした。


長丁場のツアー 皆様お体に気をつけて のごくらく地獄度 (total 1666 vs 1672 )


posted by スキップ at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック